最終更新日:2026年10月13日
執筆・監修:豊田優人(株式会社BEEM 代表取締役)
- 広告費に限りがあるなかで、TikTok広告を試すべきか判断したい中小企業のマーケ・販促担当者の方
- 「いくらから出せるのか」「何秒の動画を用意すればいいのか」が調べても出てこず、手が止まっている方
- 社内で決裁を取るために、根拠になる実測値と現実的な予算感を探している方
TikTok広告で最初に決めるべきは、予算でもターゲティングでもなく「動画の尺」です。弊社(株式会社BEEM)の公式TikTokで、記録シートに記載のある136本を集計したところ、0〜15秒の動画の平均再生数は240万回。16秒以上(167万〜171万回)の約1.4倍でした。まず9〜15秒を3本。これがいちばん失敗しにくい入り方です。
TikTok広告の解説記事はもう山ほどあります。ただ、そのほとんどが媒体資料の要約で、「じゃあ何秒の動画を何本作ればいいのか」には答えてくれません。いちばん知りたいのはそこなのに。
この記事では、弊社が自社アカウントで実際に出した数字(100万再生超え137本・累計4.61億再生、2026年10月13日時点。尺の分析には記録シートに残る136本を使います)と、自社でTikTok広告に20万円を投じた実績をそのまま公開しながら、TikTok広告の仕組み・費用・始め方・審査・効果を解説します。読み終わった時点で、初月の予算とクリエイティブの本数まで決まっている状態を目指します。

TikTok広告とは?3つの誤解から整理する
TikTok広告とは、TikTokのアプリ内(および提携アプリ面)に動画広告を配信できる広告サービスのことです。ユーザーが次々とスワイプしていくフィードのあいだに、自社の動画が“おすすめの1本”として差し込まれる。これがいちばん基本的な形です。
配信先の規模から先に押さえておきます。TikTokの日本国内MAU(月間アクティブユーザー数)は4,200万を突破しています※1。日本の人口の3人に1人という規模で、もう「一部の若い子が使っているアプリ」ではありません。
定義だけならこれで終わりなのですが、実際に相談を受けていると、ほぼ全員が同じ3つの誤解を持っています。ここを先に外しておきたいです。
誤解1「若者向けの商材でないと意味がない」
これがいちばん多い誤解です。そして、数字で反証できる誤解でもあります。
総務省の令和6年度の調査によると、TikTokの利用率は全年代で33.2%。年代別に見ると10代65.7%・20代58.7%と、たしかに若年層は高いです※2。ただ、ここで止まらずにもう一歩考えてみてください。
日本の人口に占める10代・20代は、合わせておよそ2割です。仮にその層の約6割が使っているとしても、全年代の利用率に対する寄与は 0.2 × 0.6 = 約12ポイントにしかなりません。ところが実際の全年代利用率は33.2%。残りの約21ポイント、つまり利用率の3分の2近くは30代以上が積み上げていることになります。
※人口構成比を用いた弊社の概算です。厳密な年代別実数ではありませんが、「利用者の多数派は若年層ではない」という方向は、この計算で十分に示せます。
つまり「TikTok=10代」というイメージのほうが、実態から10年ほど遅れているわけです。そのうえ広告の配信先は年齢・興味関心・地域で指定できるので、「TikTokにいる30代・40代」に絞って配信することも普通にできます。
それに、うちがいちばん伸ばしてきたのは「会社あるある」「上司ネタ」といった働く人の共感コンテンツで、これは10代向けの内容ではありません。刺さるかどうかを決めるのは商材の若さではなく、企画が誰の日常に触れているかです。
誤解2「ダンスや流行りの音源に乗らないと伸びない」
豊田優人
誤解3「広告アカウントを作れば、あとは予算次第」
これがいちばん危ない誤解です。TikTok広告の成否は、管理画面の設定よりクリエイティブ(動画そのもの)でほぼ決まります。同じ予算・同じターゲティングでも、動画が違えば結果は数倍変わります。
だから本記事は、管理画面の操作解説より「どんな動画を何秒で作るか」に紙面を割きます。そこがいちばん差が出るところだからです。
他のSNS広告との違い(1行で言うと)
| 媒体 | 配信の起点 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| TikTok広告 | 興味関心ベースのレコメンド。フォロワー0でも大量リーチが起きる | まだ自社を知らない層への新規リーチ・認知。動画で世界観を伝える商材 |
| Instagram/Facebook広告 | 詳細なターゲティングと再訴求の精度が強み | リターゲティング、購入直前の刈り取り |
| YouTube広告 | 長尺で成立する。検索・関連動画からの流入も | 説明が必要な商材、じっくり見せたい商材 |
| リスティング広告 | 顕在ニーズ(検索)に当てる | すでに探している人の獲得 |
うちの結論はシンプルです。「まだ探していない人に、いちばん安く届く」のがTikTok広告。だから検索広告の代わりに使うのではなく、検索されるより前の段階を作る手段として組み合わせるのが正解です。
TikTok広告の種類と課金方式【一覧表】
TikTok広告は、大きく「運用型」と「予約型(純広告)」の2つに分かれます。中小企業がまず触るのは、ほぼ確実に運用型です。
| 区分 | 主なメニュー | ざっくり言うと | 予算感 |
|---|---|---|---|
| 運用型 | インフィード広告 | フィードのあいだに動画が流れる基本形。少額から自分で出せる | 1日数千円〜 |
| Spark Ads | 既存の投稿動画をそのまま広告配信できる形式。いいね・コメントが引き継がれる | 1日数千円〜 | |
| 予約型 (純広告) |
TopView/起動画面枠 | アプリ起動直後の最上部を買い切る。到達力は圧倒的 | 数百万円〜(参考値) |
| ブランドエフェクト | 自社オリジナルのARエフェクトを配布し、ユーザーに使ってもらう | 数百万円〜(参考値) | |
| ハッシュタグチャレンジ | お題を立ててUGC(ユーザー投稿)を促す大型企画 | 数百万円〜(参考値) |
課金方式は3つだけ覚えれば足ります
| 方式 | 何に対して課金されるか | 選ぶ場面 |
|---|---|---|
| CPM(インプレッション課金) | 1,000回表示されるごと | 認知を広げたいとき |
| CPC(クリック課金) | 1クリックごと | サイトへの流入を取りたいとき |
| CPV(再生課金) | 一定秒数以上の再生ごと | 動画を見てもらうこと自体が目的のとき |
実務上は、キャンペーンの目的(リーチ/トラフィック/リード獲得/コンバージョン)を選べば、それに合った課金方式と最適化がセットで動きます。最初から細かく触る必要はありません。
TikTok広告の費用|いくらから出せて、月いくら必要か
ここがいちばん検索されるところなので、順番に潰します。そして、ここは「1日いくら」と「月いくら」を混ぜて書いてある記事が多く、それが混乱の原因になっています。計算の途中式ごと出します。
まず、最低出稿金額はドル建てで決まっています
運用型広告は、管理画面(TikTok Ads Manager)から自分で出稿できます。この最低予算は、もともと米ドル建てで設定されています。原文の数字をそのまま出し、そのうえで円に直します。
本記事の円換算は、すべて1ドル=155円で計算しています。為替で動くので、実際に出稿する日のレートで必ず引き直してください。
| 設定する場所 | 公式の下限(ドル建て原文) | 円換算(1ドル=155円) |
|---|---|---|
| キャンペーンの1日予算 | 50ドル/日 | 約7,750円/日 |
| キャンペーンの通算予算 | 50ドル以上 | 約7,750円以上 |
| 広告グループの1日予算 | 20ドル/日 | 約3,100円/日 |
| 広告グループの通算予算 | 20ドル × 配信予定日数 | 約3,100円 × 配信予定日数 |
月額は「1日予算 × 稼働日数」でしか決まりません
ここが本題です。上の表はすべて1日あたり、あるいは通算の下限であって、月額ではありません。月にいくらかかるかは、掛け算1回で出ます。
1日予算 × 稼働日数 = 月額
- 広告グループの下限(約3,100円/日)で 30日連続回す → 約9.3万円/月
- 同じ下限で 14日だけ回す → 約4.3万円
- 同じ下限で 10日だけ回す → 約3.1万円
- キャンペーン側にも予算を設定する場合は下限が約7,750円/日に上がり、30日で 約23.3万円/月
よく見かける「TikTok広告は月3万円台から出せる」という説明は、間違いではありませんが、正確には「1日約3,100円を10日だけ回した場合の金額」です。毎日休みなく配信して月3万円台、という設計にはなりません。ここを取り違えたまま社内の予算表を作ると、初月の請求書で必ずもめます。
なお、キャンペーン側の予算を「上限なし」にして広告グループ側だけで管理すれば、実質の下限は1日約3,100円になります。少額で試したいなら、この形が現実的です。
ただし「出せる金額」と「判断できる金額」は違います
ここが記事に書かれていない部分なので、はっきり書きます。最低額で出すこと自体はできますが、それでは良し悪しの判断ができません。TikTok広告は配信を通じて機械学習が最適化されるので、データが少なすぎると本来の性能が出ないのです。
うちが「まずこの規模でやりましょう」とお伝えしているのは、次のラインです。
- 検証(1本目の判断をする):月10万〜20万円 × 1〜2ヶ月/クリエイティブは3〜5本用意する。月10万円は、上の下限(約3,100円/日)をほぼ毎日回した規模とほぼ同じです
- 拡大(勝ちパターンを伸ばす):月30万円〜/勝った動画の派生を毎月作り足す
- クリエイティブ制作費:外注なら1本3万〜10万円が目安(参考値・外部相場)。社内撮影ならスマホ+三脚+ピンマイクで実質0円です
予算を1本の動画に全部かけるのは、いちばんやってはいけない配分です。TikTok広告は「どの動画が当たるか事前にわからない」のが前提なので、同じ20万円なら、動画5本に4万円ずつ配って当たりを探すほうが強いです。
うちが実際に20万円使ったときの数字
参考として、弊社が自社の採用募集で回したTikTok広告の実績をそのまま出します(2025年11〜12月/約40日/予算20万円/ショート動画20本をスマートクリエイティブで配信)。採用までの経過は【実データ公開】TikTok採用の効果・費用・事例で公開しています。
| 指標 | 実績 |
|---|---|
| 投入予算 | 20万円 |
| 配信期間 | 約40日(1日あたり約5,000円の計算になります) |
| 獲得リード | 95件 |
| リード単価(CPL) | 2,105円 |
| その先の面談 | 27件(面談単価 7,407円) |
その予算で、何回表示され、何件のリードになるのか(換算表)
社内提案の場でいちばん多い質問が、これです。「で、月10万円だと何人に届くの?」。ここに答えていない記事が多いので、換算の式ごと置いておきます。
使う数字は2つだけです。CPM(1,000回表示あたりの費用)とCTR(表示のうちクリックされる率)。
- インプレッション(表示回数)= 予算 ÷ CPM × 1,000
- クリック数 = インプレッション × CTR
- CPC(クリック単価)= CPM ÷ 1,000 ÷ CTR
TikTok広告のCPMは1,000回表示あたり100〜1,000円程度、CTRは0.5〜2%程度とされます(いずれも参考値・外部相場であり、弊社の実測値でも公的統計でもありません)。業種・季節・ターゲティングの広さ・クリエイティブの出来で大きく動くので、下の表は桁を掴むための計算例として見てください。
以下は、CPM=500円・CTR=1.0%(どちらも上のレンジの中位・参考値)を当てはめた場合の計算例です。リード件数の列だけは外部相場ではなく、弊社が実際に出したCPL2,105円をそのまま当てています。
| 月額予算 | インプレッション (CPM500円で換算) |
クリック数 (CTR1.0%で換算) |
CPC | リード件数 (自社CPL2,105円で換算) |
|---|---|---|---|---|
| 約3.1万円 (下限3,100円×10日) |
約6.2万回 | 約620クリック | 50円 | 約15件 |
| 約9.3万円 (下限3,100円×30日) |
約18.6万回 | 約1,860クリック | 50円 | 約44件 |
| 10万円 (うちが案内する検証ライン) |
約20万回 | 約2,000クリック | 50円 | 約48件 |
| 20万円 (うちが実際に出した規模) |
約40万回 | 約4,000クリック | 50円 | 95件(実績値) |
| 30万円 (拡大フェーズ) |
約60万回 | 約6,000クリック | 50円 | 約143件 |
※インプレッション=予算÷500円×1,000/クリック数=インプレッション×1.0%/リード件数=予算÷2,105円(小数は四捨五入)。20万円の行だけ、リード95件は換算ではなく実績値です。
太字にした20万円の行だけ、リード件数が「実績値」になっています。20万円 ÷ 95件 = CPL2,105円という弊社の実数がそのままここに入るので、この行が換算表の基準点です。ほかの行は、そのCPLを他の予算に単純比例させただけの目安です。
使ってはいけない使い方:この表は単純比例で引き伸ばしただけなので、予算を増やせば同じ効率でリードも増える、とは読まないでください。実際には予算を上げるほど配信対象が広がり、CPMは上がりCPLも悪化していくのが普通です(逓減します)。また、CPL2,105円は採用(応募獲得)という比較的ハードルの低いオファーで出た数字です。商材が高額なら、CPLは一桁変わることもあります。
費用の内訳や配分をもっと詳しく詰めたい方向けに、「TikTok広告の費用相場と予算配分」で単体で扱います。
【一次データ】136本の実測が示す、たった1つの結論「尺」
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいセクションです。
弊社はフォロワー約47万人の会社アカウントを含む自社のTikTokアカウント群を、2020年から運用してきました。そのうち記録シートに記載のある136本について、再生数・秒数・いいね・コメント・エンゲージメント率をすべて突き合わせて集計しました。エクセルとにらめっこした深夜のことは、あまり思い出したくありません(笑)。
- 合計再生数:2億7,353万回(273,534,500回)
- 平均再生数:約201万回/本
- 100万回再生を超えた本数:124本(136本中/9割超)
- 最高再生数:830万回(2021年3月投稿・11秒・ER5.41%)
- 平均エンゲージメント率(ER):3.88%
※上記はいずれも「シートに記録のある136本」に限った集計値です。会社アカウント全体(公開中の607本)では100万再生超えが137本・累計4.61億再生です(2026年10月13日時点)。集計の範囲が違うので数字も違います。
※この136本の選び方も書いておきます。提案資料やメディアで引用するために、社内で反響の大きかった投稿を優先して記録シートへ転記したものが、この136本です。無作為抽出ではありません。だから「136本中124本が100万回超」という比率は、うちの全投稿の打率ではなく、あらかじめ反響順に選ばれた集合の中での比率として読んでください。
豊田優人
尺別の平均再生数:0〜15秒が、他の約1.4倍
| 動画の長さ | 本数 | 平均再生数 | 0〜15秒との差 |
|---|---|---|---|
| 0〜15秒 | 61本 | 240万回(2,405,087) | — |
| 16〜30秒 | 32本 | 167万回(1,669,566) | 約0.69倍 |
| 31〜60秒 | 33本 | 171万回(1,710,806) | 約0.71倍 |
| 61秒以上 | 10本 | 169万回(1,694,150) | 約0.70倍 |
注目してほしいのは、16秒を超えると平均再生数がガクッと落ち、そのあとは60秒でも61秒以上でもほぼ横並びだという点です。つまり「長いほど不利」という単純な話ではなく、15秒という壁がひとつだけある。ここを越えた瞬間にリーチの伸び方が変わるわけです。
実際、再生数トップ15本の秒数を見ると、12本(8割)が15秒以下でした。9秒・10秒・11秒がずらりと並びます。
ところが、エンゲージメント率は逆の結果でした
ここが今回の集計でいちばん意外だった発見です。ERが高かった上位10本を見ると、そのうち6本が21秒以上(37秒が2本、45秒、34秒、28秒、21秒)でした。再生数では不利だった中長尺が、ERでは上位を占めていたのです。
最初にこれを見たとき、データの見間違いかと思いました。でも、考えてみれば筋は通っています。
- 短い動画=完走されやすく、繰り返し再生もされるので「広く届く」。ただし1本あたりの中身は薄いので、コメントや保存までは動かしにくい
- 30秒前後の動画=リーチは伸びづらいが、話にオチや展開を作れるので「濃く刺さる」。だからコメント・いいねの率が上がる
豊田優人
この発見を、広告の予算配分にそのまま使う
ここが本記事の実用パートです。上の2つの事実を組み合わせると、キャンペーンの目的別に尺を出し分けるべきだ、という結論になります。
| キャンペーンの目的 | 弊社が提案する尺 | 根拠(自社136本の実測) |
|---|---|---|
| リーチ・認知(新規に広く届ける) | 9〜15秒 | 0〜15秒の平均再生数240万回が最高。トップ15本の8割が15秒以下 |
| エンゲージメント・ブランド理解(コメント/保存を貯める) | 25〜35秒 | ER上位10本のうち6本が21秒以上。中長尺のほうが反応率は高い |
| コンバージョン(申込・購入) | 15秒を主軸に、30秒の説明版を併走 | 上記2つの併用。まず短尺で母数を作り、検討層には長めで説明する |
ひとつ、正直に添えておきます。この表の2行目(エンゲージメント目的の25〜35秒)は、1行目より根拠が弱いです。1行目の尺別平均再生数は61本・32本・33本・10本という母数で比べたものですが、2行目の根拠はER上位10本、つまりn=10。しかも10本すべてが2021年の投稿で、次に述べる時系列の偏りをまるごと被っています。加えて、136本のなかで唯一トップ15に入った2025年の投稿(19秒)はER1.26%で、平均3.88%を大きく下回りました。つまり「中長尺のほうが刺さる」という結論は、短尺優位よりさらに再現性の検証が必要だということです。エンゲージメント目的で25〜35秒を選ぶなら、いきなり本命の予算を寄せるのではなく、15秒版と並べて同時に配信し、自社の数字で確かめてから寄せてください。
もうひとつの限界:このデータは2021年に偏っています
ここは指摘される前に、自分から出しておきます。136本の集計期間は2020年9月〜2025年5月ですが、数字を作っている中心は2021年の投稿です。
- 再生数トップ15のうち12本が2021年の投稿(残りは2022年2本・2025年1本)
- ER上位10本は10本すべてが2021年の投稿
- トップ15に入った唯一の2025年投稿(19秒・370万回)は、ER1.26%。136本平均の3.88%を大きく下回っています
つまり「0〜15秒の平均240万回」という数字は、2021年前後のTikTok——投稿の供給量がまだ少なく、1本あたりに配られる表示機会が今よりずっと多かった時期の環境で出たものです。ここを隠して「短尺なら240万回いきます」と言うのは、さすがに誠実ではないと思っています。
そのうえで、うちの立場をはっきり書きます。
使えるのは再生数の絶対値ではなく、尺の“相対差”のほうです。2021年に同じ企画チーム・同じ配信環境で撮られた動画群のなかで、15秒を境に平均再生数が3割落ちた。この差を生んでいるのは「冒頭で離脱されるかどうか」という、プラットフォームの構造そのものです。そしてこの構造は、競争が激しくなった現在ではむしろ強まる方向にあります。同じ時間内に流れてくる候補動画が増えれば、1本あたりに与えられる猶予は短くなるからです。
逆に言えば、2021年の再生数の水準は再現しません。「15秒にすれば240万回」ではなく「15秒にすれば、同じ企画・同じ予算で16秒以上より広く届く可能性が高い」と読んでください。実際、上に挙げた2025年の投稿(19秒)は再生数こそ370万回まで伸びましたが、ERは1.26%。いまは“届く”と“刺さる”の両立が2021年より難しくなっている、というのが現場の実感です。だからこそ、目的別に尺を出し分ける必要があります。
尺のほかに、集計から言えること
- 平均ER3.88%が、ひとつの目安になります。自社の動画がこれを大きく下回るなら、届いていないのではなく「刺さっていない」。ターゲティングより企画を直してください
- 136本のうち124本(9割超)が100万回を超えています。これは「当たりが数本あった」のではなく、型ができたあとは再現していたということです。逆に言えば型が固まるまでは打率は上がりません。最初の数本で判断しないでください。
ただし前述のとおり、この136本は反響順に選んで記録したもので無作為抽出ではありません。「9割超」という比率をそのまま自社の打率の目標に置かないでください。この項目で言えるのは、比率の水準ではなく「型が決まったあとは、同じ企画の型で何度も当てられた」という方向だけです - 最高再生の830万回も11秒でした。大当たりを狙うときも、尺は伸ばさないほうがいい
中小企業が今から出して、本当に効果は出るのか
ここまで読んで、まだ引っかかっている点があるはずです。「大手が本格的に参入している今から、うちみたいな規模で出して勝てるのか」。正面からお答えします。
結論:勝てます。ただし勝ち方が限定されます
TikTokのおすすめ表示は、企業の知名度やフォロワー数ではなく動画への反応で決まります。うちも完全に無名の状態から100万回再生を積み上げました。この構造は今も変わっていません。
ただし、資金力で殴り合う勝ち方はできません。中小企業が取れる勝ち筋は次の3つです。
逆に、向いていないケースも書きます
売り込みたい気持ちを抑えて、正直に書きます。次のいずれかに当てはまるなら、TikTok広告は後回しでいいです。
- 動画をこれから継続的に作る体制が、社内にも外注先にも用意できない:TikTok広告はクリエイティブを差し替え続ける前提の媒体です。1本で回し続けると、確実に飽きられて成果が落ちます
- 顕在ニーズの刈り取りを最優先している:すでに検索している人を取りたいなら、リスティング広告が先です
- 成果を1〜2週間で判断しなければならない:最低でも1ヶ月、クリエイティブ3〜5本での検証期間を取れないと、判断そのものができません
要は、TikTok広告のデメリットは「やらない理由」ではなく「設計でつぶす課題」です。ただ、体制の問題だけは設計では消えません。ここは正直にお伝えしておきます。

TikTok広告の始め方6ステップ
実際の出稿手順です。管理画面のUIは変わることがあるので、変わりにくい流れと考え方を中心に書きます。
ターゲティングで指定できること(と、初回に触るべき2箇所)
STEP.5で「初回は絞りすぎないこと」と書きましたが、そもそも何が指定できるのかがわからないと、絞っているのかどうかも判断できません。管理画面を開く前に、全体像を1枚で押さえておいてください。
| 指定できる項目 | 何を指定するか | 初回に触るか |
|---|---|---|
| 年齢 | 13〜17/18〜24/25〜34/35〜44/45〜54/55歳以上といった区分から選ぶ。1歳刻みの指定はできません | ◯ 触る 商材の対象から明らかに外れる区分だけ外す |
| 地域 | 国、都道府県レベル(一部は市区町村単位) | ◯ 触る 商圏があるなら絞る。全国商材なら日本全体のまま |
| 性別 | 男性/女性/すべて | △ 原則「すべて」 商材が明確に片方向けのときだけ絞る |
| 言語 | ユーザーの利用言語 | × 触らない |
| 興味関心(インタレスト) | TikTok側が分類したカテゴリ(美容、ゲーム、食品、ビジネスなど) | × 触らない 使うなら広めに1〜2カテゴリまで |
| 行動ターゲティング | 直近の動画視聴・いいね・コメントといった行動履歴や、よく見ているクリエイターのカテゴリ | × 触らない 勝ちクリエイティブが決まってから |
| カスタムオーディエンス | 自社の顧客リスト、サイト訪問者(ピクセル)、動画視聴者、リード獲得フォームの入力者など | × 初回は作れない ピクセルにデータが溜まってから |
| 類似(Lookalike)オーディエンス | カスタムオーディエンスに近い性質のユーザーへ拡張する | × 初回は作れない 元になるオーディエンスが必要 |
| デバイス・OS | iOS/Android、接続環境、端末の価格帯など | × 触らない アプリインストール広告などの例外を除く |
| 除外設定 | 既存顧客・応募済みの人などを配信対象から外す | △ リストがあるなら除外だけ入れる |
表を見ていただくとわかるとおり、初回に触るのは「年齢」と「地域」の2つだけです。あとは全部そのままでいい、というのがうちの運用方針です。
理由は前にも書いた学習の話です。TikTok広告は配信しながら「誰に当たるか」を機械が探していく媒体なので、こちらが先に条件を狭めると、探せる範囲そのものを削ってしまう。相談を受けていて多いのが「25〜34歳・女性・美容に興味あり・東京都」まで初回で絞り込んでしまうケースなのですが、これをやると配信量が出ず、2週間経っても勝ち負けの判断材料が集まりません。絞るのは、勝ったクリエイティブが1本決まったあとです。順番を逆にしないでください。
各項目の細かい設定手順や、絞り込みの効果検証のやり方は「TikTok広告のターゲティング設定完全ガイド」で扱います。ただ、初回の出稿はこの表の「◯」2つだけで足ります。
Spark Adsを使う場合:投稿コード(認可コード)の発行手順
2章で「迷ったらSpark Ads」と書いた以上、その手順も置いておきます。Spark Adsは既存のTikTok投稿をそのまま広告として配信する形式なので、通常のインフィード広告と違って「その投稿を広告に使ってよい」という認可=投稿コードを先に発行する必要があります。ここを知らずに管理画面で止まる方が非常に多いです。
偉そうに書いていますが、うちも初回はここで半日溶かしました。広告アカウント側の画面を何度も往復して探したのですが、そもそも発行するのは広告主の画面ではなく、投稿したアカウントのアプリ側なんです。管理画面をいくら眺めても出てきません。この1点だけ知っていれば5分で終わる作業なので、順番どおりに書いておきます。
- 1. 投稿側のアカウントで広告利用を許可する:TikTokアプリ →「設定とプライバシー」→「クリエイターツール」→「広告設定」→ 動画の広告利用を許可する項目をオンにします
- 2. 広告に使いたい投稿を開き、認可コードを発行する:該当動画の共有メニューから「広告設定/認可」に進み、認可の有効期間(7日・30日・60日・365日など)を選ぶとコードが生成されます
- 3. コードをコピーして広告主側に渡す:自社アカウントの投稿なら自分で使います。他社やクリエイターの投稿を配信したい場合は、投稿者本人にこの発行を依頼してください。広告主側では発行できません
- 4. TikTok Ads Managerで投稿を紐づける:管理画面のクリエイティブ/Spark Ads投稿の管理画面で「投稿コードを入力」し、紐づけます
- 5. 広告作成時にSpark Adsを選び、その投稿を指定する:ここまで来れば、あとは通常の入稿と同じです
入稿規定・広告審査と、初回でつまずく5つの失敗パターン
クリエイティブの入稿規定(公式の仕様)
数値はTikTok for Businessの公式ページで2026年9月30日に確認したものです※3※4。
| 項目 | 公式の仕様・推奨 |
|---|---|
| アスペクト比 | 9:16(縦型フルスクリーン)が基本。1:1/16:9も入稿可 |
| 解像度 | 540×960px以上(9:16の場合) |
| 動画の長さ(入稿できる長さ) | 最大10分 |
| 推奨の尺 | 21〜34秒(インフィード広告の推奨として、2021年5〜7月の調査をもとに示されたもの) |
| ファイル形式 | mp4/mov/mpeg/3gp/avi |
| ファイルサイズ | 500MB以下 |
| セーフゾーン | 画面の上下端はUI(アカウント名・ボタン等)と重なるため、重要な文字を置かない |
細かい数値は改定されるので、出稿の直前に公式ヘルプで確認するのが鉄則です。なお、この記事が4章で「まず9〜15秒」と書いているのは、弊社の記録シート136本(広告ではなく通常投稿)の集計から出した弊社の提案で、公式の推奨ではありません。迷ったら、冒頭を同じにした長短2本を並べて配信し、自社の数字で決めてください。あとは「縦型・上下は空ける」の2つを守れば、実務ではほぼ困りません。
広告審査:どのくらいかかり、何で落ちるのか
仕様を満たしていても、配信前に広告審査があります。ここを見込んでいないと、キャンペーン開始日が普通に後ろ倒しになります。
これも失敗してから覚えました。うちが去年の採用広告を出したとき、社内には先に「この日から配信します」と告知していたんです。ところが審査で2往復して、結局4日遅れ。採用チームに謝りに行きました。以来、配信開始日は「審査が通ってから逆算して決める」に変えています。
- 通常の審査はおおむね24時間以内が目安。ただし初回出稿や、繁忙期(年末年始・大型セール前)は延びます
- 差し戻し → 修正 → 再審査で、また同じだけかかります。1往復すると2日と見ておくのが安全です
- したがって配信開始日の3営業日前には入稿を済ませる。金曜の夜に入稿すると、修正のサイクルが週明けまで止まります
- アカウント開設時の会社情報の審査(6章STEP.2)とは別物です。両方を足して初回のスケジュールを引いてください
落ちやすい表現・落ちやすい作り
- 根拠を出せない最上級・断定表現:「No.1」「業界唯一」「必ず」「絶対に」。使うなら調査主体・時点・条件の明記がセットです
- 効果効能の断定:健康食品・化粧品・医療系は薬機法の領域に触れやすく、体験談の形でも通りません
- ビフォーアフター、身体の部位のクローズアップ:ダイエット・美容系で最も落ちる型です
- 見た人の属性を指して不安を煽る表現:「太っていませんか?」「その年収で大丈夫ですか?」のように、個人の体型・年齢・収入を名指しする問いかけ
- 動画とLPで、言っていることが違う:価格・割引率・キャンペーン期間の不一致は落ちます。動画で「初回無料」と言うならLPにも同じ条件が要ります
- 遷移先(LP)側の不備:会社情報や問い合わせ先がない、リンク切れ、スマホで表示が崩れる。審査対象は動画だけではありません
- クリエイティブの品質:解像度が低い、上下に黒帯が出ている、音声が無い・割れている。これは仕様の話に見えて、審査でも弾かれます
落ちたときの対処
- まず却下理由を読む:管理画面の広告ステータスに理由が表示されます。ここを読まずに作り直すのが、いちばん時間を失うパターンです
- 該当箇所だけ直して、同じ広告を編集で再申請する:新しい広告として作り直すと、学習がリセットされて配信が振り出しに戻ります
- 同じ理由で2〜3回落ちるなら、表現ごと変える:直訳的な言い換えでは通りません。訴求の切り口を変えるほうが早いです
- 理由に納得できない場合は、管理画面から異議申し立て(アピール)を出す:機械判定での誤検知は実際にあります
- 広告アカウント全体が停止された場合は、個別の広告修正では戻りません。サポートへの連絡が必須です
3つ目の「表現ごと変える」が、いちばん腑に落ちないところだと思います。実例を出します。
豊田優人
この経験から社内で決めたのは、「金額・待遇・順位を言葉で主張したくなったら、代わりに人に喋らせる」というルールです。主張は落ちますが、実際に起きたことを本人が話す形は通りやすい。しかもTikTokでは、そのほうがだいたい伸びます。
ただし例外があります。健康食品・化粧品・医療系の効果効能は、体験談の形にしても通りません(上の表の2つ目)。薬機法の領域は「誰が言ったか」では回避できないので、ここだけは訴求の設計そのものを変えるしかありません。
初回でつまずく5つの失敗パターン
相談を受けていて、毎回同じところでつまずいているのを見ます。先に潰しておいてください。
- 横型の動画を流用してしまう:既存のYouTube用素材をそのまま入稿すると、上下に黒帯が出て一瞬でスワイプされます。縦で撮り直すのが最短です
- クリエイティブが1本しかない:当たりを探せず、しかも同じ動画が繰り返し表示されて飽きられます。最低3本
- 冒頭2秒に何もない:ロゴやタイトルカットから始める広告は、そこで離脱します。いきなり本題から入ってください
- テロップがない:音を出さずに見ている人に、内容がまったく伝わりません
- ピクセルを設置しないまま配信を始める:数字は動いているのに何が効いたかわからない、といういちばん不毛な状態になります
コンプライアンスの確認も、投稿前に仕組み化する
- 出演者本人から撮影・広告利用の同意を得ている(書面が安心)
- BGM・効果音の権利を確認した(広告利用は商用可否の確認が必須。オーガニック投稿で使えた音源が広告では使えないことがあります)
- 第三者の顔・個人情報・社外秘が映っていない
- 誇大表現がない(景品表示法/薬機法など、業界特有の規制に触れていないか)
- 動画で言っている条件と、遷移先LPの記載が一致している
- 投稿前に最低2人でダブルチェックしている
KPI設計|どの数字を、どの順番で見るか
再生数だけを追うと、必ず迷子になります。段階を分けて、上から順に詰まっているところを探すのが正しい見方です。
| 段階 | 見る指標 | 詰まっていたときの打ち手 |
|---|---|---|
| ①届いているか | インプレッション・CPM・リーチ | 予算とターゲティングを広げる。ここが少ないのは設定の問題 |
| ②見られているか | 視聴完了率・平均視聴時間 | 尺を短くする。冒頭2秒を作り直す。4章のデータの出番 |
| ③刺さっているか | エンゲージメント率(目安:自社実測の平均3.88%) | 企画そのものを直す。ターゲティングをいじっても直りません |
| ④動いてくれたか | CTR・CPC・LP到達率 | 訴求と遷移先のズレを直す。動画とLPで言っていることを揃える |
| ⑤成果になったか | CVR・CPA(CPL/獲得単価) | LPとオファーを直す。ここが悪いのは広告ではなく受け皿の問題が大半 |
TikTok広告のよくある質問
管理画面の設定上の下限は、広告グループの1日予算で20ドル(約3,100円/日・1ドル=155円換算)です。月額は「1日予算 × 稼働日数」で決まるので、この下限で30日回せば約9.3万円、10日だけ回せば約3.1万円。よく言われる「月3万円台から」は後者、つまり稼働日数を絞った場合の金額です。毎日配信して月3万円台にはなりません。
そのうえで、良し悪しを判断できる規模としては月10万〜20万円 × 1〜2ヶ月・クリエイティブ3〜5本をおすすめしています。少額でダラダラ出すより、短期間で判断できる規模を1回つくるほうが結果的に安く済みます。
弊社の提案は、まず9〜15秒です。TikTok公式の推奨尺は21〜34秒(2021年の調査にもとづく)ですが※4、弊社の記録シートに記載のある136本では、0〜15秒の平均再生数が240万回で、16秒以上(167万〜171万回)の約1.4倍でした。一方、エンゲージメント率の上位10本は6本が21秒以上だったので、コメントや保存を貯めたい場合は25〜35秒も選択肢になります。目的で出し分けてください。なお、この136本は2021年の投稿に偏っているため、参考にすべきは再生数の絶対値ではなく尺による相対差です(詳しくは4章)。
無理ではありません。スマホ+三脚+ピンマイクがあれば十分です(音が悪いと即スワイプされるので、マイクだけは用意してください)。ただ継続して本数を出し続けられるかが本当の分かれ目です。撮影は社内、編集だけ外注という分担もよく機能します。
あります。BtoBで効くのは商品説明ではなく「働く人の共感」の切り口です。弊社が伸ばしてきたのも会社あるある・上司ネタで、決裁者も普通にTikTokを見ています。総務省の令和6年度の調査でもTikTokの利用率は全年代で33.2%※2あり、若年層だけの媒体ではありません。ただしBtoBは検討期間が長いので、TikTok広告単体でのCPAではなく、認知〜指名検索の増加までを含めて評価してください。
配信自体は数日で数字が動きます。ただし判断は最低1ヶ月・クリエイティブ3本以上を回してから。弊社の広告実績(約40日・20万円でリード95件)も、20本のクリエイティブを回した結果です。1本・1週間では何も判断できません。なお、この1ヶ月には広告審査の時間は含まれていません。初回は審査ぶんを別に見込んでください(7章)。
必須ではありませんが、あったほうが圧倒的に有利です。理由は2つ。(1)反応の良かった投稿をSpark Adsでそのまま広告配信できる、(2)広告を見た人がプロフィールを見に来たとき、投稿がゼロだと不安を与える。まず自社投稿で尺と企画を検証し、当たった動画に広告費を乗せる——これがいちばん失敗しにくい順番です。Spark Adsに必要な投稿コードの発行手順は6章にあります。
クリエイティブを継続的に作れる人が社内にいるなら自社運用で十分です。「過去にSNS運用を始めて更新が止まった経験がある」「採用でも販促でも成果の数字で判断したい」という場合は、代行を検討する場面です。選ぶときは金額より「自社の実データを開示できる会社か」を見てください。詳しくはTikTok運用代行とは?中身の7工程と見積書の読み替え方へ。
まとめ:まず15秒×3本から
最後に、この記事の要点をまとめます。
- TikTok広告の1日予算の下限は約3,100円(20ドル・1ドル=155円換算)。月額は「1日予算 × 稼働日数」で決まり、下限で30日回せば約9.3万円。「月3万円台」は稼働10日ぶんの金額です
- 判断できる規模は月10万〜20万円 × クリエイティブ3〜5本 × 1〜2ヶ月
- 予算からリーチは逆算できる。インプレッション=予算÷CPM×1,000。CPM500円・CTR1.0%(参考値)なら月10万円で約20万回表示・約2,000クリック、弊社CPL2,105円を当てるとリード50件弱が目安(3章の換算表)
- ターゲティングで初回に触るのは「年齢」と「地域」の2つだけ。興味関心・行動・類似は勝ちクリエイティブが決まってから
- 成否を決めるのは管理画面の設定よりクリエイティブ。だから最初に決めるべきは「尺」
- 入稿できる長さは最大10分、公式の推奨尺は21〜34秒(2021年調査)。そのうえで弊社の記録シートに記載のある136本(平均ER3.88%)では、0〜15秒の平均再生数240万回が最高で、16秒以上の約1.4倍。最高再生の830万回も11秒だった
- 一方でER上位10本のうち6本は21秒以上。広く届けるなら短尺、濃く刺すなら30秒前後、と目的で尺を出し分ける。ただしER側はn=10・全件2021年の投稿で短尺側より根拠が弱いので、15秒版と並走させて自社の数字で確かめること
- ただしこの136本は2021年の投稿に偏っており、反響順に選んで記録したもので無作為抽出でもありません。使うべきは再生数の絶対値ではなく、尺による相対差のほう
- 中小企業の勝ち筋は「当たり率」「トレンドの先回り」「社員の顔を出せること」の3つ。予算で殴る戦い方はしない
- ピクセル設置は配信前に。順番を間違えると何が効いたかわからなくなる
- 広告審査は1往復で2日。配信開始日の3営業日前には入稿する
今日からやることは、これだけです。
- 「CPLいくらなら続けるか」を紙に書く
- 9〜15秒の動画を3本作る(スマホでOK。冒頭2秒にフック、全編テロップ)
- ピクセルを設置して、月10万円・広めのターゲティングで1ヶ月回す(審査ぶんを見込んで、開始日の3営業日前に入稿)
- 動画1本ごとの成績を見て、勝った1本の派生を作る
この順でやれば、少なくとも「何が効いて何が効かなかったか」がわかる状態になります。TikTok広告でいちばん多い失敗は、成果が出ないことではなく何もわからないまま予算を使い切ってしまうことなので。
豊田優人
「うちの商材なら何秒・何本・いくらから始めるべきか」を具体的に詰めたい方は、お気軽にご相談ください。この記事で公開したデータをもとに、貴社の状況に合わせた設計をご提案します。
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この記事を書いた人

豊田優人(とよだ・ゆうと)|株式会社BEEM 代表取締役
フォロワー約47万人の会社アカウントを含む自社TikTokアカウント群を運用し、100万再生を超えた動画は137本、累計4.61億再生。会社アカウントの企画を自ら担当。複数の記事で取り上げられたほか、大学での登壇歴がある。株式会社BEEMは「SNS採用のみで採用したメンバーで構成される会社」として、TikTokの運用支援・広告運用を提供している。
出典
- TikTok社発表「TikTok、日本国内のMAUが4,200万を突破」2025年11月27日(自社調べ。TikTokおよびTikTok Liteの月間アクティブユーザー数、重複を除く) https://newsroom.tiktok.com/tiktok-mau-4200?lang=ja-JP
- 総務省情報通信政策研究所「令和6年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(令和7年6月公表)。TikTok利用率:全年代33.2%/10代65.7%/20代58.7% https://www.soumu.go.jp/main_content/001017160.pdf
- TikTok広告マネージャー ヘルプセンター「TikTokオークションIn-Feed広告」(2026年6月更新)。アスペクト比・解像度・動画の長さ・ファイル形式・ファイルサイズ・セーフゾーン。2026年9月30日確認 https://ads.tiktok.com/help/article/video-ads-specifications?lang=ja
- TikTok For Business「7 Top Tips for Making TikTok Videos」(PDF)。インフィード広告の推奨尺21〜34秒(Decision Tree Model based Ads Creative Performance Research, May – July 2021)。2026年9月30日確認 https://ads.tiktok.com/business/library/Top_Tips_One_Pager_SMB.pdf
広告の最低出稿金額・入稿規定・審査に関する記載は、TikTok for Business公式ヘルプの内容と弊社の運用経験に基づく実務知見です。円換算は1ドル=155円で統一しています(為替により変動)。仕様・ポリシーは改定されるため、出稿直前に公式ヘルプで最新の値をご確認ください。