最終更新日:2026年10月13日
執筆:株式会社BEEM(BeeMedia編集部)/監修:豊田優人(株式会社BEEM 代表取締役)
- TikTokで採用をやってみようという話が社内で出て、デメリットを洗い出して判断材料をそろえたい採用担当者の方
- 稟議書や上司・社長への相談で、「想定されるリスクと対策」をTikTokならではの中身で説明したい方
- TikTok採用に興味はあるが、成果が出るまでどのくらい待つことになるのか、自社が向いているのかが分からない中小企業の方
TikTokを使った採用の稟議書を書いている。目的は「若手の母集団形成」、費用は見積もりの数字。そこまでは埋まったのに、最後の「想定されるリスクと対策」だけが白いまま——という状態で、このページにたどり着いた方もいるのではないでしょうか。
「TikTok採用 デメリット」で調べると、「工数がかかる」「すぐには成果が出ない」「炎上のおそれがある」「若い人にしか届かない」と並んだ記事が出てきます。ただ、それを書き写しただけでは決裁は下りません。決める側が知りたいのは、そのリスクはどのくらい重いのか、打つ手はあるのか、手を打っても残るものは何かです。
6つのデメリットの重さと打ち手を1枚の表に並べ、社内の説明にそのまま写せる「リスクと対策」の文面まで用意しました。
監修は弊社(株式会社BEEM)代表の豊田です。弊社は、フォロワー約47万人の会社アカウントを含む自社のTikTokアカウントで、100万再生を超えた動画を137本、累計4.61億再生を出してきました(2026年10月13日時点)。自社の採用でも、TikTok広告とTikTokライブのそれぞれで、面談・採用までの件数を公開しています。
TikTok採用のデメリットは、本当にあります。①届く年齢層が偏る ②オーガニック(広告を使わない通常の投稿)だけでは届きにくく、成果が出るまで時間がかかる ③見られても会社として信頼されにくい ④応募がTikTokの中で終わらず、効果が見えにくい ⑤社内の時間と人を使う ⑥炎上と募集表示のリスク、の6つです。
豊田は「TikTokのオーガニック運用だけで採用・認知が完結する」という考えに反対しています。弊社で採用につながったものとして豊田が挙げているのは、役員・トップのライブ配信と、TikTokで知る→ホームページを検索→求人媒体・応募という、TikTok単体で完結させない導線の2つです。
そこから逆算すると、②は広告で届くまでの時間を縮め、③は役員・トップがライブで話す場を持ち、④は送り先を決めて「何で知ったか」を数えることで軽くできます。①⑤⑥は打ち手では消えないので、始める前に「払えるか」「防げるか」を決めておきます。
目次
- TikTok採用のデメリット6つ|重さと打ち手を1枚の表に
- TikTok採用でよくある失敗の型|代表は「オーガニック運用だけで採用・認知が完結する」に反対しています
- デメリット①|届く年齢層が偏る(20代58.7%、50代25.5%)
- デメリット②|オーガニックだけでは届きにくく、成果が出るまで時間がかかる
- デメリット③|見られても、会社として信頼されにくい
- デメリット④|応募はTikTokの中で終わらない。だから効果が見えにくい
- デメリット⑤|社内の時間と人を使う(金額の横に、時間を書く)
- デメリット⑥|炎上と、募集表示のリスク
- 始める前に、5つの質問で自社を確かめる
- 社内で説明するとき(稟議・上司や社長への相談)に使える「リスクと対策」の文面
- TikTok採用のデメリットについて、よくある質問
- まとめ:デメリットは「やめる理由」ではなく「始める前の条件」です
TikTok採用のデメリット6つ|重さと打ち手を1枚の表に
重さのラベルと各列は、代表の話と弊社の公開実績をもとに編集部で整理したものです。以下、代表自身の考えや経験は「豊田は」と主語を立てて書きます。
| デメリット[重さ] | 始める前に確かめること | 打ち手でどう変わるか | 社内で決めておくこと |
|---|---|---|---|
| ①届く年齢層が偏る [打ち手では消えない] |
狙う年齢で、TikTokを使っている人がどのくらいいるか | 偏りそのものは動かない。狙う年齢と合わなければ、TikTokは入口ではなく「調べに来る場所」に置く | 狙う年齢と、その年代の利用率 |
| ②オーガニックだけでは届きにくく、成果が出るまで時間がかかる [半分は打ち手で縮む] |
届けるところにお金を出せるか | 届くまでの時間は広告で縮む。信頼が積み上がる時間は縮まない | 広告費と期間、見直しの時期 |
| ③見られても信頼されにくい [打ち手で軽くなる] |
会社の中身を、自分の言葉で話せる人がいるか | 役員・トップがライブで話す場を持つと軽くなる | ライブに出る人と、月の回数 |
| ④応募がTikTokの中で終わらず、効果が見えにくい [打ち手で軽くなる] |
会社名で検索したとき、事業と募集要項が分かるページがあるか | 送り先を先に決め、「何で知ったか」を数えると、効果が件数で見える | 「何で知ったか」を聞く場所 |
| ⑤社内の時間と人を使う [打ち手では消えない] |
誰が、週に何時間、何週間出せるか | 動画づくりの手間は削れる。出る人・座る人の時間は残る | 担当と出演者、週の時間、期間 |
| ⑥炎上と募集表示のリスク [打ち手では消えない] |
投稿を止める判断を、誰がするか | 消えない。投稿前に確かめる人と、止める人を決めておく | 非公開・削除を判断する責任者 |
6つを同じ重さで並べると、どれも「気をつければ大丈夫」に見えてしまいます。実際には、打ち手で軽くなるものと、打っても動かないものがあり、②はその間にあります。社内に正直に伝えておくべきなのは、[打ち手では消えない]の3つと、②のうち縮まない時間のほうです。
表に入れていない2つ|応募の質と、ノウハウ
デメリットの記事でよく挙がる「応募の質が読めない(入社後のミスマッチ)」は、始める前に重さを決めにくいので表から外しました。始めたあとに件数で追う方法はデメリット④にあります。
もう1つの「社内にノウハウが無い・やり方の変化が速い」は、次の失敗の型と重なります。外に任せるかどうかは、FAQのQ4とTikTok運用代行の記事へ。
TikTok採用でよくある失敗の型|代表は「オーガニック運用だけで採用・認知が完結する」に反対しています
表の②③④がやり方しだいで軽くなる理由は、豊田が本気で反対していることにあります。
豊田優人
反対しているのは、オーガニック運用だけで採用も認知も完結させる、という考え方です。TikTokを採用に使うこと自体ではありません。弊社自身、TikTokの広告とライブで採用の数字を出しています。
背景にあるのは市場の変化です。もう通用しなくなった手法として、豊田は、会社アカウントをオーガニックでバズらせて認知を取るやり方を挙げています。昔はそれが、いちばん費用対効果の良い認知の取り方だった。通用しなくなったのはコンテンツ力が落ちたからではなく、アカウント数・クリエイター数が増え続け、ユーザー数のほうは成熟した、という構造の変化だと見ています。
いまならやらないことを聞いたときにも、TikTokのオーガニックだけで認知を取ろうとする戦略と、TikTokのみに予算を落とすことを挙げています。
よくある失敗の型3つ
失敗の型1|オーガニックの投稿だけで、認知から採用まで完結させようとする
上の反対そのものです。広告を使わず「投稿を続ければ、いつか届く」を前提に計画を立てる形で、表の②として現れます。
失敗の型2|みんなと同じ戦略・同じやり方を取る
豊田が本気で反対していることの、もう1つがこれです。
豊田優人
これとは別に、もう通用しなくなった手法として、豊田は既存の動画をもとにした焼き直し運用も挙げています。
失敗の型3|再生されても、何の会社か分からず、送り先もない
何をしている会社か分からない、会社の信頼性を担保できるものがない、どこで知ってもらいどこへ送るかの設計がないままオーガニックだけで完結させようとしている——豊田がバズっても成果につながらないアカウントとして挙げる特徴で、表の③④に当たります。見分け方と直し方は、SNS採用全体の話としてSNS採用とは?の失敗パターンの章にあります。
デメリット①|届く年齢層が偏る(20代58.7%、50代25.5%)
1つ目は、打ち手では動かないものです。TikTokを使っている人の年齢層には、はっきりした偏りがあります。総務省の調査では、TikTokの利用率は全年代で33.2%、10代で65.7%。働く世代の20代〜60代を、ほかの動画・SNSと並べるとこうなります※1。
| 年代 | TikTok | YouTube | |
|---|---|---|---|
| 20代 | 58.7% | 78.0% | 97.2% |
| 30代 | 39.7% | 70.5% | 97.9% |
| 40代 | 39.9% | 67.0% | 91.8% |
| 50代 | 25.5% | 52.7% | 83.0% |
| 60代 | 18.8% | 34.7% | 71.2% |
※総務省情報通信政策研究所「令和6年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」表5-1-1より抜粋。パソコン・タブレット・スマートフォン等で「見る」「書き込む・投稿する」のいずれかを行っている人の割合で、転職を考えている人の割合ではありません。回答者は20代218人、30代237人、40代306人、50代330人、60代271人です。
50代を狙うなら、TikTokを使っている人は4人に1人程度。YouTubeの83.0%とは3倍以上の差があります。
前年度(令和5年度)の同じ調査では、40代のTikTok利用率は26.8%で、1年で39.9%まで上がりました。調査は、近年利用を伸ばしているサービス全般について、「最初に10代、20代で利用率が高く、年数が経過するとともに他の年代へと利用が広がっている傾向」があると書いています※1。一方、同じ1年で50代は25.4%から25.5%と、ほぼ横ばいでした。
20代は、会社のSNSまで調べに来る
豊田は直近1年の変化として、転職を検討するときに企業のSNSまで調べるのが当たり前になった、特に20代で、と話しています。20代を狙う会社にとって、TikTokは知ってもらう入口であると同時に、求人を見つけた人が会社を確かめに来る場所にもなります。
判断の順番は、先に狙う人の年齢を1つに決め、上の表の行を見ることです。20代が中心なら、TikTokを入口に使う理由になります。50代が中心なら、TikTokを入口の主役にはせず、別の媒体で知ってもらった人が「調べに来る場所」として置く使い方を考えます。
年齢層の偏りは、対策で消すものではなく、狙う年齢で「入口に使うか」を決めるための材料。表の行を先に見てから始める。
デメリット②|オーガニックだけでは届きにくく、成果が出るまで時間がかかる
2つ目は、「TikTokなら無料で多くの人に届き、すぐに反応がある」という期待が、そのままでは成り立ちにくくなっていることです。豊田は、直近1年で変わったことをこう話しています。
豊田優人
採用の計画に置き換えると、オーガニックの再生数は約束できる数字ではなく、そのぶん成果が出るまでの時間も読めません。「投稿すれば、いつか誰かに届く」を前提に計画を立てると、届かなかったときに打つ手がないまま時間だけが過ぎます。
時間には、縮められる部分と縮まない部分があります
「成果が出るまで時間がかかる」は、SNS採用とは?でも、SNS採用全体のデメリットとして設計では縮まないものに挙げています。TikTokに絞ると、時間は2つに分かれます。
- 届くまでの時間(狙う人の画面に、自社の動画が出るまで)は、広告で縮められます。豊田は、撮る前にどこで知ってもらうかを決めるべきだとしたうえで、まだ名前が知られていない会社なら、リーチは広告で取り、そこからホームページや求人媒体へ送る、と話しています。
- 信頼が積み上がる時間(会社名で調べた人が、アカウントを見て「この会社なら」と思えるまで)は、広告では買えません。会社の中身が分かるものを、アカウントに積んでいく時間です。
名前がすでに知られている会社なら、再生数は0でよく、インタビューなど会社の中身が分かる動画を置けばいい(YouTubeで長い動画を作り、切り抜きをTikTokに回す)とも豊田は話しています。知名度がある会社は、2つ目の時間から始められるということです。
届くまでの時間を広告で縮めた例が、弊社が自社の採用募集で公開している数字です。出稿期間約40日・広告費20万円で、リード95件→面談27件→採用7名でした(TikTok採用の効果・費用・事例を実データで公開した記事)。オーガニックの「いつ届くか分からない」を、見積もれる金額と、区切られた期間に置き換えた形です。広告費は新しくかかるお金なので、人の時間と同じく社内への説明が要ります。
オーガニックだけで進めるなら、日数を約束するより、何週目に一度見直すかを先に決めておくほうが現実的です。
デメリット③|見られても、会社として信頼されにくい
3つ目は、動画が見られたあとに起きる問題です。再生はされた。でも、それで「この会社に応募しよう」とはならない。豊田は、見る側の目が変わったことを挙げています。
豊田優人
きれいに作り込んだ動画ほど、「誰かに作らせた宣伝」に見えやすい、ということです。豊田は、作り込みすぎない、TikTokの完成動画とInstagramのストーリーズの中間くらいのリアルな空気感の動画が伸びるようになった(2025年3月頃から)とも見ています。
キャスティングについても、豊田は2つの場面で話しています。いまならやらないこととしては、キャスティングして可愛い子を出すだけの差別化は、今はステマチックに見られるので取らない。もう通用しなくなった手法としては、キャスティングして美女を出す差別化は新しくもなく、運用が入っていると見透かされる、と挙げています。
求職者が確かめたいのが「おもしろい会社か」より「入って大丈夫な会社か」だとすれば、ここは重いデメリットです。何をしている会社か分からないアカウントは、再生されるほど、そのことを多くの人に知らせる結果になります。
対策:役員・トップが、何を考えているかをライブで話す
弊社で採用につながったものとして豊田が挙げているのが、ライブ配信です。役員や会社のトップが、ライブで何を考えているかを話す。コンテンツとのギャップで会社の中身が伝わり、信頼性が担保されて、採用につながった、と振り返っています。
ライブで何を話すか、社長が出たがらない場合にどうするかは、TikTok採用の動画は何を撮る?の出演者の章とFAQにまとめています。
デメリット④|応募はTikTokの中で終わらない。だから効果が見えにくい
4つ目は、決裁が下りたあとに効いてくるデメリットです。TikTokで会社を知った人は、その場で応募するとは限りません。豊田が採用につながった導線として挙げているのは、TikTokで知る→ホームページを検索する→求人媒体や応募へ進むという流れで、TikTok単体では完結させない形です。3章で見た「企業のSNSまで調べる」動きが起きていれば、逆に、求人媒体で会社を見つけた人がTikTokを確かめに来ることもあります。
そのため、TikTokの効果は、TikTokの管理画面にも求人媒体の管理画面にも現れにくくなります。TikTokで知ってホームページから求人媒体へ進んだ人は、求人媒体の側では「求人媒体からの応募」として数えられます。再生数は見えても、それが何人の応募になったかは見えない。半年後の振り返りで、TikTokから何人採れたのかを数字で示せない。これがこのデメリットの正体です。
対策:送り先を先に決め、「何で知ったか」を数える
手は2つです。1つは、動画を見た人の送り先を先に決めておくこと。会社名で検索したときに事業内容と募集要項が分かるホームページ、応募を受ける求人媒体やフォームまでの線を、投稿を始める前に引きます。送り先の作り方とチェックリストは、TikTok採用の動画は何を撮る?の導線の章にあります。
もう1つは、応募した人に「当社を何で知りましたか」を聞いて数えることです。応募フォームに選択肢を1つ足すか、面接の最初の質問にするだけで始められます。社内に約束する数字も、再生数ではなく、応募・面談・採用の件数の側に置いておくと、あとで説明に困りません。
件数で見ておけば、「応募の質」も同じ並びで追えます。応募や問い合わせのうち何件が面談に進んだか、その割合が月ごとにどう動くかを見れば、質が落ちていないかを、印象ではなく件数で話せます。
弊社が公開している2つの実績も、件数で出しています
弊社の採用の実績も、再生数ではなく、最初の問い合わせ・応募から、面談、採用までの件数で公開しています。
| 手法 | 投じたもの | 最初に数えたもの | 面談 | 採用 |
|---|---|---|---|---|
| TikTok広告 | 約40日・広告費20万円 | リード95件 | 27件 | 7名 |
| TikTokライブ | 配信60時間56分 | 応募46件 | 32件 | 6名 |
最初の段は、広告では「リード」、ライブでは「応募」と数え方が違うので、2つを並べて優劣を比べる表ではありません。業種や募集の条件、アカウントがすでにあるかどうかでも変わる数字です。それぞれの施策の中身はTikTok採用の効果・費用・事例を実データで公開した記事にまとめています。
TikTokで知った人も、応募はTikTokの外ですることがある。送り先を決め、「何で知ったか」を数えれば、効果が件数で見えるようになる。
デメリット⑤|社内の時間と人を使う(金額の横に、時間を書く)
ここからの2つは、やり方を変えても残るものです。まず、人の時間。上の表のライブの配信時間は、そのまま配信した人の時間です。広告に寄せればお金が、ライブに寄せれば配信する人の時間が要ります。
金額の横に、時間を3つ書いておく
稟議書の費用には金額が入ります。ところが⑤のデメリットは、金額のどこにも現れません。だから通ったあとで「で、誰がやるのか」が決まらないまま始まってしまう。それを避けるために、金額と並べて、時間を3つ書いておくことをおすすめします。
- 誰の時間か:担当者の名前と、ライブや動画に出る人の名前・役職。「採用担当が対応」とだけ書いて通ると、役員・トップの時間が要る③の対策を、通ったあとで頼み直すことになります。
- 週に何時間か:企画、撮影、ライブ、コメントへの返信、応募への対応と、作業ごとに分けて書きます。合計だけだと、どの作業が本業の時間を削っているかが、あとから分かりません。
- 何週間か:何週目に一度見直すか、その日付。届くまでの時間は広告で縮んでも、信頼が積み上がる時間は縮みません。見直しの日を先に置かないと、続けるか止めるかの話がいつまでも始まりません。
決裁する側にとっても、金額だけより、誰の・週何時間・何週間が書いてあるほうが判断しやすくなります。広告を使わない計画なら、なおさらここが計画の中心になります。
動画づくりの手間は削れる。人は削れない
一方で、動画を作る手間のほうは小さくできます。弊社は編集で作り込みません。NGカットも使い切ります。豊田の言葉では、「程よく形になりつつ、撮影時間も少なくて、人間味が出る、ちょっと崩れた感じも出る」水準に留める。作られた感が出すぎる動画はダメ、という考え方です。作り込んだ動画はステマ的に見られやすいという③の話と合わせると、手間をかけないことは、そのまま信頼の対策にもなります。撮影の時間は、この方針で小さく見積もれます。
削れないのは、人のほうです。誰が出るか、誰が企画を出すか、誰がライブに座るか。社員の顔出しの同意の取り方や、出たがらないときの考え方はTikTok採用の動画は何を撮る?のFAQに、工数が続かない会社の共通点はSNS採用とは?のデメリットの章にあります。「誰の時間か」に名前が入らないうちは、⑤はまだ決まっていない、と考えてください。
デメリット⑥|炎上と、募集表示のリスク
最後は、どんなやり方をしても別の対策が要るものです。TikTokは公開の場なので、投稿は会社の外の目に触れます。社員が出る動画なら、批判がその社員個人に向かうこともありえます。
採用ならではのリスクとして、募集の表示のルールもあります。厚生労働省は、SNSを含む広告等で労働者の募集に関する情報を出すときは、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしてはならないとしています(職業安定法第5条の4)※2。動画で「一緒に働きませんか」と呼びかけるなら、その投稿は募集の情報として見られます。キャプションに書く情報など具体的なルールは、TikTok採用の動画は何を撮る?の表示のルールの章にまとめました。
投稿の前に、社内で次の4つを決めておきます。
- 給与・休日・残業など条件に触れる投稿は、求人ページの文言と同じかを、投稿前に誰が確かめるか
- 出演する社員本人が、顔と名前をどこまで出すか、退職後に動画をどうするかに同意しているか
- コメント欄で質問や批判が来たとき、誰が、いつまでに答えるか
- 投稿を非公開・削除にする判断を誰がするか、その人に休日でも連絡がつくか
炎上と表示のリスクは、やり方では消えない。投稿前に「誰が確かめ、誰が止めるか」を決めておく。
始める前に、5つの質問で自社を確かめる
上から順に答えて、「いいえ」が出たところが始める前にやることです。
Q1. 狙う人の年齢で、TikTokの利用率は十分か(3章の表)
はい → TikTokを入口に使える。
いいえ → TikTokは「調べに来た人が見る場所」と割り切り、入口は別の媒体にする。
Q2. 会社名で検索したとき、事業内容と募集要項が分かるページがあるか
はい → 次の質問へ。
いいえ → TikTokより先に、このページを作る。送り先が無いまま始めない。
Q3. リーチを広告で取る予算を出せるか
はい → 広告で届ける。
いいえ → 会社名で調べてくれる人がすでにいるなら、中身が分かる動画を置く。どちらも無いなら、見直しの時期を先に決める。
Q4. 役員・トップが、ライブで自分の考えを話す時間を取れるか
はい → 役員・トップの言葉で信頼を補う。
いいえ → 社員インタビューなど、会社の中身が分かる動画で補う。
Q5. 応募した人に「何で知ったか」を聞いて数える仕組みがあるか
はい → 効果を件数で判断できる。
いいえ → 応募フォームか面接の最初の質問に、1項目足す。
どれか1つが「いいえ」だから向いていない、ということではありません。ただ、Q2が「いいえ」のまま始めるのだけは避けてください。失敗の型の3つ目「どこへ送るかの設計がない」に、そのまま当てはまるからです。
それ以外の「いいえ」は、次の文面で埋まらない行として残ります。Q3なら2行目の広告費、Q4なら3行目のライブの担当と回数です。そこを社内で手当てしてから出すのか、空けたまま決裁者と相談するのか。埋まらない箇所こそが、社内で話し合うべき論点です。
社内で説明するとき(稟議・上司や社長への相談)に使える「リスクと対策」の文面
稟議書の「想定されるリスクと対策」にも、上司や社長に相談するときのメモにも、そのまま写せる形にしました。( )の中を自社の数字に置き換え、当てはまらない行は削ってください。
- 届く年齢層の偏り:TikTokの利用率は年代で差がある(総務省調査で20代58.7%、50代25.5%)。
→ 対策:狙う年齢を( )代に定め、同年代の利用率を確認済み。入口に使うかどうかはこの数字で判断する。 - 通常投稿だけでは届かず、成果まで時間がかかるおそれ:通常投稿の再生数と、応募が来るまでの期間は約束できない。
→ 対策:リーチは広告で取る。広告費( )円/( )日。( )週目に件数で見直す。参考:株式会社BEEMの自社採用の公開例で、出稿約40日・20万円、リード95件・採用7名。 - 見られても信頼されないおそれ:作り込んだ動画は宣伝と見られやすい。
→ 対策:役員・トップ( )によるライブ配信を月( )回。動画は作り込まず、職場の実際の様子を出す。 - 効果が見えにくい:TikTokで知った人がホームページや求人媒体から応募する。
→ 対策:応募フォームに「何で知ったか」の項目を追加。評価は再生数ではなく、応募・面談・採用の件数で行う。 - 社内の時間と人:広告費とは別に、担当者と出演者の時間が新たに必要。
→ 対策:担当( )、出演( )。企画・撮影( )時間/週、ライブ( )時間/週、期間( )週間。動画は作り込まない方針で撮影時間を抑える。 - 炎上・募集表示:公開の場での批判、募集情報の誤表示(職業安定法第5条の4)。
→ 対策:条件に触れる投稿は求人ページと照合してから公開。出演同意を文面で取得。非公開判断の責任者は( )。
空いたままの行が残ったら
その文面のまま、弊社にお持ちください。ご相談でまず確認するのは、どんな人材が欲しいのか、どこで自社を知ってもらうのか(ホームページ・求人媒体・SNSのどれを前提に組むのか)、リーチをオーガニックで取るのか広告で取るのか、の3点です。欲しい人材に合わせてコンテンツを組まないと、必ず外すからです。この3点は文面の1行目(狙う年齢)、4行目(何で知ったか)、2行目(広告費)と重なるので、空いた行から話を始められます。
TikTok採用のデメリットについて、よくある質問
できます。ただし、オーガニックの再生に期待する形ではなく、リーチを広告で取り、ホームページや求人媒体へ送る形が前提です。豊田は、まだ名前が知られていない会社ならリーチは広告で取る、と話しています。知名度がないこと自体より、5つの質問のQ2(送り先のページがあるか)のほうが、始められるかどうかを左右します。
アカウントをゼロから育て、オーガニックの投稿だけで応募を待つ形は、急ぎの採用には合いません。届くまでの時間が読めないからです。間に合わせるなら、届くところを広告で取る形になります。広告なら、4章の例のように期間と金額を先に区切れます。ただし、信頼が積み上がる時間は広告では縮まないので、会社名で調べた人が見るページ(5つの質問のQ2)は先にそろえておいてください。
年齢層の表のとおり、TikTokの利用率は40代で39.9%、50代で25.5%です。届かないわけではありませんが、YouTube(40代91.8%、50代83.0%)と比べると母数は小さくなります。40代は前年度の26.8%から上がっていますが、50代はほぼ横ばいです。50代が中心の募集なら、TikTokを入口の主役にせず、別の媒体で知った人が会社を確かめに来る場所として置くことから考えてください。
なくなりません。①⑤⑥は打ち手では消えないものなので、誰が運用しても残ります。外に任せられるのは企画・撮影・編集の手間の一部で、ライブに出る役員・トップの時間、出演する社員の同意、投稿を止める判断は社内に残ります。②③④も、豊田が反対している「オーガニック運用だけで採用・認知が完結する」という前提のままなら、自社でやっても外に任せても同じように残ります。外注を決める前に、広告・ライブ・送り先のページをどう組み合わせるかを決めておくと、任せる範囲がはっきりします。外注の判断の仕方はTikTok運用代行の記事にまとめています。
できます。手元や声だけの動画など、顔を出さない撮り方があります。同意の取り方と撮り方はTikTok採用の動画は何を撮る?のFAQにまとめました。社内に説明するときは、7章の「誰の時間か」に、出演する人の名前が入るかどうかで確かめてください。
2つそろえてください。1つは「払うもの」で、金額だけでなく、担当者と出演者の時間も並べます。TikTokは金額が小さく見えても、人の時間が別にかかるからです。もう1つは「数える段」で、どちらも応募・面談・採用の件数で並べます。再生数と応募数を比べても、比べたことになりません。運用代行費と広告費の相場、求人媒体との比べ方はSNS採用の費用で扱っています。
5つの質問のQ3とQ4で決まります。広告の予算が出せるなら、届くまでの時間(②)を広告で縮める。役員・トップが時間を出せるなら、信頼(③)をライブで補う。両方そろうなら併用です。どちらから始めても、Q2(送り先のページ)だけは、先に済ませておいてください。
まとめ:デメリットは「やめる理由」ではなく「始める前の条件」です
- TikTok採用のデメリットは6つ:①年齢層の偏り ②オーガニックだけでは届きにくく、成果まで時間がかかる ③信頼されにくい ④効果が見えにくい ⑤社内の時間と人 ⑥炎上と募集表示
- よくある失敗の型は3つ:オーガニックの投稿だけで認知から採用まで完結させる/みんなと同じ戦略・同じやり方を取る/何の会社か分からず送り先もない。豊田は「TikTokのオーガニック運用だけで採用・認知が完結する」という考えに反対している
- ②は広告で届くまでの時間を縮め、③は役員・トップがライブで話す場を持ち、④は送り先を決めて「何で知ったか」を数えると軽くなる
- ②の時間のうち、広告で縮むのは「届くまで」。信頼が積み上がる時間は縮まないので、日数ではなく見直しの時期を決める
- ①⑤⑥はやり方では消えない。年齢は表で確かめ、人の時間は金額の横に「誰の・週何時間・何週間」を書き、炎上は投稿前に「誰が確かめ、誰が止めるか」を決める
今日やることは1つです。10章の文面をコピーして、( )を埋めてみてください。5つの質問で「いいえ」が付いた行が、空いたまま残るはずです。白いままだった「リスクと対策」が、決裁の前に社内で話しておくべき論点の一覧に変わります。
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豊田優人(とよだ・ゆうと)|株式会社BEEM 代表取締役
フォロワー約47万人の会社アカウントをはじめとする自社のTikTokアカウントを運用し、100万再生を超えた動画は137本、累計4.61億再生。採用ではTikTok広告とTikTokライブの両方で実績を公開している。複数の記事で紹介されたほか、大学での登壇歴がある。株式会社BEEMは「SNS採用のみで採用したメンバーで構成される会社」として、TikTokの運用代行・広告運用・採用支援を手がける。
出典
- 総務省情報通信政策研究所「令和6年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(令和7年6月)。表5-1-1「主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率(全年代・年代別)」と参考表(令和5年度)、同ページ本文の経年傾向の記述。TikTok利用率:全年代33.2%/10代65.7%/20代58.7%/30代39.7%/40代39.9%(令和5年度26.8%)/50代25.5%(令和5年度25.4%)/60代18.8%。2026年10月5日に報告書本文で確認 https://www.soumu.go.jp/main_content/001017160.pdf
- 厚生労働省「職業安定法に基づく周知|労働者の募集広告の表示について」(職業安定法第5条の4)。2026年10月5日確認 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/haken-shoukai/r0604anteisokukaisei1_00006.html
本文中の採用の数字は、特記なき限り弊社(株式会社BEEM)の実測データ(自社調べ)です。