SNS採用の事例3つ|広告20万円で7名、ライブ60時間で6名。支援先の紹介ではなく、自社の実数を単価まで出します

SNS採用の事例3つ

最終更新日:2026年10月13日
執筆・監修:豊田優人(株式会社BEEM 代表取締役)

この記事はこんな方に向けて書いています
  • SNS採用に興味はあるものの、「本当に人が採れるのか」が確かめられずに社内で止まっている中小企業の採用担当者・経営者の方
  • 事例記事を何本か読んだけれど、どれも「フォロワーが増えました」「話題になりました」で終わっていて、何人採れたのかが書いていないと感じている方
  • 大企業の事例ばかりで、自社の規模・業種に置き換えられないと感じている方
先に、この記事の立場をお伝えします

この記事に出てくる事例は、ほぼ全部が弊社(株式会社BEEM)自身の数字です。他社の取り組みを集めて紹介する記事ではありません。理由は単純で、他社の事例は採用人数まで開示されていないことがほとんどだからです。フォロワー数と施策の内容だけ並べても、「で、人は採れたのか」という一番知りたいところが埋まりません。ですので弊社の分を、期間・投入した金額と時間・応募数・面談数・採用人数・単価まで出します。
そのかわり、支援先の事例には数字が入っていません。公開してよい範囲の確認が取れていないためです。書けるのは業種まで。数字が無い事例は、無いと書きます。それが弊社にできる一番誠実な出し方だと思っています。

もう1つ、先に断っておきます。この記事の事例は3つともTikTok経由です。InstagramやX、YouTubeの事例が入っていないのは、それらの媒体で採用人数まで出せる一次データを弊社がまだ持っていないからです。持っていない数字で事例は作りません。どの媒体を選ぶかという話は、SNS採用とは?の記事の媒体の使い分けの章が担当しています。

この記事の担当範囲|「いくらかかるか」ではなく「何が起きたか」を並べます

最初に、隣の記事との役割をはっきりさせておきます。「SNS採用」まわりの記事は弊社にいくつかあって、それぞれ担当が違うからです。

記事 担当する問い 中心にあるもの
SNS採用とは?——始め方と、向いていない会社 そもそも何をすることなのか、どう始めるのか 求人媒体との違い、媒体の使い分け、始め方の5ステップ、デメリット
SNS採用の費用と運用代行の相場 いくらかかるのか 運用代行費と広告費の2階建て、料金レンジ、求人媒体1媒体分との比較、選び方
この記事 実際に何が起きたのか 期間・投入量・応募数・面談数・採用人数・単価。結果のカタログ
SNS採用の効果の測り方(※公開予定) 成果をどう測るのか 見る指標と、その指標をいつ見るか

お金の話は、この記事にはほとんど出てきません。広告費の20万円だけは事例の一部として出しますが、弊社の料金や相場の話は費用の記事の担当です。この記事は、そのお金と時間を入れたら何が出てきたか、だけを扱います。

この記事に入っている3つの事例

先に全体を出します。どれから読んでも大丈夫です。右端の列が、この記事でいちばん見ていただきたいところです。事例によって、出せている数字の細かさが違います。

事例 媒体・手法 時期 投入したもの 出た成果 数字の粒度
① 自社の採用募集 TikTok広告 2025年11〜12月(約40日) 20万円/クリエイティブ20本 リード95件 → 面談27件 → 採用7名 単価まで全部
② 自社の採用募集 TikTokライブ 2025年8月 60時間56分の配信 応募46件 → 面談32件 → 採用6名 単価まで全部
③ 自社アカウント TikTokオーガニック 累計(毒上司シリーズは2025年3月26日〜) 企画の設計(毒上司シリーズ) 100万再生超え137本・累計4.61億再生・フォロワー約47万人 再生とフォロワーまで
事例の読み方について、先に1つだけ。ここに出てくるのは弊社の数字であって、あなたの会社の数字ではありません。弊社はTikTokを5年以上やっていて、会社アカウントのフォロワーが約47万人ある状態からの実績です。同じ広告費を同じ日数入れても、同じ結果になるとは限りません。この記事で持ち帰っていただきたいのは数字そのものではなく、何をどれだけ入れると、どのくらいの規模の何が返ってくるのか、という桁の感覚のほうです。

【事例①・TikTok広告】約40日・20万円で、応募95件から7名の採用まで

いちばん再現しやすい事例から出します。弊社が自社の採用募集のために回したTikTok広告です。代理店に出した案件ではなく、自分たちの求人のために自分たちで回したものなので、途中の数字が全部残っています。実数は【実データ公開】TikTok採用の効果・費用・事例でも公開しています。

段階 実数 単価 ひとつ前からの転換率
期間 約40日(2025年11〜12月) —— ——
投下した広告費 20万円(クリエイティブ20本) 1本あたり約1万円 ——
リード(応募・問い合わせ) 95件 2,105円(20万円 ÷ 95件) ——
面談 27件 7,407円(20万円 ÷ 27件) 28.4%(27 ÷ 95)
採用 7名 約2.9万円/人(20万円 ÷ 7名) 25.9%(7 ÷ 27)

この表でいちばん強調したいのは、いちばん下の行です。20万円で7名。1人あたり約2.9万円。

採用単価の話をすると、たいてい最初に「本当ですか」と言われます。求人媒体の1枠と比べていただくと、桁が1つ違うことがあるからです(金額の比較は費用の記事の4章でやっています)。ただ、ここは正直に言っておきます。この数字がそのまま他社で再現するとは、弊社は思っていません。理由を3つ挙げます。

この採用単価が、そのまま他社に当てはまらない理由
  • オファーが軽い——採用の応募は、商品の購入に比べて申し込みのハードルが低い。同じCPL2,105円は、高額商材では出ません
  • クリエイティブが20本ある——20万円で20本を回した結果です。1本に20万円を集中させて同じ数字が出るとは、弊社は考えていません
  • 会社アカウントが先にある——広告を見た人が会社名で検索したとき、そこに5年分の動画があります。これは広告費に含まれていないコストです

途中の転換率のほうが、たぶん役に立ちます

採用単価は会社によって動きます。動きにくいのは途中の転換率のほうです。ここを自社の求人と比べると、どこで詰まるかの当たりがつきます。

  • 応募 → 面談:28.4%。応募が10件来ても、実際に会えるのは3件弱です
  • 面談 → 採用:25.9%。4人と会って1人
  • 応募 → 採用:7.4%。応募95件で7名。ここを逆算すると、1名採用するのに応募が14件ほど必要だった計算になります

「SNS採用で応募が100件来ました」という話を聞いたとき、この7.4%を当てはめると採用は7名前後だろう、という見当がつきます。応募数だけの事例を見せられたときは、この掛け算をしてから判断してください。

広告を出す前に、送り先はありますか

そのまま当てはまる会社:知名度が無い会社です。代表は「無名ならリーチは広告で取って、そこからホームページ・求人媒体へ送る」という組み方をします。事例①はそのままこの形です。採用を急いでいる場合、社内に顔を出せる人がいない場合も、広告はフォロワーの外へ配信されるので入口として成立します。

先に直したほうがいい会社:応募フォームやホームページなど「送り先」が用意できていない会社です。広告でリーチだけ買っても、着地する場所が無ければそこで止まります。順番を逆にしないでください(7章)。

【事例②・TikTokライブ】60時間56分の配信で、応募46件・6名の採用

次はお金をほとんど使っていない事例です。同じく弊社の採用募集で、TikTokライブを回したときの記録です。こちらの実数も実データ記事に載せています。

段階 実数 配信1時間あたり ひとつ前からの転換率
時期 2025年8月 —— ——
配信時間の合計 60時間56分 —— ——
応募 46件 0.75件 ——
面談 32件 0.53件 69.6%(32 ÷ 46)
採用 6名 0.10件 18.8%(6 ÷ 32)

配信1時間で応募が0.75件。逆に言うと、応募1件を取るのに約1時間20分しゃべっていた計算になります。1名の採用までなら約10時間です。地味に聞こえるかもしれませんが、この10時間には広告費が乗っていません。

ライブが効いた理由を、代表はこう説明しています

豊田優人

ライブ配信で、役員や会社のトップが何を考えているかを話す。すると、ふだんのコンテンツとのギャップで会社の中身が伝わって、信頼性が担保されて採用につながりました。

ここ、少し補足させてください。弊社のTikTokは、はっきり言ってふざけた動画が多いです。上司と部下のコントのような動画が中心です。それだけを見た方は、面白い会社だとは思っても、就職先として真面目に検討はしないと思います。

ところがライブで役員や会社のトップが何を考えているかを話すと、その印象が動きます。コントとのギャップが、そのまま信頼の担保になるという構図です。動画で入口を作って、ライブで詰める。そういう分担になっていました。

まず、誰が何時間しゃべるかを決めるところから

向いている会社:社長や役員が、自分の言葉で事業を話せる会社です。代表が挙げている効いた理由がまさにそこで、原稿を読み上げる場ではなく「何を考えているか」を話す場として使っています。予算が無い会社にとっても、広告費ゼロで回せる入口はここです。

先に決めたほうがいい会社:誰が何時間やるかを決めていない会社です。60時間56分は人の時間で、無料ではありません(4章)。もう1つ、弊社の場合はふだんのコントの動画が先にあった上での「ギャップ」でした。動画が1本も無い状態でライブだけを始めた場合にどうなるかは、弊社に記録がないので書けません。そのぶん、始める前に決められることは8章の表の「時間」の行にまとめてあります。誰が・何時間やるかを先に置いてから配信してください。

事例①と②を並べると、SNS採用は「お金で買うか、時間で買うか」に見えてきます

2つの事例は、狙いも採用人数もほとんど同じです。違うのは何を払ったかだけです。並べます。

事例①:TikTok広告 事例②:TikTokライブ
時期 2025年11〜12月(約40日) 2025年8月
払ったもの お金(20万円) 時間(60時間56分)
入口の件数 リード95件 応募46件
入口 → 面談 28.4% 69.6%
面談 → 採用 25.9% 18.8%
採用 7名 6名

この表を作ったとき、社内でいちばん話題になったのは真ん中の2行です。

入口から面談までの到達率が、ライブのほうが2倍以上高い。広告経由は28.4%で、ライブ経由は69.6%です。一方で面談から採用までは、広告経由のほうが高い(25.9%対18.8%)。同じ会社の、同じ年の、同じ求人です。

ここから言えること・言えないこと

言えること:入口の数を作るなら広告、面談まで来てもらう率ならライブ。どちらか一方だけでは、片方の弱点がそのまま残ります。弊社は同じ年に両方を回していて、結果として出てきた数字は補い合う形になっていました。

言えないこと:なぜライブ経由のほうが面談に到達しやすかったのか、その理由は確認が取れていません。「ライブで人柄を見てから応募しているので温度が高い」という説明はいかにも通りそうですが、弊社はそれを検証していません。ですので本記事では、事実として2つの率を並べるところまでにしています。

もう1つ、条件が揃っていません:事例①は「リード(申込・問い合わせ)」、事例②は「応募」で数えています。入口の定義が完全に同じではないため、69.6%と28.4%を厳密な比較として扱わないでください。

予算が無い会社は、時間で払えます(ただし無料ではありません)

「SNSは無料で始められる」という言い方を、弊社はあまりしません。事例②は広告費こそゼロですが、60時間56分ぶんの人の時間が入っています。この60時間56分を、自社の予定表に置いてみてください。

  • 1ヶ月(30日)で割ると、1日あたり約2時間。毎日2時間、誰かがカメラの前でしゃべっている状態です
  • 土日を外して営業日(月20日)だけでやるなら、1日あたり約3時間。日中の3時間を毎日空けられるかどうか、という話になります
  • 採用1名あたりで見ると約10時間(60時間56分 ÷ 6名)。1名採るのに、8時間労働の1日ぶんより長くしゃべっている計算です

なお、この60時間56分は配信時間の合計です(企画や準備、応募をさばく時間は別にかかります)。予定表に置くときは、そのぶん厚めに見ておいてください。

正直に書いておくと、この60時間を人件費に換算した数字を、弊社は出していません。誰がどの時間帯に配信したかまでは記録に残していないためです。ですので「広告20万円とライブ61時間、どちらが安いか」という比較はこの記事ではできません。できるのは、「うちにはお金と時間、どちらのほうが余っているか」で入口を選ぶという判断の立て方までです。

【事例③・オーガニック】毒上司シリーズ|再生は運ではなく、設計で取りました

3つ目は、弊社の会社アカウントそのものの話です。まず前提の数字から。

弊社アカウントの実績(2026年10月13日時点)
  • 100万再生を超えた動画:137本
  • 累計再生数:4.61億再生
  • 会社アカウントのフォロワー:約47万人
  • 公開中の投稿:607本

このアカウントで2025年に始めたのが『毒上司』シリーズです。1本目の投稿は2025年3月26日です。

着想は、レコメンド欄から来ています

豊田優人

看護師のとりちゃんさんの「OTBN」からヒントを得ました。前提として「4月に何か仕掛ける」と決めていて、新しいコンテンツを作る目的でレコメンドを見ていた最中に、看護師の女性が上司役とやりとりする動画が流れてきた。それが毒上司・やばい新人のフォーマットの原型です。

ここで大事なのは順番です。面白い動画を見つけたから企画にした、のではありません。「4月に仕掛ける」と先に決めて、その目で見ていたから拾えた。代表は企画の浮かび方を2パターンに分けていて、毒上司は後者だと言っています。

豊田優人

企画が浮かぶのは2パターンあります。なんとなく見ていて「使えそう」と思うパターンと、「新しいコンテンツを作りたい」と前提条件をセットして探しているパターン。毒上司は後者で、4月に仕掛けると決めた状態でレコメンドを見ていました。

バズった理由を、3つに分解しています

代表はこのシリーズがバズった理由を、はっきり3つに分けて説明します。事例として持ち帰れるのは、実はこの3つのほうです。

何をしたか なぜ効いたか
①トレンドの二重取り 4月=新社会人という世の中の注目と、退職代行という進行中の話題を掛け合わせた 片方は事前に予測できる(4月は毎年来る)。もう片方は今まさに走っている。予測できるほうを先に押さえておくと、走っているほうに乗るのが間に合う
②視聴者の二重構造 毒上司は、部下側が「自分はやばい部下では」と見て、上司側が「自分は毒上司では」と見る。やばい新人はその逆。どちらの動画も、上司と部下の両方が自分ごと化する 最後まで見る人が2種類いるので、総再生時間が伸びる設計になっている
③音源とターゲット年齢の一致 Number_iの「稲妻」を使用。狙った新卒=23歳前後と、アーティストのファン層を一致させた 狙う年齢とアーティストのファン層が一致するかで選んでいる(企画を出す前に確認している項目の1つ)

補助的な要素として、1発撮りでNGも使い切るリアルさと、誰でも真似できるフォーマットであることも挙がっています。真似されるとトレンドになるからです。編集についての方針もはっきりしています。

豊田優人

編集で作り込まないこと。NGカットも使い切ります。程よく形になりつつ、撮影時間も少なくて、人間味が出る、ちょっと崩れた感じも出る。そのくらいに留めます。作られた感が出すぎる動画はダメです。

採用の文脈でいうと、③の音源の話がいちばん実務的です。狙いたいのが23歳前後なら、その年齢が聴いている曲を使う。年齢層の話は感覚論に聞こえますが、20代のTikTok利用率は58.7%という調査結果もあります※1。狙う年齢が20代なら、そこにいる確率は半分以上ということです。

コメント欄が、次の企画の材料になりました

もう1つ、事例として持ち帰りやすい話があります。コメント欄の使い方です。

毒上司シリーズでは、届いたコメントを次の動画のテーマにそのまま転用していました。①テーマを考える手間が省ける ②転用された投稿者本人が嬉しい ③さらにコメントが増える、という循環です。

ただし、今から同じことを薦めてはいません

この事例だけ読むと「うちもオーガニックで頑張ろう」となりがちですが、代表は会社アカウントのオーガニックでバズらせて認知を取るやり方は、もう通用しなくなったと明言しています。理由はコンテンツの質ではなく構造の変化です。アカウント数とクリエイター数は全ジャンルで増え続けていて、一方でユーザー数は成熟している。1アカウントあたりの再生数が落ちるのは、構造的に当たり前だ、と。
ですので事例③から持ち帰るべきなのは「バズを狙え」ではなく、①②③の設計の考え方のほうです。リーチそのものは、事例①のように広告で取ったほうが早い、というのが今の弊社の立場です。

4月のように、人が動く時期を先に読める採用ですか

設計をそのまま使える会社:採用に季節性がある会社です。4月=新社会人のように、世の中の注目がいつ集まるかが事前に読める採用を持っているなら、①のトレンドの二重取りはそのまま使えます。もう1つは狙う年齢がはっきりしている会社。③の音源の話は、23歳前後を狙うと決まっていたから選べたものです。

当てはまらない会社:既存の動画をもとにした焼き直しの運用をしている会社です。代表が「もう通用しない」と挙げているものの中に、この焼き直し運用が入っています。もう1つ、代表が本気で反対しているものとして挙げている全員が同じ戦略・同じやり方を取っている状態も、ここでは効きません。①②③はどれも、他社の形をなぞるのではなく何を狙うかを先に自分で決めるところから始まる設計だからです。

支援先の事例について|この記事で出せるのは業種まで。自社の業種は5分で確かめられます

ここから支援先の話です。冒頭でお断りしたとおり、支援先の事例には数字が入っていません。

代表は、企画に気づく瞬間の直近の実例としてキャバクラの採用企画を挙げています(5章で引いた、企画が浮かぶ2パターンと同じ質問への答えです)。ただ、その企画の中身と、再生数・応募数・採用人数といった数字は、公開してよい範囲の確認が取れていません。この記事で書けるのは、業種までです。確認が取れ次第、この章に追記します。

自社の業種の事例は、TikTokの中で確かめられます

「うちの業種ではどうなのか」を知りたい場合、弊社の事例を待つより速い方法があります。TikTokの検索窓に、自分の業種名と「採用」を入れて検索してください。そのうえで、次の3つを見ます。

  1. 同業種の採用アカウントが何件出てくるか——多いなら、その業界ではすでに当たり前になっています。少ないなら、まだ先行者になれます
  2. その中で、再生が伸びている動画は何をしているか——社員が出ているか、社長が出ているか、仕事風景か
  3. コメント欄に、応募につながりそうな声があるか——「働きたい」「募集してますか」が並んでいれば、その業種では機能しています

これは5分でできます。他社の事例記事を10本読むより、この5分のほうが自社の判断には効きます。

3つの事例に共通していたのは、再生数ではなく「送り先」でした

ここまでの3つを、1つの軸で並べ直します。弊社が事例を振り返るときにいちばん見ている軸です。

豊田優人

バズっても1円にもならないアカウントというのがあります。何をしている会社か分からない、会社の信頼性を担保できるものがない。そして「どこで知ってもらい、どこへ送るか」の設計がないまま、TikTokのオーガニックだけで完結させようとしているアカウントです。

この「どこへ送るか」が、3つの事例すべてに入っていました。

3つの事例の「知ってもらう場所」と「送り先」を並べます

事例 知ってもらう場所 送り先
①広告 レコメンド欄(広告配信) 応募フォーム → 面談
②ライブ ライブ配信 応募 → 面談。ライブそのものが信頼を担保する場になっている
③オーガニック レコメンド欄(音源とフォーマット) 会社名での検索 → ホームページ・求人媒体

代表が繰り返し言っているのは、TikTok単体で完結させないことです。TikTokで知る → ホームページを検索する → 求人媒体や応募へ。この線が引けていないと、再生数がいくら出ても採用にはつながりません。だから撮影より先に決めるものがあります。

豊田優人

撮る前に、どこで自社を知ってもらうのかのチャネル設計を先に決めてください。知名度のある会社なら再生数はゼロでもよくて、会社の中身が分かる動画を置けばいい。無名ならリーチは広告で取って、そこからホームページ・求人媒体へ送る。

事例②のライブについては、代表が、ライブを「会社の中身を伝えて信頼性を担保する場」として挙げています。事例③は、5章で見たとおり、狙う年齢を先に決めてから音源を選んでいます。代表がすすめている順番は、上の言葉のとおりです。送り先を先に決めて、そのあとに再生と配信を取りにいく。

念のため書き添えておきます。事例②の面談到達率69.6%がこの設計によって出た数字なのかどうかは、弊社は検証していません(4章)。ここで書いているのは、代表が挙げている役割と順番だけです。

逆に、事例にならなかったアカウントについて

成功した3つだけを並べても、判断の材料としては足りないと思います。ただ、個別の失敗案件を数字つきで出すことは、公開の確認が取れていないためできません。逆側として言えるのは、この章の冒頭に置いた代表の言葉までです。何をしている会社か分からない、信頼性を担保できるものがない、送り先の設計がない。バズっても成果に変わらないアカウントの特徴として、代表が挙げているのはこの3つです。

あなたの会社は、どの事例に近いか|お金・時間・設計のどれで払うか

3つの事例を、自社に当てはめるための表を置きます。左端の3行が、払える資源の種類です。

払える資源 近い事例 こういう会社に向く 最初にやること 注意点
お金 ①TikTok広告 知名度が無い/急いでいる/社内に出せる人がいない クリエイティブを複数本用意して、少額から回す。事例①は20本での結果です。
1週間目は、出稿の前の2つ——クリエイティブを何本作るかを決めることと、応募フォームまでの線を引くこと
応募フォームまでの線を先に引く。広告を止めると流入も止まる
時間 ②TikTokライブ 予算が無い/社長や役員が自分の言葉で話せる/会社の中身に自信がある まず配信してみる。1名の採用に約10時間という桁を見込んでおく。
先に決めるのは、誰が・何時間やるか。4章の換算(1日あたり約2〜3時間)を予定表に当ててから始めてください
人の時間は無料ではない。誰が何時間やるかを先に決める
設計 ③毒上司 季節性のある採用(新卒・4月など)/狙う年齢がはっきりしている 誰のレコメンド欄に届けたいかを1つ決める。音源はそのあと。
まずは、届け先を1つに絞るところから。音源で届けるなら、狙う年齢とファン層が重なる曲。事例③は、ここを先に決めています
今からオーガニックだけで認知を取りにいくのは薦めません

3つとも無いなら、今は始めないほうがいいです

3つとも無い、という場合もあると思います。その場合の答えははっきりしていて、SNS採用は今やるべきではありません。始めても続かないからです。

「うちには合わない」と判断して手を出さないのは、半分正しい判断だと弊社は思っています。合わないなら、やらないほうがいいです。無理に始めて途中で止まるより、そのぶんを求人媒体に入れたほうが採用は進みます。売り込む立場でこう書くのは変ですが、続かない会社に始めてもらっても、弊社の事例が1つ増えないだけです。

SNS採用の事例について、よくある質問

入口の数と単価は会社によって変わりますが、途中の転換率は参考になります。応募から面談28.4%、面談から採用25.9%(事例①)。この2つは自社の現在の採用活動とも比べられるはずです。むしろ、いまの求人媒体経由の転換率がこれより良いなら、SNSに移す理由は薄いということになります。

ありません。冒頭にも書いたとおり、この記事の3事例はすべてTikTok経由です。他の媒体で採用人数まで出せる一次データを弊社が持っていないためで、持っていない数字で事例は作らない方針です。「どの媒体を選ぶか」を知りたい場合は、この記事ではなくSNS採用とは?の媒体の使い分けの章を読んでください。そちらが担当です。

成功事例だけ並べても判断材料にならないので、7章に、代表が挙げる「バズっても1円にもならないアカウント」の特徴を置きました。何をしている会社か分からない、信頼性を担保できるものがない、送り先の設計がない、の3つです。個別の失敗案件を数字つきで出すことは、公開の確認が取れていないためできません。特徴として言えるところまでを書いています。

事例①は約40日、事例②は1ヶ月ぶんの配信で採用まで行っています。ただしどちらも、会社アカウントが5年動いている状態からのスタートです。ゼロから始めた場合に何ヶ月かかるかについては、弊社は自社の記録を持っていませんので書けません。期間を待つ代わりに手元で進められることは、10章のSTEP.1〜3に置いてあります。いまの転換率を出す→払える資源を1つ決める→TikTokで自社の業種を見るの順で、今日のうちに終わります。

すみません、そのとおりです。業種プラス数字の事例は、公開してよい範囲の確認が取れ次第この記事に追記します。それまでは、6章に書いたTikTok内での検索で、同業種の採用アカウントを実際に見ていただくのがいちばん速いです。

公開の同意をいただいている範囲を超えるため、記事には書きません。個別のご相談の中でお話しできる範囲はありますので、そちらでお尋ねください。

事例①の広告は、フォロワー数とは別の経路です。広告はフォロワーの外に配信されるので、フォロワーがゼロでも配信自体は成立します。ただし広告を見た人が会社名で検索したときに何も無いと、そこで止まります。フォロワー数そのものより、7章の「送り先」があるかどうかを先に見てください。なおフォロワー数と応募数の相関について、弊社は実測を持っていませんので、「何人いれば足りる」という数字はお出しできません。

この記事の担当外です。運用代行費と広告費の相場、求人媒体1媒体分との比較はSNS採用の費用と運用代行の相場にまとめてあります。79社の公式サイトを開いて数えたものです。

指標の選び方と見るタイミングは、SNS採用の効果の測り方(※公開予定)で扱います。この記事は「何が起きたか」の担当で、「どう測るか」はそちらの担当です。その記事が出るまでの間に手元でできることは、10章のSTEP.1に置いてあります。応募→面談と面談→採用の2つの率を出して、事例①の28.4%・25.9%と並べる。まずはこの2つが、いちばん動かない物差しです。

まとめ:事例から持ち帰るのは、数字ではなく順番です

この記事の要点
  • 事例①(TikTok広告):2025年11〜12月・約40日・20万円でリード95件(CPL2,105円)→ 面談27件(7,407円)→ 採用7名(約2.9万円/人)。クリエイティブは20本
  • 事例②(TikTokライブ):2025年8月・60時間56分の配信で応募46件(0.75件/時)→ 面談32件 → 採用6名。1名の採用に約10時間
  • この2つを並べると、入口の数は広告、面談到達率はライブ(69.6%対28.4%)。逆に面談から採用は広告のほうが高い(25.9%対18.8%)。理由は検証できていないので、事実だけ置いています
  • 事例③(オーガニック):100万再生超え137本・累計4.61億再生・フォロワー約47万人。毒上司シリーズは①トレンドの二重取り②視聴者の二重構造③音源とターゲット年齢の一致で設計されている。ただし今から同じ手は薦めていません
  • 支援先の事例:代表が直近の実例として挙げたキャバクラの採用企画があるが、中身と数字は確認が取れていないため業種までにとどめた。自社の業種は、TikTokの検索で5分で確かめられる
  • 3つに共通していたのは「どこで知ってもらい、どこへ送るか」の線。TikTok単体で完結させない。撮る前にチャネル設計を決める
  • 自社に当てはめるときは、お金・時間・設計のどれで払えるかで入口を選ぶ。3つとも無いなら、今は始めないほうがいいです

この記事を閉じたあと、今日のうちに終わることを3つ置いておきます。上から順にやってください。順番に意味があります。

STEP.1
いまの採用活動の転換率を2つ出す(15分)
応募 → 面談と面談 → 採用の率を、いまの求人媒体経由で出してください。事例①の28.4%・25.9%と並べるためです。ここでSNSより良い数字が出たなら、SNSに移す理由は今のところ薄いということになります。そう分かることにも価値があります。
STEP.2
払える資源を1つ決める(5分)
お金・時間・設計のどれで払うかを、8章の表で1つだけ選んでください。3つとも無いなら、今は始めないという結論で構いません。2つ以上を同時に始めないこと。どれが効いたのか分からなくなります。
STEP.3
TikTokで自社の業種を見る(5分)
自社の業種名+採用で検索し、6章の3つの観点で見てください。同業種の採用アカウントが何件あるか、伸びている動画は何をしているか、コメント欄に応募につながる声があるか。他社の事例記事を10本読むより、この5分のほうが自社の判断には効きます。

応募から面談への率を出していない会社は、SNSを始めても成果を判断できません。再生数が伸びたかどうかしか、見るものが無くなるからです。逆に言えば、この2つの数字さえ手元にあれば、この記事の事例①②はそのまま自社の物差しとして使えます。

つまずくといっても、数字が無いのではなく、3か所に分かれていることがあります。応募の件数は求人媒体の管理画面、面談の予定はカレンダー、採用に至った人は入社手続きの書類。別々の場所にあるので、割り算にならない。STEP.1の実作業は、この3つを同じ紙の上に並べるところまでです。15分と書いたのは、集計ではなく並べるだけだからです。並べたあとに、8章の表で払える資源を1つ選び(STEP.2)、TikTokで自社の業種を見る(STEP.3)。ここまでが今日ぶんです。

そのうえで、送り先の設計まで一緒に決める相手が必要でしたら、弊社にご相談いただくこともできます。何を準備すればいいか分からないと思いますので、最初に何を聞かれるかを先に出しておきます。

ご相談で、弊社が最初に確認する3点
  • ①どんな人材が欲しいのか——ここに合わせてコンテンツを組まないと、必ず外します。年齢まで決まっていると、事例③の音源の話がそのまま使えます
  • ②どこで自社を知ってもらうのか——ホームページなのか、求人媒体なのか、SNSなのか。この記事の7章でいう「送り先」にあたる部分です
  • ③リーチをオーガニックで取るのか、広告で取るのか——そのまま8章の表の「お金か、時間か、設計か」です

この3点は、相談しなくてもご自身で決められます。決めたうえで来ていただくと話が速い、というだけの話です。決まらない部分を一緒に整理するところからでも構いません。

関連記事

SNS採用とは?自社で4.61億再生を出した会社が、始め方と「向いていない会社」まで正直に話します SNS採用の費用と運用代行の相場|79社の公式サイトを開いて、月額の中身を分解しました 【実データ公開】TikTok採用の効果・費用・事例|7名採用・単価2.9万円を実現した方法 TikTok採用とは?100万再生を181本出した僕らが、費用・企画・KPI・炎上対策まで全部話します TikTok採用の動画は何を撮る?応募につながる3つの役割と、最初の5本の撮影リスト TikTok採用の動画は何を撮る?応募につながる3つの役割と、最初の5本の撮影リスト

「(※公開予定)」の3本は、まだ公開していません。公開までの間は、始め方と媒体の使い分けはSNS採用とは?、金額は費用の記事がそれぞれ担当しています。効果の測り方については、この記事の2章の転換率(28.4%・25.9%)と10章のSTEP.1を、そのまま自社の物差しとして使っていただけます。


この記事を書いた人

株式会社BEEM代表取締役 豊田優人

豊田優人(とよだ・ゆうと)|株式会社BEEM 代表取締役

自社TikTokアカウント群を運用し、100万再生を超えた動画は137本、累計4.61億再生。会社アカウントのフォロワーは約47万人(2026年10月13日時点)。会社アカウントの企画を自ら担当し、自社の採用募集ではTikTok広告とTikTokライブの両方を回している。複数のメディアで取り上げられたほか、大学での登壇歴がある。株式会社BEEMは、採用をメインとしたTikTokの運用支援・広告運用を提供している。

出典

  1. 総務省情報通信政策研究所「令和6年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(令和7年6月公表)。TikTok利用率:全年代33.2%/10代65.7%/20代58.7%。本記事5章で、狙う年齢層がその媒体にいるかどうかの裏づけとして参照しています。2026年7月26日に記事01・03でURLの実在と当該数値を確認済み(令和7年度版が公表されているため、公開時に最新版の数値を確認すること) https://www.soumu.go.jp/main_content/001017160.pdf
本文中のデータと、この記事が書いていないことについて
本文中の事例の数字は、特記なき限り弊社(株式会社BEEM)の実測データ(自社調べ)です。事例①はTikTok広告の管理画面と自社の採用記録、事例②はライブ配信の記録と自社の採用記録、事例③は公開中の投稿から数え直した実績(2026年10月13日時点)によります。事例①②の実数は【実データ公開】TikTok採用の効果・費用・事例でも公開しており、本文の転換率はその実数を本文中の式で割ったものです。自社TikTokアカウント(@beem_official)は公開されていますので、いつでも見に行って確かめていただいて大丈夫です。
事例③の100万再生超え137本・累計4.61億再生・フォロワー約47万人は、会社アカウント全体(公開中の607本)を2026年10月13日時点で数え直した数字です。これとは別に、動画ごとの数字を転記している記録シートがあり、そちらには136本分(合計2億7,353万回)が入っています。集計の範囲が違うので、数字も一致しません。なお記録シートの136本は反響の大きかった動画から順に転記されたもので、無作為抽出ではありません。
また、事例①の「リード」と事例②の「応募」は、数え方が完全に同じではありません(前者は広告経由の申込・問い合わせ、後者は配信経由の応募)。4章で2つを並べていますが、転換率を厳密な優劣の比較として扱わないでください。
このキーワードに関して、本記事は①支援先の事例の中身と再生数・応募数・採用人数・期間・費用 ②業種ごとの成果の違い ③ライブ配信の人件費換算 ④フォロワー数と応募数の相関 ⑤ゼロから始めた場合に成果が出るまでの期間 ⑥事例②で面談到達率が高かった理由 ⑦個別の失敗案件の内訳を書いていません。①②⑦は公開してよい範囲の確認が取れていないため、③〜⑥は弊社が実測・検証を持っていないためです。⑦については、案件そのものではなく8章の「バズっても1円にもならないアカウント」の特徴として言える範囲までを書いています。他社記事の一般論を借りて埋めることはしていません。

SNS採用でお困りなら

採用につながるSNS運用、まるごとお任せください

無料で相談してみる

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です