TikTok広告の効果は?出る商材・出ない商材と測り方、出稿の判断基準

TikTok広告の効果は?出る商材・出ない商材と測り方、出稿の判断基準

最終更新日:2026年10月13日
執筆:株式会社BEEM(BeeMedia編集部)/監修:豊田優人(株式会社BEEM 代表取締役)

この記事はこんな方に向けて書いています
  • TikTok広告を検討しているが、自社の商材で本当に効果が出るのかが決めきれないマーケ・販促担当者、経営者の方
  • 上司や社長に「TikTok広告って効果あるの?」と聞かれて、何を根拠に答えればいいか分からない方
  • すでに出稿したものの、効果があったのか、なかったのかを言い切れない方
先に、この記事の結論をお伝えします

TikTok広告に効果があるかどうかは、「何を効果と呼ぶか」を先に決めないと答えられません。公式の調査でも、テレビと比べると、テレビは認知で強く、TikTokは「ブランドから思い浮かぶイメージ」や「買いたい気持ち」といった認知の一歩先で強い、という形で結果が分かれています(公式に示されている倍率はテレビと長尺動画との比較で、他のSNSとの比較は示されていません)。

そのうえで、効果が出やすいのは届けたい人がTikTokにいる/動画で中身が伝わる/広告を見た人が検索したときの受け皿がある/動画を替え続けられる商材です。管理画面が数えるのはその場の行動までなので、自社名での検索や来店・契約といった管理画面の外の数字まで並べて判断します。

7章に、出稿するかどうかを自分で決められるチェックリストを置きました。

「TikTok広告って、うちでも効果あるの?」に答えられますか

経営会議で、社長にこう聞かれたとします。「最近TikTok広告ってよく聞くけど、うちでも効果あるの?」

調べてみると、「若者に届く」「認知が一気に広がる」と書く記事もあれば、「売上にはつながらない」「BtoBには向かない」と書く記事もある。同じ媒体の話なのに、言っていることが逆です。結局「やってみないと分かりません」と答えるしかなく、話は止まってしまう。

言っていることが逆になる理由の1つは、書き手ごとに「効果」の意味が違うことです。認知の話をしている人と、申込の話をしている人が、同じ「効果」という言葉を使っている。

この記事では、TikTokが公表している調査と公式ヘルプの仕様、そして100万再生を超えた動画を自社アカウントで137本(累計4.61億再生)出してきた弊社・株式会社BEEMの代表、豊田優人の考え方をもとに、自社にとっての「効果」を決めて、出すかどうかを判断するまでの手順をお渡しします。

この記事でわかること
  • TikTok広告の「効果」の種類と、公式の調査で確認できる効果の出方
  • 効果が出やすい商材・出にくい商材を見分ける6つの観点
  • 管理画面の中と外で、効果をどう測るか
  • 効果が出ないとき、原因がどこにあるかの切り分け方
  • 出稿を決める前のチェックリストと、結果ごとの次の一手
棒グラフを表示したノートパソコンと、円グラフを表示したタブレット、電卓
イメージ(写真:photoAC)

TikTok広告に効果はあるのか|先に「何を効果と呼ぶか」を決める

「TikTok広告に効果はあるか」という問いに、ある・ないの二択で答えることはできません。TikTok広告マネージャーでは、広告を出すときに最初に目的を選びます。公式ヘルプでは、目的は大きく3つに分けられています※1。

  • ブランド認知:ビジネスや商品の認知度を高めたいとき(リーチ)
  • 購買検討:ビジネスを認知してもらい、さらに情報を求めてもらいたいとき(トラフィック、動画視聴数、コミュニティインタラクションなど)
  • コンバージョン:商品の購入やアプリのインストールなど、行動を実行してほしいとき(アプリプロモーション、リードジェネレーション、販売)

広告のほうが、最初から「何のために出すのか」を聞いてくるわけです。認知のために出した広告を、申込の数で「効果がない」と判断する。効果の判断がずれる形の1つが、これです。

公式の調査でも、効果の出方は目的ごとに違う

TikTok for Businessが調査会社のKantarと共同で、2021〜2025年に日本国内で実施された35事例をまとめて分析した結果(メタ分析)があります。テレビと比べると、テレビは認知で依然として強みを持つ一方、TikTokはブランド連想(そのブランドから思い浮かぶイメージ)や購買意向といった、認知の一歩先の指標で際立った成果が出たとされています※2。どちらもアンケートで測った「意識の変化」で、申込や購入の数ではありません。

広告の量あたりでどれだけブランドの指標を押し上げたか(100GRPあたりのブランド・リフトのシェア)で比べたROIは、テレビの2.4倍、長尺動画のプラットフォームの2.0倍でした※2。ただし公式ブログが倍率を示しているのはテレビと長尺動画との比較だけで、他のSNSとの比較は示されていません。「どのSNSよりも効果が高い」とまでは、この調査からは言えません。

行動の側の数字もあります。TikTok for Businessの公式ブログでは、実店舗の売上について、広告に接触したグループと接触していないグループを比べた結果として、売上金額の増加(セールスリフト)+7.2%、購買行動の増加(購買リフト)+4.1%を紹介しています※3。

どちらの資料も、「効果がある」を1つの数字では言っていません。テレビと比べると、認知そのものはテレビが強く、TikTokが強く出たのはその先。他のSNSとの比較は示されていない。売上は実店舗での接触・非接触の比較です。自社で「効果があるか」を問うときも、この分け方から始めます。

目的ごとに「効果と呼ぶもの」を並べると、次のようになります。

目的の分類 効果と呼ぶもの 管理画面で見える数字の例 管理画面の外で見る数字の例 公式の調査で出ている結果
ブランド認知 届けたい人に知ってもらい、覚えてもらう リーチ数、動画の視聴 会社名・商品名での検索数 認知のリフトそのものはテレビが強い。テレビにTikTokを重ねると、テレビだけでは届かなかった人へのリーチが+10.1%上乗せされた※2
購買検討 興味を持った人に、サイトやプロフィールまで来てもらう クリック数、サイトへの訪問 サイト内の回遊、資料の閲覧 テレビ・長尺動画と比べて、ブランド連想・購買意向で際立った成果(アンケートで測った意識の変化で、クリック数とは別のもの)。他のSNSとの比較は示されていない※2
コンバージョン 申込・購入・予約など、行動してもらう コンバージョン数、コンバージョン単価 来店、契約、次の注文 実店舗のセールスリフト+7.2%(接触・非接触の比較)※3

※この記事の数字の扱いについて。公式の調査の数字は、TikTok for Businessが公表している複数の広告主の平均や比較で、自社の商材で同じ幅になるとは限りません(※4の記事には調査の対象や期間が書かれていません)。弊社がTikTok広告の実績として公開しているのは自社の採用募集の数字だけで、業種ごとの効果を示せる数字はありません。4章以降の観点・メモ・チェックリストは、代表の考え方と公式ヘルプの仕様から編集部が作った判断の道具で、満たせば効果が出るという合格ラインではありません。

表の右から2列目を見てください。どの目的でも、最後に会社のお金になる数字は管理画面の外にあります。ここを含めて「効果」を決めておかないと、あとで判断ができません。見る指標の順番や読み方の細部は「TikTok広告の運用のやり方」に任せて、この記事では何を効果と呼ぶかまでに絞ります。

TikTok広告の運用のやり方 TikTok広告の運用のやり方|出稿後に見る指標の順番と週次の回し方

知名度でも、「効果と呼ぶもの」は変わる

効果の定義を左右するものが、もう1つあります。自社がすでに知られているかどうかです。

豊田は、動画を撮る前に「どこで自社を知ってもらうのか」のチャネル設計を先に決めろ、と言います。そのうえで、知名度のある会社なら再生数は0でよく、インタビューなど会社の中身が分かる動画を置けばいい。無名の会社は、見てもらう数を広告で買い、ホームページや求人媒体へつなげる。

これを効果の定義に当てはめると、名前が知られている会社がTikTokの動画に求めるのは「見に来た人に中身が伝わること」で、再生数を効果と呼ぶ必要はありません。まだ知られていない会社は、知ってもらうこと自体が最初の効果で、それを広告で取りにいく。同じTikTok広告でも、どちらの立場で出すかで、上の表のどの行から始めるかが変わります(販促なら、送り先は自社サイトや申込ページに置き換えて考えられます)。

なぜ今、TikTokで「広告」なのか|利用者の広がりと、オーガニックの変化

TikTokを使っているのは、もう10代だけではない

まず、届く相手がどれだけいるか。総務省情報通信政策研究所の調査(令和7年度、13〜79歳の1,800人が対象)では、TikTokの利用率は全年代で36.7%でした。70代も含めて再集計した2020年度の14.9%から、毎年増え続けています※4。

年代 10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代
TikTok利用率 67.9% 61.5% 44.7% 42.6% 32.2% 21.2% 11.1%

出典:総務省情報通信政策研究所「令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書(概要)」※4。男女別では男性31.8%、女性41.7%。

30代・40代でも4割を超えています。「若者向けの商材でないと意味がない」とは、少なくとも利用者の数からは言えません。一方で、60代は2割、70代は1割ほど。届けたい人がどの年代かで、そもそも届く母数が違うことは、4章の1つ目の観点になります。

「オーガニックでバズらせて認知を取る」は、もう通用しない

次に、なぜ「広告」なのか。TikTokは、フォロワーがいなくても動画がおすすめに載れば広く見られる場所です。だから「広告費をかけずに、会社のアカウントでバズらせればいい」と考えたくなるところです。豊田は、それがもう通用しなくなった手法だと言います。

豊田優人

会社アカウントのオーガニックでバズらせて認知を取る。昔はこれが最も費用対効果の良い認知獲得手段だった。通用しなくなった理由は、コンテンツ力の低下じゃなくて、アカウント数・クリエイター数の増加と、ユーザー数の成熟という構造の変化。

豊田によれば、アカウント数・クリエイター数は全ジャンルで増え続けていて、撤退している業界はない。一方でユーザー数は成熟しているので、1アカウントあたりの再生数が落ちるのは構造的に当たり前です。同じ面白さの動画を出しても、昔より見てもらえる回数は減る。

1章の「無名ならリーチは広告で取る」という話は、この変化の上に乗っています。TikTok広告は、オーガニックでは取りにくくなった「知ってもらう機会」を、お金を払って取りにいく手段で、成果はTikTokの外(自社サイトや申込先)で受け止めるもの。この記事の測り方も判断の道具も、この位置づけから組んでいます。

弊社の採用広告では、効果の続きが管理画面の外にあった

弊社がTikTok広告の実績として公開しているのは、自社の採用募集で約40日・広告費20万円をかけた配信で、リード95件、そこから面談27件、採用7名という結果でした。1章の表でいえば「コンバージョン」の行で、リードから先の面談と採用は、広告の管理画面の外で起きた成果です。会社にとっての効果(人が入社したこと)は、右から2列目まで追いかけて初めて見えました。

採用募集では、ライブ配信(60時間56分で応募46件、面談32件、採用6名)の数字や、広告にライブを重ねて最短1週間で面談まで進んだ例も持っています。広告単体の数字だけで効果を閉じず、別の接点の数字と並べておくと、判断の材料が増えます。採用目的でTikTok広告を検討しているなら、効果と呼ぶ数字は応募で止めずに、面談・採用まで置いておくのがこの記事の考え方です。

効果が出やすい商材・出にくい商材を見分ける6つの観点

「うちの商材はTikTok広告に向いているか」。業種の名前で白黒をつけることはできませんが、効果が出やすい状態かどうかは、出す前に見立てられます。代表の考え方と利用率の数字から、編集部で6つの観点に整理しました。

観点 効果が出やすい状態 効果が出にくい状態
1. 届けたい人がいるか 届けたい人の年代・性別でTikTokの利用率が高い(2章の表) 届けたい人の大半が、利用率の低い年代に集中している
2. 動画で中身が伝わるか 使う場面・働く人・使う前と後の変化を、見せられる 中身が文字や数表でしか説明できず、何の会社か動画で伝わらない
3. 受け皿があるか 広告を見た人が自社名で検索したとき、事業の中身と信頼の根拠を示すページが出てくる 検索しても情報が出てこない、または申込まで進めないページしかない
4. 乗れる時期があるか 世の中の注目が集まる時期に、商材を結びつけられる 一年中、同じ訴求しかできない
5. 作り込まずに撮れるか 社員やお店の日常を、手間をかけずにそのまま撮れる 決められた素材・表現以外は出せない
6. 動画を替え続けられるか 見飽きられる前に、形の違う次の動画を出せる 1本を長く回し続けるしかない

観点1は総務省の利用率の数字に、観点2〜6は代表の言葉に根っこがあります。順に見ていきます。

観点1〜3:届くか、伝わるか、受け止められるか

1つ目は2章のとおり、母数の話です。2つ目と3つ目は、豊田が「バズっても1円にもならないのはどんなアカウントか」と聞かれたときの答えにつながっています。

豊田優人

「何をしている会社か分からない」「会社の信頼性を担保できるものがない」アカウント。それと、「どこで知ってもらい、どこへ送るか」のチャネル設計がないまま、TikTokのオーガニックだけで完結させようとしているアカウント。

オーガニックの話ですが、広告でも同じことが起きます。広告で見てもらえても、動画で「何の会社か」が伝わらなければ次の行動は起きず、見た人が検索したときに信頼できる情報がなければ、そこで止まります。採用の場面について豊田が描いている順路は、TikTokで知った人がホームページを検索し、そこから求人媒体や応募へ進むというもの。販促に置き換えれば、自社サイトを検索して申込や購入へ進む順路です。広告の効果は、この順路の2歩目、検索した先に何があるかで変わります。

観点4:時期に乗れるか

4つ目の「時期」は、豊田のトレンドの定義から来ています。豊田にとってトレンドとは「TikTokの中で流行っている動画」のことではありません。いま世の中の注目が集まっているもののことで、だから4月なら新社会人、12月ならクリスマスと、前もって読めると言います。

弊社の自社アカウントの「毒上司」シリーズは、この考え方で時期を選んだ例です(広告ではなく、オーガニック投稿の例です)。豊田はバズった理由の1つ目に「トレンドの二重取り」を挙げています。4月に新社会人が増えるという世の中のトレンドに、退職代行という進行中のトレンドを掛け合わせた、というものです。題材に「上司」を選んだのも、4月に世の中の注目が集まるのは会社・上司・部下の関係だから、という時期の必然からでした。

販促に置き換えると、問いは「自社の商材が、どの月の世の中の関心と重なるか」です。新生活の3〜4月、年末の11〜12月のように日付が先に分かっている時期に商材を結びつけられるなら、観点4は出やすい状態。1つも思い当たらないなら、出にくい状態です。

観点5・6:作り込まずに撮れるか、替え続けられるか

5つ目と6つ目は、TikTokを見る側が変わったことへの対応です。豊田の見立てでは、2025年3月頃を境に、作り込みすぎない、TikTokの完成動画とInstagramのストーリーズの中間くらいのリアルな空気感の動画が伸びるようになりました。企画を出す前に確認していることにも「撮影の手間が小さいか」が入っています。そして6章で触れるとおり、見る側は、少しでも見たようなスタイルだと先を予測してスクロールします。作り込まない動画を、形を変えながら出し続けられるかは、商材というより社内の体制の問題です。

公式の事例:クレジットカードの新規会員獲得

実在の事例も1つ見ておきます。TikTok for Businessの活用事例ページにある三井住友カード(NL)の事例です※5。目的は、若年層や初めてクレジットカードを持つ層の新規会員獲得。広告に、TikTokの中で完結する抽選キャンペーン(インスタントウィン)を組み合わせました。成果として挙がっているのは、TikTokアカウントの社名検索数とフォロワー数の増加と、ブランドリフト調査で広告認知・キーワード想起・ブランド想起・意向の4指標すべてに有意なリフトが確認されたこと(ページにある「114%」「12倍」は、何と比べた数字かが書かれていません)。

編集部の読み方では、届けたい人がTikTokにいるという観点1の分かりやすい例です。そして会員獲得が目的でも、ページが成果として挙げているのは会員の数ではなく、社名検索やブランドの指標でした。1章の「何を効果と呼ぶか」を、事例の側から見せてくれています。

架空の3社に当てはめてみる

自社の商材では、どう見立てるか。販促の例で当ててみます(いずれも架空の会社です)。

  • 地方の工務店(完成見学会の予約):30〜40代の子育て世帯に届けたいなら、観点1はクリア。建てた家や職人の手元は動画で見せやすく、観点2・5も強い。弱いのは観点3で、会社名で検索したときに施工事例と見学会の申込ページがすぐ出るか。ここを先に整えてから出して確かめたい
  • 冷凍食品のEC(初回購入):調理の前と後の変化を見せやすく、観点2は強い。「新生活」「年末の帰省」など、観点4の時期も作りやすい。心配は観点6で、同じ商品の同じ見せ方を回し続けると飽きられる。替える動画を月に何本出せるかを先に決めておく
  • 業務ソフトの会社(資料請求):使う人が30〜40代の会社員なら、観点1は数字の上では届く。一方、画面の操作だけでは観点2が弱くなりがちで、「導入前の残業の多い職場」のような、使う前と後の変化を人で見せられるかが分かれ目。社名がまだ知られていないなら、1章のとおり、まず知ってもらうことを効果と呼ぶ設計もありえる

6つのうち「出にくい状態」が多いほど、広告費より先に手を入れる場所があるということです。何から手をつけるかは、7章のチェックリストで決めます。

グラフのレポートと虫眼鏡
イメージ(写真:photoAC)

TikTok広告の効果の測り方|管理画面の中と外

1章で決めた「効果と呼ぶもの」を、実際にどう数えるか。管理画面の中と外に分けて考えます。

管理画面の中:時間を使ってもらえたか、行動したか

認知が目的なら、何人に届いたか(リーチ数)に加えて、どれだけ見てもらえたかを見ます。豊田は投稿後に見る数字について、こう言っています。

豊田優人

とりあえず時間を食べさせることが1番大事。

豊田がいちばん重く見ているのは総再生時間です。理由は運営会社のByteDanceの稼ぎ方からの逆算で、広告で稼ぐ以上、利用者の数と滞在時間が落ちれば広告の成果も落ちる。それなら、利用者の時間を長く使わせる動画や作り手ほど優遇されるはずだ、という考え方です。認知の効果を語るなら、表示回数だけでなく見た人の時間を使えたかまで含めておくと、中身のある「認知」になります。どの指標でどう見るかは「TikTok広告の運用のやり方」にまとめています。

行動が目的なら、見るのはコンバージョン数です。ここで1つ知っておきたいのが、ビュースルーアトリビューション(VTA)です。公式ヘルプでは、広告が視聴されたもののその場ではクリックされず、その後のアトリビューションウィンドウ内に発生したコンバージョンを測るものと説明されていて、クリックに基づく数より多くなるのが一般的とされています。ウィンドウの長さについては、アプリの計測を担う外部の計測パートナー(MMP)のほとんどが1〜24時間を備えており、24時間(1日)を保つことが勧められています※6。レポートの数字がクリック経由だけか、視聴経由も含むかを確かめてから、効果を語ってください。

管理画面の外:目的ごとに、外で見る数字を1つ

反対に、管理画面が数えられない効果もあります。広告を見た人が、その日は押さずに、数日後に自社名で検索して申し込む。4章の観点3で見た順路は、まさにこれです。外で何を見るかは、1章の表の目的で変わります。

  • 認知が目的なら:出稿している期間に、会社名・商品名での検索が増えたか
  • 検討が目的なら:申込フォームの「きっかけ」欄に置いたTikTokの選択肢を選んだ人の数
  • 行動が目的なら:申込の先で起きたこと。工務店なら見学会の予約から契約、冷凍食品ECなら初回購入から次の注文、業務ソフトなら資料請求から商談

会社名での検索は、GoogleのSearch Console(自社サイトが検索でどう表示されたかを確認できる無料のツール)で、会社名や商品名を含む検索語の表示回数を週ごとに並べると追えます。フォームの「きっかけ」欄は、選択肢を1つ足すだけで今日から取れます。どちらも出稿を始める前から数え始めるのがコツです。始めてから数えると、比べる相手がありません。

外の数字には、季節や他の施策の影響も混ざります。比べるときは、出稿前の同じ長さの期間、あるいは出稿している地域としていない地域と並べると、広告の影響を見分けやすくなります。こうした数字を社内の誰がいつ広告の担当に渡すかは、「TikTok広告の運用のやり方」で扱っています。

「広告がなかったら起きなかった分」を公式に測る方法

予算に余裕がある場合は、TikTokが用意している調査も選択肢です。どちらも、広告を見せる群と見せない群に分けて差を比べる仕組みで、1章で紹介した実店舗の比較と同じ考え方です。

  • ブランドリフト調査:アンケートと統計手法を組み合わせ、ブランド認知や広告想起などの差を測る。設定はアカウントマネージャーのみ可能※7
  • コンバージョンリフト調査:広告に接触しなければ発生しなかった追加のコンバージョン数を算出する。目的と調査範囲に応じた最低出稿費の要件がある※8

使えない規模なら、上の「出稿前と比べる」「地域で分ける」が、手元でできる代わりの方法です。

出稿前に書いておく「効果の定義メモ」

ここまでを、出稿前に1枚のメモにしておきます。このメモがあるだけで、配信後に「効果あった?」と聞かれたときに答えられます。

効果の定義メモ(出稿前に書く5行)
  1. 目的:認知/検討/行動のどれか(1章の表。自社がすでに知られているかも踏まえて)
  2. 効果と呼ぶ数字:1つだけ。例:見学会の予約数、会社名での検索数
  3. 途中で見る数字:管理画面で追う数字。行動が目的なら、クリック経由か視聴経由も含むかを明記
  4. 比べる相手:出稿前の同じ長さの期間/出していない地域/他の媒体
  5. 判断する日:日付で書く(6章の問い1も参照)

架空の工務店なら、「目的=行動。効果と呼ぶ数字=完成見学会の予約数。途中で見る数字=予約ページへのクリック数とコンバージョン数(クリック経由と視聴経由を分けて)。比べる相手=前年の同じ時期の予約数と、会社名での検索数。判断する日=配信開始から5週目の月曜」。これで、会議で話す中身が決まります。

「効果が出ない」と感じたときの原因の切り分け

すでに出稿していて、「効果が出ていない気がする」。そう感じたときは、動画を作り直す前に、原因がどこにあるのかを切り分けます。次の6つの問いに、上から順に答えてください。

効果が出ない原因を切り分ける6つの問い

問い1
判断するのが早すぎないか
配信を始めてしばらくは、仕組みが配信先を学んでいる途中(学習期間)で、数字が大きく揺れます。公式ヘルプによれば、揺れが落ち着き始める目安は、成果が約25件たまるか、7日たったころです※9。その前の数字で「効果がない」と決めていないか。
問い2
目的と「効果と呼ぶ数字」がずれていないか
認知の目的で出しているのに、申込の数で判断していないか。逆に、行動の目的なのに再生数を見て喜んでいないか。1章の表と、5章の効果の定義メモに戻ります。
問い3
数えられているか
申込があったのに、管理画面のコンバージョン数がゼロのまま、ということはないか。視聴経由の数を含むかどうかでも、数字は変わります(5章)。計測の設定の確かめ方は「TikTok広告の運用のやり方」へ。
問い4
動画が見られているか
届いているのに見られていないなら、まず疑うのは動画です。下の豊田の話を参照。直し方は「TikTok広告の動画の作り方」へ。
問い5
押された先で止まっていないか
動画は見られ、押されてもいるのに申込がないなら、疑うのは送り先のページか、検索したときの受け皿です。4章の観点3に戻ります。
問い6
その先で、呼んでいる人がずれていないか
申込は来ているのに来店・契約につながらないなら、広告が呼んでいる人と、来てほしいお客様がずれている可能性があります。届け先の考え方は「TikTok広告のターゲティング設定完全ガイド」へ。

上から順に答えるのは、下の問いの症状が、上の問いの原因から来ていることがあるからです。判断が早すぎたり、そもそも数えられていなかったりすれば、動画を作り直しても何も分かりません。

架空の冷凍食品ECで、6つの問いをたどってみる

4章の冷凍食品のECが、初回購入を取る広告を出して3週目。社内から「TikTok広告、効果ないんじゃない?」という声が出ました。

  • 問い1:配信開始から3週間たち、学習期間の目安は過ぎている。判断してよい時期
  • 問い2:目的は行動(販売)、効果と呼ぶ数字は初回購入数。ずれていない
  • 問い3:管理画面の購入数は12件。一方、注文フォームの「きっかけ」でTikTokを選んだ人は31件。管理画面が数えていない購入がある。視聴経由を含めているか、計測の設定を確かめる
  • 問い4〜6:問い3を直してから、改めて見る

この会社は、問い3を飛ばして動画を作り直していたら、効果が出ていた広告を止めるところでした。5章で「きっかけ」欄を出稿前から置いておく意味は、ここにあります(数字はすべて架空です)。

問い4で多いのは「見たことのある動画」

動画が見られない理由として、豊田は直近1年で見る側が変わったことを挙げています。

豊田優人

ユーザーが育って、少しでも見たようなスタイルだと、動画の後を無意識に予測されてスクロールされる。それと、「運用代行が入っているんだろうな」とステマ的に見る目線のユーザーが増えた。

豊田は伸びる動画と伸びない動画の分かれ目を、時期(トレンド)に乗れているか/今にない・見たことのないフォーマットか/作り込みすぎていないか、の3つだと言います。4章の観点4〜6と同じ並びです。問い4で引っかかったら、出す前に見立てたこの3つに、配信中の動画をもう一度当ててみてください。

出稿を決める前のチェックリスト

ここまでの内容を、出稿前に確かめるリストにまとめました。「はい」か「いいえ」で答えてください。

TikTok広告の出稿前チェックリスト

A. 届く相手

  • 届けたい人の年代・性別が決まっていて、その層のTikTok利用率を確かめた(2章)

B. 効果の定義

  • 自社の知名度を踏まえて、目的(認知/検討/行動)を1つに決めた(1章)
  • 効果と呼ぶ数字を1つに決め、管理画面の外の数字も含めて「効果の定義メモ」を書いた(5章)
  • 判断する日を、学習期間が落ち着いたあとの日付で決めた(6章の問い1)

C. 受け皿

  • 自社名で検索すると、事業の中身と、信頼してよい根拠(実績・会社情報)が載ったページが上に出る
  • 広告を押した人が、スマホで申込の最後まで進める
  • 申込や問い合わせのフォームに、TikTokを選べる「きっかけ」欄がある

D. 動画と体制

  • 商材の中身(使う場面・人・変化)を、作り込まずに撮れる
  • 見飽きられる前に、形の違う次の動画を用意できる(社内でも、外に頼む形でも)
  • 次の数か月で、商材を結びつけられる「世の中の注目が集まる時期」が1つ以上ある

結果ごとの次の一手

全部に「はい」が並ばなくても構いません。どこに「いいえ」があるかで、次にやることが決まります。

  • 全部「はい」→ いま出す:小さく出して確かめる段階。いくらから始めるかは「TikTok広告の費用」で逆算できる
  • Bに「いいえ」→ 出す前にメモを書く:効果の定義メモがないまま出すと、配信後に「効果があったか」を誰も言えない
  • Cに「いいえ」→ 先に受け皿を作る:広告で知ってもらっても、検索した先で止まる。広告費より先にページを整える
  • Dに「いいえ」→ 先に体制を作る:動画を替え続ける手を、社内で持つか外に頼むかを先に決める
  • Aが「いいえ」→ いまは出さない:届けたい人がいる媒体を優先する

「出さない」と決めるときは、理由を1行で書く

出さないという判断も、立派な結論です。ただ、その理由には気をつけたいところがあります。豊田は、TikTokが伸びない・続かない会社の共通点の1つに、「費用対効果が合わない」と判断して手を出さないことを挙げています。

編集部の読み方では、問題は出さないことそのものより、理由が「合わなそうだから」で止まっていることです。それでは次に検討するときも、同じところで話が止まります。このチェックリストで「いいえ」の場所を言えれば、理由は「届けたい人がTikTokにいない(A)」「受け皿がまだない(C)」のように1行で書けて、何が整えば出すのかも決まります。「いいえ」は向いていない印ではなく、先に手を入れる場所の印です。

TikTok広告の効果についてよくある質問

数字の揺れが落ち着く目安は6章の問い1のとおりなので、判断する日はそれより後に置いてください。何を効果と呼ぶかでも時間は変わり、採用なら、弊社の募集では広告とライブの併用で、最短1週間で面談まで進んだ例があります。

予算の大小より先に、効果の定義メモと受け皿(7章のBとC)が整っているかを確かめてください。予算が小さいほど、「何を効果と呼ぶか」が決まっていないと判断の材料が残りません。金額の目安は「TikTok広告の費用」で扱っています。

業種名だけでは決められません。総務省の調査では、TikTokの利用率は30代で44.7%、40代で42.6%です※4。数字の上では、会社で決裁に関わる年代にも届きます。そのうえで、4章の観点2(動画で中身が伝わるか)と観点3(受け皿)で見立ててください。BtoBで社名がまだ知られていないなら、資料請求の前に、まず会社名での検索を効果と呼ぶ設計も選択肢です。

豊田は、会社アカウントのオーガニックでバズらせて認知を取るやり方は、構造の変化で通用しなくなったと言っています。そして「TikTokのオーガニックだけで認知を取ろうとする戦略」は、今ならやらないことの1つに挙げています。代わりに豊田が勧めるのは、1章で触れたとおり、会社の知名度で分けることです。まだ知られていない会社なら、見てもらう数は広告で取り、そこからホームページや求人媒体へ送る(販促なら自社サイトや申込ページ)。すでに名前が知られている会社なら、再生数は0でよく、会社の中身が分かる動画を置いておけばいい。

頼めば必ず上がる、とは言えません。すでにある動画をなぞる運用が続いて同じような動画ばかりになるのは、社内で回していても、代行に任せていても起きる、というのが豊田の見方です。頼むなら、効果の定義メモを先に渡し、「何を効果と呼ぶか」「管理画面の外の数字をどう受け渡すか」「形の違う動画をどう出し続けるか」を最初にすり合わせてください。

「高い」と言い切れる公式の数字はありません。1章で紹介したKantarとの分析で、ブランドの指標を押し上げる効率(ROI)が大きく上回ったのは、テレビ(2.4倍)と長尺動画のプラットフォーム(2.0倍)との比較です※2。他のSNSとの比較は、公式には示されていません。しかもテレビ・長尺動画との比較も、アンケートで測ったブランドの指標でのものです。申込や購入を効果と呼ぶなら、自社の数字を同じ「効果と呼ぶ数字」・同じ期間で並べ直してください。なお総務省の調査では、利用率はYouTubeが全年代で81.5%、Instagramが54.8%、TikTokが36.7%です※4。届く人数と、届いた人に起きる変化は、分けて比べます。

まとめ:効果を決めてから、出すかどうかを決める

この記事の要点
  • TikTok広告の効果は、認知・検討・行動のどれを効果と呼ぶかで変わる。公式の調査でも、テレビと比べると、テレビは認知、TikTokはブランド連想・購買意向で強みが出ている(他のSNSとの比較は公式には示されていない)
  • 会社のお金になる数字は管理画面の外にある。弊社の採用広告でも、面談・採用は管理画面の外で起きた
  • 知名度のある会社は中身が伝わることを、まだ知られていない会社は知ってもらうことを、まず効果と呼ぶ
  • 効果が出やすいかは業種名ではなく、届くか・伝わるか・受け皿があるか・時期に乗れるか・作り込まずに撮れるか・替え続けられるかで見立てる
  • 効果が出ないときは、判断の早さ → 目的と数字のずれ → 計測 → 動画 → 送り先・受け皿 → 呼んでいる人の順に疑う
  • 出さないと決めるなら、「いいえ」の場所を理由として1行で書く

今日やることは1つです。5章の「効果の定義メモ」を、自社の商材で5行書いてみてください。書けない行があれば、そこが、出稿の前に決めるべきことです。書けたら、7章のチェックリストで「いいえ」の場所を探してください。

「効果と呼ぶ数字」が決めきれない、受け皿をどう作ればいいか分からない。そんなときの相談先として、弊社も使っていただけます。弊社の採用のご相談では、はじめに次の3点を確認しています。

  1. 欲しい人材はどんな人か(ここに合わせてコンテンツを組まないと必ず外すため)
  2. 自社を知ってもらう場所をどこに置くか(ホームページ、求人媒体、SNSのうちどれを軸にするか)
  3. 見てもらう数を、オーガニック投稿で取るか、広告で取るか

販促でも考え方は同じです。1つ目の「どんな人材」を「どんなお客様」に置き換えると、3点はこの記事で決めてきたこと(効果と呼ぶ数字・受け皿・リーチの取り方)とそのまま重なります。

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この記事を書いた人

株式会社BEEM代表取締役 豊田優人

豊田優人(とよだ・ゆうと)|株式会社BEEM 代表取締役

フォロワー約47万人の会社アカウントを含む自社TikTokアカウント群を運用し、100万再生を超えた動画は137本、累計4.61億再生。複数の記事で取り上げられたほか、大学での登壇歴がある。株式会社BEEMは「SNS採用のみで採用したメンバーで構成される会社」として、TikTokの運用代行・広告運用・採用支援を提供している。

出典

  1. TikTok広告マネージャー ヘルプセンター「適切な目的の選択」(2025年4月更新)。2026年9月30日確認 https://ads.tiktok.com/help/article/choose-right-objective?lang=ja
  2. TikTok For Business ブログ「日本市場で加速するTikTokのブランド・リフト効果」(2025年11月5日)。2026年9月30日確認 https://ads.tiktok.com/business/ja/blog/cross-media-meta-with-kantar
  3. TikTok For Business ブログ「国内MAU4,200万超のTikTok。認知・検討・購買を加速する─2026年最新広告ソリューション特集」(2025年12月4日)。2026年9月30日確認 https://ads.tiktok.com/business/ja/blog/tiktok-advertising-solutions
  4. 総務省情報通信政策研究所「令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書(概要)」(令和8年6月)。2026年9月30日確認 https://www.soumu.go.jp/main_content/001079136.pdf
  5. TikTok For Business 成功事例「三井住友カード株式会社|三井住友カード(NL)」(2025年9月10日)。2026年9月30日確認 https://ads.tiktok.com/business/ja/inspiration/mitsuisumitomo-card-success-stories
  6. TikTok広告マネージャー ヘルプセンター「ビュースルーアトリビューション(VTA)」(2025年2月更新)。2026年9月30日確認 https://ads.tiktok.com/help/article/about-view-through-attribution-vta?lang=ja
  7. TikTok広告マネージャー ヘルプセンター「TikTokブランドリフト調査について」(2026年9月更新)。2026年9月30日確認 https://ads.tiktok.com/help/article/tiktok-brand-lift-studies?lang=ja
  8. TikTok広告マネージャー ヘルプセンター「コンバージョンリフト調査について」(2025年4月更新)。2026年9月30日確認 https://ads.tiktok.com/help/article/about-conversion-lift-study?lang=ja
  9. TikTok広告マネージャー ヘルプセンター「学習期間について」(2026年6月更新)。2026年9月30日確認 https://ads.tiktok.com/help/article/learning-phase?lang=ja

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