TikTok販促のやり方|来店・EC購入・キャンペーン参加の目的別に選ぶ手段と、販促カレンダー、景品表示法の線引き

TikTok販促のやり方

最終更新日:2026年10月13日
執筆:株式会社BEEM(BeeMedia編集部)/監修:豊田優人(株式会社BEEM 代表取締役)

この記事はこんな方に向けて書いています
  • 店舗・EC・自社商品の販促で、TikTokをどう使えばいいかを決めたい販促・マーケ担当者の方
  • セールやキャンペーンを、来店や購入につなげる組み立てを知りたい方
  • 「限定」「今だけ」「プレゼント」を使いたいが、どこからが法律に触れるのかを確かめておきたい方

来月の周年セールの販促カレンダー。チラシの入稿日、LINEの配信日、店頭POPの差し替え日まで埋まったのに、「TikTok」の行だけが空いている。

その行に何を書くのか。自社のアカウントで動画を上げるのか、広告を出すのか、インフルエンサーに頼むのか、ライブ配信をするのか。どれも「TikTokで販促」には違いないのに、選ぶ材料がない。空欄のまま、チラシの入稿日だけが近づいてきます。

この記事では、TikTokで販促に使える手段を公式の機能から5つに整理し、販促の目的(来店・EC購入・キャンペーン参加)ごとに、どれを主役にしてどれを脇に置くかを決める手順をお渡しします。あわせて、販促カレンダーの作り方と、「限定」「今だけ」「プレゼント」を使うときの景品表示法の線引きまで扱います。書き手は株式会社BEEM(自社アカウントで100万再生超えの動画137本・累計4.61億再生、2026年10月13日時点)の編集部で、監修は代表の豊田優人です。

先に、結論です

TikTokの販促は、「どの機能を使うか」より先に「成果がどこで起きるか」を決めるとまとまります。来店なら店、EC購入ならカート、キャンペーン参加なら応募の場所。そこから逆算して、主役の手段を1つ、脇役を1〜2つ選びます。

時期は、TikTokの中の流行ではなく世の中の注目が集まる日付から先に取ります。そして「限定」「今だけ」「通常価格」「プレゼント」を使うなら、景品表示法の線引きを企画の段階で確かめておく。この記事の5章に、その全部を1枚にまとめた設計シートを置きました。

ショッピングカートのアイコンを表示したスマートフォンと紙幣
イメージ(写真:photoAC)

TikTokの販促で使える手段は5つ|公式の機能で整理する

「TikTokで販促」と一口に言っても、お金のかけ方も、動く人も、成果の出る場所も違う手段が混ざっています。まず、TikTokが公式に用意している機能を、販促の担当者から見た役割で5つに分けます。

手段 TikTok上の機能(公式の説明の要約) 販促での役割
① 自社アカウントの投稿 ふだんの投稿(オーガニック投稿) 店や商品の中身を置いておく場所。広告やクリエイターの投稿を見た人が、確かめに来る先になる
② プロモート アプリの中から、投稿やLIVE配信の拡散を後押しする広告ツール。目的は「アカウントを盛り上げる」「リードを獲得」「売り上げ増加」「LIVEを盛り上げる」の4つ※1 反応のよかった自社の投稿に、見てもらう数を少し足す
③ 広告(広告マネージャー) 目的を選んで配信する。「販売」はTikTok Shop・ウェブサイト・アプリの商品を売るための目的※2。Spark Adsなら自社の投稿や、許可を得たクリエイターの投稿をそのまま広告にできる※3。配信先は国・地域ごとに用意された単位(都道府県など)で絞れる※4 届けたい人・届けたい地域に、決めた期間で届ける
④ クリエイター TikTok One(クリエイターの検索・コラボ・制作・効果測定をまとめたプラットフォーム)※5。ブランドミッション(コミュニティから動画を募り、成果の高い動画を広告にする)※6 自社の外の人の目線で、商品を使う場面を見せる
⑤ ライブ配信とTikTok Shop TikTok Shopは2025年6月30日に日本で開始。ショッピング動画やLIVE配信で商品をタグ付けし、その場で買える。プロフィールには商品ショーケースを置ける※7 見て、質問して、その場で買ってもらう

販促の場としての規模も、公式の発表で確かめられます。TikTokがマクロミルに委託した調査では、2025年にTikTokの利用を通じて発生した推定消費額は3,468億円(前年2,375億円)で、週1回以上使うユーザーの33.5%が、TikTokで紹介された観光地・スポットを実際に訪れたと答えています※16。⑤のTikTok Shopは、開始から半年で登録セラー企業が約5万店、流通総額の約70%がクリエイターの投稿やセラー企業のコンテンツ、LIVE配信をきっかけにした購入でした※8(2026年2月3日発表)。

手段ごとの他社の例は、TikTok for Businessの公式の導入事例ページで、「ソリューション」(Spark Ads、プロモート、Creator Marketplaceなど)や業種(小売り、レストラン&外食など)を選んで探せます※17。

5つのうち、1つだけで完結させない

5つを並べると、「どれが一番効くのか」を知りたくなります。ただ、弊社代表の豊田は「今なら絶対にやらないこと」として、こう答えています。

豊田優人

TikTokのオーガニックだけで認知を取ろうとする戦略は、今なら絶対にやらない。TikTokのみに予算を落とすこともしない。

販促に置き換えると、自社アカウントの投稿(①)だけで集客しようとしないこと、そしてTikTokだけで販促を閉じないことです。チラシもLINEも店頭POPも、TikTokと同じ販促の一部として組みます。次の章では、その組み方を販促の目的ごとに決めていきます。

スーパーでスマートフォンを見ながら買い物をする女性
イメージ(写真:photoAC)

販促の目的で、手段の組み合わせを決める

組み合わせを決める順番は、機能からではなく、成果が起きる場所からです。豊田は、動画を撮り始める前の順番について、こう言い切っています。

豊田優人

撮る前に、どこで自社を知ってもらうのかのチャネル設計を先に決めろ。

豊田はそのうえで、知名度で打ち手を分けています。名前が知られている会社なら、再生数は0でもよく、会社の中身が分かる動画を置いておけばいい。まだ知られていない会社は、見てもらう数を広告で取り、その先へ送る。豊田が挙げた送り先はホームページや求人媒体でしたが、販促なら店・ECのカート・応募の場所に置き換わります。

販促の目的を3つに分け、それぞれ成果がどこで起きて、何を主役にするかを並べると次のようになります。

販促の目的 成果が起きる場所 主役にする手段 脇を固める手段 TikTokの外で組むもの
来店 店のレジ・予約表・受付 地域を絞った広告(③) 自社投稿(①)で店の中を見せる/反応のよい投稿をプロモート(②) 予約の受付、店頭POP、地図アプリの店舗情報
EC購入 自社ECのカート、またはTikTok Shop 「販売」目的の広告(③)、TikTok Shopのショッピング動画・LIVE(⑤) クリエイターの投稿(④)をSpark Adsで配信/自社投稿で使う場面 ECの商品ページ、購入後のメールやLINE
キャンペーン参加 コメント欄・参加者の投稿・応募フォーム 自社投稿(①)+告知の広告(③)、またはブランドミッション(④) クリエイターに最初の見本を作ってもらう(④) 応募規約、当選の連絡窓口、景品の手配

※この表と以下の組み合わせ方は、公式の機能と代表の考え方をもとに編集部が整理したものです。

来店:地域を絞って届け、店で数える

来店の販促で主役になるのは、配信先を地域で絞れる広告です。店から通える市区町村に絞って、セールや新メニューの動画を届けます。ただし公式ヘルプには、ロケーションでの配信は保証されず、精度も確実ではないとあります※4。商圏をぎりぎりに絞りすぎず、成果は店の側で数えるほうが確かです。

店で数える方法は、難しく考えなくて構いません。予約表に「TikTokを見た」の欄を足す、レジで一言聞く、動画の画面を見せた人に小さな特典を渡す。3つ目は分かりやすい一方で、特典が景品表示法の「景品」に当たることがあります。購入を条件にせず来店者に渡すなら、上限は原則200円です(4章)。ただし特定の商品の告知を見て来店した人に渡す場合は、その商品の価格が取引価額になることがあります。

EC購入:売り場を2つのどちらに置くか

EC購入の販促では、売り場を自社ECに置くか、TikTok Shopに置くかを先に決めます。広告の「販売」の目的は、どちらにも使えます※2。自社ECは購入後のつながり(会員登録やメール)を自社で持てるのが強みで、TikTok Shopは見つけてから買うまでがアプリの中で済むのが強みです。

主役の広告に使う動画は、クリエイターの投稿をSpark Adsで配信する形が組みやすいです。Spark Adsでは、広告で増えた視聴やいいね、コメント、フォローが元の投稿に積み上がります※3。販促の期間が終わっても、その投稿は反応の数ごと残ります。

キャンペーン参加:真似しやすい形で、参加の見本を先に置く

キャンペーン参加は、見てもらうだけでなく、コメントや投稿という「行動」まで起こしてもらう販促です。ブランドミッションは、TikTokのコミュニティから動画を募り、成果の高いクリエイターの動画を広告に変える仕組みで、日本でも使えます※6。

参加の形を決めるときに参考になるのが、豊田が自社の「毒上司」シリーズについて、投稿する前の企画段階で確信していた理由の1つです。フォーマットが単純で、演技力がなくても成立する。だから絶対に真似される、つまりトレンドになる、と予測できた。参加型のキャンペーンに当てはめると、参加者が演技力なしで同じ形を作れるかが、最初に確かめることになります。

TikTok販促カレンダーの作り方|時期は「先回り」で取る

販促カレンダーは、たいてい自社の予定から作ります。周年セール、新商品の発売、在庫を入れ替える時期。TikTokで販促をするなら、その横にもう1段、足してほしいものがあります。豊田が「トレンド」という言葉について、本気で反対していることの話です。

豊田優人

「トレンド=TikTok内で流行っている動画」という理解に反対。トレンドとは今この瞬間に世の中の注目が集まっているもの。4月=新社会人、12月=クリスマスのように予測できる。川の流れに従う。

豊田は企画を出す前に、①いま世の中が何に注目する時期か(予測できるトレンド)を先に取り、②その時期に走っている進行中のトレンドを掛け合わせる、という順番を確かめています。自社アカウントの毒上司シリーズも、4月の新社会人に、当時進行中だった退職代行の話題を重ねたものでした。そして豊田は、そのシリーズが当たることを、投稿した後ではなく企画の段階で確信していたと言います。

販促カレンダーに置き換えると、次の3段になります。

段 書くこと いつ埋めるか
上段:世の中の注目 毎年くる、日付が先に分かる注目(新生活、母の日、夏休み、ハロウィン、年末年始など) 年の初めに12か月分
中段:自社の販促 セール、新商品、周年、季節商品 販促の予定が決まったとき
下段:進行中の話題 その時期に走っている話題で、自社の販促と重ねられるもの 販促の直前まで空けておく

上段と中段は先に決められて、下段だけは直前にならないと分かりません。だから下段は空欄のまま持っておくのがこのカレンダーの使い方です。作る順番は次のとおりです。

STEP.1
上段を12か月分、先に埋める

自社の商材に関係なく、世の中の注目が集まる日付を書き出します。業界の催事や地域のお祭りも上段です。

STEP.2
中段に自社の販促を書き、上段と重なる月に印をつける

重なった月は、TikTokで販促を打つ第一候補です。重ならない販促は、無理にTikTokの主役にしなくて構いません。

STEP.3
上段と中段をつなぐ一言を書く

「母の日」と「新作ケーキの予約」なら、「母に贈る、今年いちばん手間のかかったケーキ」のように、注目と自社の販促を1行でつなぎます。つなげない月は、上段の注目を無理に使わないほうが安全です。

STEP.4
下段は、販促の直前に埋める

何週間前に埋めるかは、撮影と広告の準備にかかる日数から逆算して決めてください。

STEP.5
値引きのある販促は、比べる価格の記録を先に取っておく

「通常価格○円→○円」と出すなら、その通常価格でいつから売っていたかの記録が要ります。理由は4章で扱います。

記入例:地方の洋菓子店の場合(架空)

月 上段:世の中の注目 中段:自社の販促 つなぐ一言 下段:進行中の話題
3月 卒業・送別 焼き菓子の詰め合わせ 「職場の送別会で配る、箱を開けた瞬間に歓声が出る詰め合わせ」 (2月中旬に記入)
5月 母の日 母の日ケーキの予約 「母に贈る、今年いちばん手間のかかったケーキ」 (4月中旬に記入)
10月 ハロウィン 開店10周年のセール 「10周年とハロウィン、仮装したパティシエが焼く限定タルト」 (9月中旬に記入)
12月 クリスマス クリスマスケーキの予約 「予約開始の朝、厨房で起きていること」 (11月上旬に記入)

要は、自社の予定表に「世の中の予定表」を1段足し、最後の1段だけを空けておくことです。トレンドの調べ方そのものは「TikTokのトレンドの調べ方」にまとめています。

販促で使う心理と、景品表示法・ステマ規制の線引き

弊社は、約100項目(97項目)の心理要素のリストを持っていて、企画を出す前に「どの心理を狙うか」を先に決めてから台本を書いています。

ここでは、そのうち販促の表示の決まりと関わる6つを選び、使いどころと、線を越えやすい表示、確かめる決まりを並べました。

心理要素(一般的な意味) 販促での使いどころ 線を越えやすい表示 確かめる決まり
希少性の原則(手に入りにくいものほど欲しくなる) 数量限定、限定色、店舗限定 限定の数や期間、1人あたりの数を書かない おとり広告の告示※12
損失回避性(得より損を強く感じる) 「今日まで」「今だけ」 「セール後は○円に戻ります」と書いたのに、戻す予定がない 有利誤認※10、価格表示の考え方※11
アンカリング効果(最初に見た数字が基準になる) 「通常価格○円→○円」 通常価格で売っていた期間が短い 価格表示の考え方※11
おとり効果(比べる選択肢を足すと、本命が魅力的に見える) 3つのセットを並べて、真ん中を選ばせる 比べるために置いたセットが、実際には買えない おとり広告の告示※12
社会的証明(多くの人が選ぶものを正しいと感じる) クリエイターの使用感、「みんな買っている」 依頼した投稿に、広告であることの表示がない・見えにくい ステマ告示と運用基準※13、TikTokの商用コンテンツ公開設定※14
返報性の原理(何かをもらうとお返ししたくなる) 来店特典、購入者プレゼント、フォローとコメントで抽選 景品の額が上限を超える 景品規制※9

※心理要素の説明は、心理学・行動経済学で一般に知られている定義の要約です。どの心理を販促のどこに当て、どの決まりと組み合わせるかは、消費者庁の資料をもとに編集部が整理したもので、法的な判断ではありません。個別の表示は、消費者庁の資料や専門家に確認してください。企画全般で使いやすい心理要素は「TikTok企画の立て方」で別に10個選んでいます。

TikTok企画の立て方 TikTok企画の立て方|ネタより先に心理を決める順番と企画シート【100万再生137本の会社が公開】

「限定」「今だけ」「通常価格」は、根拠を先に用意する

表の上4つは、どれも価格と数量の言葉です。消費者庁の資料から、販促の担当者が押さえておきたい線を拾います。

  • 通常価格と並べる(アンカリング):過去の価格と並べる二重価格は、原則としてその価格が「最近相当期間にわたって販売されていた価格」である必要があります。目安は、セール開始からさかのぼる8週間のうち、その価格で売っていた期間が過半を占めること。ただし、その価格で売っていた期間が通算2週間未満、または最後にその価格で売った日から2週間以上たっている場合は当たらないとされています※11
  • 「セール後は○円」と書く(損失回避):将来の販売価格と並べる二重価格は、表示した価格で実際に売ることが確かな場合以外は、適切でないとされています※11
  • 「今なら半額」と書く:消費者庁は、基本の価格を書かずに「今なら半額!」と表示し、実際には半額になっていなかった例を、実際より有利だと誤認させる表示(有利誤認)の例に挙げています※10
  • 「限定○個」と書く(希少性・おとり効果):供給量が著しく限定されているのにその内容を明りょうに書かない表示や、期間・相手・1人あたりの量の限定を明りょうに書かない表示、取引の準備がない商品の表示は、おとり広告として禁じられています※12

3章のカレンダーのSTEP.5で「比べる価格の記録を先に取っておく」と書いたのは、この8週間の考え方があるからです。TikTokでは価格を動画の中の言葉やテロップで見せることになるので、あとで撮り直さずに済むよう、撮る前に根拠をそろえておきます。

プレゼントは「誰に、何を条件に渡すか」で上限が変わる

来店特典や購入者プレゼント、抽選のキャンペーンは、景品表示法の景品規制に関わります。消費者庁が示している上限は次のとおりです※9。

景品の上限(消費者庁の資料より)
  • 総付景品(来店者や購入者の全員に渡す):取引価額1,000円未満なら200円まで。1,000円以上なら取引価額の10分の2まで。購入を条件にせず来店者に渡す場合の取引価額は原則100円で、その店で通常行われる取引の最低額が100円を超えるなら、その額にできます※18
  • 一般懸賞(購入者などから抽選で渡す):取引価額5,000円未満なら取引価額の20倍まで、5,000円以上なら10万円まで。総額は懸賞にかかる売上予定総額の2%まで
  • オープン懸賞(購入や来店を条件にしない抽選):平成18年4月に規制が撤廃され、上限の定めはない

「フォローとコメントで抽選」のキャンペーンでも、応募に購入や来店を条件にすると扱いが変わります。同じプレゼント企画でも、応募の条件を1つ足すだけで上限が変わる、ということです。どれに当たるか迷うときは、応募の条件を書き出したうえで確認してください。

クリエイターや社員に投稿してもらうなら、「広告」と分かるように

2023年10月1日から、広告であるのに広告であることを隠す表示(ステルスマーケティング)は景品表示法の違反になりました※13。規制の対象は広告主の側です。消費者庁の運用基準から、TikTokの販促に関わる部分を拾います※13。

  • 自社アカウントの投稿:事業者自身のSNSアカウントでの表示は、事業者の表示であることが明らかなので対象になりません
  • クリエイターに頼む投稿:投稿を依頼する場合や、投稿してもらう目的で商品を無償で渡し、方針に沿った投稿がされた場合は、事業者の表示になります。「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」の文言や、「A社から商品の提供を受けて投稿している」といった文章で、広告であることを分かるようにします
  • 見えにくい表示:動画で認識できないほど短い時間だけ表示する、長い動画で中間や末尾だけに表示する、大量のハッシュタグの中に埋もれさせる、といった方法は、明瞭でない表示の例に挙がっています
  • 社員の個人アカウント:販売や開発に関わる役員・管理職・担当チームの一員が、自社商品の販売を促す投稿をする場合は、事業者の表示とされます
  • キャンペーンへの応募の投稿:第三者が、事業者のSNS上のキャンペーンや懸賞に応募するために、自分の意思で投稿する場合は、事業者の表示にはなりません

TikTokの側にも、商用コンテンツ公開設定があります。オンにすると「有償パートナーシップ」のラベルが付き、見る人がふだんの投稿と商用のコンテンツを見分けられるようになります。TikTok Oneでのコラボは自動で有効になり、クリエイターとの個別のコラボや、社内のビジネスアカウントでの投稿では手動で有効にします※14。

見る側の目も変わっています。豊田は、直近1年で変わったことの1つに、「運用代行が入っているんだろうな」とステマ的に見る目線のユーザーが増えたことを挙げています。広告であることを分かる形で出しておくのは、法律のためだけでなく、見る人に疑われながら販促を見られないためでもあります。

化粧品・健康まわりの商品は、効能の言い方も確かめる

化粧品や医薬部外品、医薬品などの販促では、薬機法も関わります。「何人も」医薬品等の効能や効果について虚偽・誇大な広告をしてはならないとされ、医師などが効能を保証したと誤解させるおそれのある表示も禁じられています※15。「何人も」なので、依頼したクリエイターの投稿も同じ物差しで見ます。台本を渡すときは、使える言い回しを先に決めておくと、撮り直しが減ります。

販促1本の設計シート(記入例2つ)

1〜4章を、販促1本ぶんの設計シートにまとめました。成果を数える場所から書き始め、表示の確認で終える順番です。上から埋めれば、社内の販促会議にそのまま出せます。

欄 記入例A(架空)
地方の洋菓子店・母の日の予約(来店)
記入例B(架空)
ハンドクリームのブランド・冬のギフト(EC購入)
1. 成果を数える場所と、比べる相手 母の日ケーキの予約数。店頭の予約票に「TikTokを見た」の欄を足し、前年の母の日の予約数と比べる 自社ECでのギフトセットの購入数。TikTokから来た購入をリンクの計測用の印で分けて数え、前年12月の同じセットと比べる
2. TikTokの外の受け皿 店頭の予約受付と電話 ECのギフトセットのページ
3. 主役の手段と脇役(期間) 主役:店から通える市区町村に絞った広告(予約締切の3週間前から)。脇役:パティシエが仕込みを見せる自社投稿と、反応のよい投稿のプロモート 主役:クリエイター3人に使ってもらった投稿を、Spark Adsで「販売」目的の広告に(12月の2週間)。脇役:自社投稿で、職場の机で使う場面を見せる
4. 時期(上段)と、重ねる話題(下段) 5月の母の日。下段は4月中旬に記入 12月のクリスマスと年末の贈り物。下段は11月上旬に記入
5. 届けたい人と、「自分のことだ」と思う立場 贈る側の20〜30代と、もらう側の母親の世代。娘と母の会話で、どちらの立場からも見られる動画にする 贈る側の20代の社会人と、冬の手荒れを気にしているもらう側
6. 狙う心理(1つ)と、使う言葉 損失回避性。「予約は5月8日まで」 社会的証明。クリエイター本人の使った感想
7. 表示の確認 締切は実際の締切どおりに書き、延ばさない。予約者全員に焼き菓子を1つ渡す(総付景品。いちばん安い母の日ケーキが3,500円なら上限は700円) クリエイターの投稿は商用コンテンツ公開設定をオンにし、冒頭から「PR」を出す。効能は化粧品の範囲の言い方にとどめ、「治る」などの言葉は使わない。「通常価格」を並べるなら8週間の記録を確認

5の欄は、豊田が自社の毒上司シリーズで取っていた設計を、販促に置き換えたものです。毒上司は、部下の側は「自分がやばい新人なのでは」、上司の側は「自分が抱えている部下はやばい新人では」と、両方の立場が自分に重ねて見る作りでした。贈り物の販促なら、贈る側ともらう側がその2つの立場に当たります。

1本の動画の中身(冒頭の一言や台本)まで詰めるときは、「TikTok企画の立て方」の企画シートに続けてください。広告に回す動画の型は「TikTok広告の動画の作り方」で扱っています。

TikTok広告の動画の作り方 TikTok広告の動画の作り方|使える4つの型と設計シート、差し替えの判断手順【100万再生超え137本の運用会社が解説】

TikTok販促でよくある失敗

TikTokの動画だけで、販促を完結させる

豊田は、バズっても1円にもならないアカウントとして、「何をしている会社か分からない」アカウントと、「どこで知ってもらい、どこへ送るか」を決めないまま、TikTokのオーガニックだけで完結させようとしているアカウントを挙げています。販促で言えば、どこの店の、何の商品で、どこで買えるのかが分からない動画です。再生が伸びても、店にもカートにも人が来ません。設計シートの1と2の欄は、この失敗を防ぐためにあります。

チラシの延長で、CMのように作り込む

販促の動画は、商品をきれいに並べ、BGMを乗せ、価格を大きく出す、チラシやテレビCMの延長で作りたくなります。豊田は、伸びる動画と伸びない動画の分かれ目を、こう挙げています。

豊田優人

時期(トレンド)に乗れているか。今にない、見たことのないフォーマットか。作り込みすぎていないか。作られた感が出ると落ちる。

1つ目は3章のカレンダーで、2つ目と3つ目は撮り方で満たします。記入例Aでパティシエの仕込みをそのまま見せるのは、この3つ目のためです。

他社のセール動画を、そのままなぞる

豊田が本気で反対していることの1つが、全員が同じ戦略・同じやり方を取っていることです。伸びない会社の共通点としても、既存の動画をもとに運用するので同じコンテンツばかり増えることを挙げています。いまのユーザーは、少しでも見たようなスタイルだと、動画の先を無意識に予測してスクロールする、とも豊田は見ています。3章のSTEP.3の「つなぐ一言」を自社の言葉で書くのは、そのためです。

「限定」や「締切」を、販促の途中で曲げる

予約が思ったより集まらず、締切を延ばす。売れ残ったので「限定」を追加で作る。担当者としては自然な判断ですが、動画の中で言い切った言葉は、4章の線引きに照らして確かめ直す必要があります。延ばす可能性があるなら、最初から延ばせる書き方にしておく。数えるほどしか作らないなら、何個かを書く。後から曲げずに済む言葉を、撮る前に選んでおきます。

TikTokの販促でよくある質問

使えます。フォロワーが少なくても、広告(③)やプロモート(②)で、届けたい人に見てもらう数を足せます※1※2。2章で紹介した豊田の考え方でも、まだ知られていない会社は、見てもらう数を広告で取る側です。自社アカウントの投稿は、広告を見た人が確かめに来たときに、店や商品の中身が分かる状態にしておくことが先です。

この記事では、販促目的の予算の目安までは出していません。予算の決め方は「TikTok広告の費用」で扱っています。設計シートの3の欄で、主役の手段と期間が決まれば、見積もりを取るときの条件がそろいます。

紹介すること自体は禁じられていませんが、その社員が販売や開発に関わる役員・管理職・担当チームの一員で、商品の販売を促す投稿をするなら、事業者の表示とされます※13。その場合は、4章のとおり広告であることが分かる表示をしてください。

応募の条件によります。購入や来店を条件にしない抽選はオープン懸賞で、上限の定めはありません。購入者から抽選するなら一般懸賞、来店者全員に渡すなら総付景品の上限がかかります※9。応募した人が自分の意思でキャンペーンの投稿をする分には、その投稿はステマ規制の対象になりません※13。

EC購入が目的で、見つけてから買うまでをTikTokの中で済ませたいなら、候補になります。流通総額の約70%がコンテンツをきっかけにした購入だったという発表もあります※8。一方で、購入後のお客様との関係を自社で持ちたいなら、自社ECに送る形も残ります。2章の「売り場をどちらに置くか」から決めてください。

まとめ:次の販促を1本、シートに書き出す

この記事の要点
  • TikTokの販促で使える手段は、自社投稿・プロモート・広告・クリエイター・ライブとTikTok Shopの5つ。1つだけで完結させない
  • 組み合わせは、成果が起きる場所(店・カート・応募の場所)から決める。来店は地域を絞った広告、EC購入は「販売」目的の広告かTikTok Shop、キャンペーン参加は真似しやすい参加の形が主役
  • 販促カレンダーは「世の中の注目」「自社の販促」「進行中の話題」の3段。最後の段だけ直前まで空けておく
  • 希少性・損失回避・アンカリング・おとり効果は価格と数量の表示、社会的証明はステマ規制、返報性は景品の上限とセットで確かめる
  • 設計シートの7欄が埋まれば、販促会議にそのまま出せる

今日やることは1つです。直近の販促を1本選び、5章の設計シートの1と2の欄だけ先に埋めてください。成果を数える場所と比べる相手、受け皿が決まれば、残りの欄はそこから逆算で埋まっていきます。

シートを書いてみたものの、主役の手段を決めきれない、表示の線引きに自信が持てない。そんなときは、書きかけのシートを持って弊社に相談いただくこともできます。

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この記事を書いた人

株式会社BEEM代表取締役 豊田優人

豊田優人(とよだ・ゆうと)|株式会社BEEM 代表取締役

フォロワー約47万人の会社アカウントを含む自社TikTokアカウント群を運用し、100万再生を超えた動画は137本、累計4.61億再生。複数の記事で取り上げられたほか、大学での登壇歴がある。株式会社BEEMは「SNS採用のみで採用したメンバーで構成される会社」として、TikTokの運用代行・広告運用・採用支援を提供している。

出典

  1. TikTok広告マネージャー ヘルプセンター「TikTokでのプロモートについて」(2026年7月更新)。2026年9月30日確認 https://ads.tiktok.com/help/article/about-promote-on-tiktok?lang=ja
  2. TikTok広告マネージャー ヘルプセンター「適切な目的の選択」(2025年4月更新)。2026年9月30日確認 https://ads.tiktok.com/help/article/choose-right-objective?lang=ja
  3. TikTok広告マネージャー ヘルプセンター「Spark Adsについて」(2026年6月更新)。2026年9月30日確認 https://ads.tiktok.com/help/article/spark-ads?lang=ja
  4. TikTok広告マネージャー ヘルプセンター「ロケーションターゲティングについて」(2025年8月更新)。2026年9月30日確認 https://ads.tiktok.com/help/article/location-targeting?lang=ja
  5. TikTok広告マネージャー ヘルプセンター「広告主向けのTikTok One」(2026年6月更新)。2026年9月30日確認 https://ads.tiktok.com/resources/help/article/about-tiktok-one?lang=ja
  6. TikTok広告マネージャー ヘルプセンター「ブランドミッションについて」(2025年7月更新)。2026年9月30日確認 https://ads.tiktok.com/help/article/about-branded-mission?lang=ja
  7. TikTok Newsroom「TikTok Shopを日本で提供開始」(2025年6月30日)。2026年9月30日確認 https://newsroom.tiktok.com/tiktok-shop-launch-japan?lang=ja-JP
  8. TikTok Newsroom「TikTok Shop、日本での提供開始から半年が経過」(2026年2月3日)。2026年9月30日確認 https://newsroom.tiktok.com/tiktok-shop?lang=ja-JP
  9. 消費者庁「景品規制の概要」。2026年9月30日確認 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/premium_regulation/
  10. 消費者庁「有利誤認とは」。2026年9月30日確認 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/advantageous_misidentification
  11. 消費者庁「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(平成12年6月30日公正取引委員会、平成28年4月1日消費者庁改定)。2026年9月30日確認 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/100121premiums_35.pdf
  12. 消費者庁「おとり広告に関する表示」。2026年9月30日確認 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/case_002
  13. 消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」および「『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』の運用基準」(令和5年3月28日消費者庁長官決定)。2026年9月30日確認 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing/
  14. TikTok広告マネージャー ヘルプセンター「商用コンテンツ公開設定について(広告主向け)」(2025年9月更新)。2026年9月30日確認 https://ads.tiktok.com/help/article/about-the-commercial-content-disclosure-setting-for-advertisers?lang=ja
  15. 厚生労働省「医薬品等の広告規制について」。2026年9月30日確認 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/koukokukisei/index.html
  16. TikTok Newsroom「TikTok、日本における経済効果を発表。2025年、TikTokによって生まれた推定消費額は3,468億円」(2026年6月17日。マクロミル委託、2026年3月6〜9日調査)。2026年9月30日確認 https://newsroom.tiktok.com/tiktok-socio-economic-impact-report-june-2026?lang=ja-JP
  17. TikTok for Business「導入事例」一覧ページ。2026年9月30日確認 https://ads.tiktok.com/business/ja/inspiration
  18. 消費者庁「『一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限』の運用基準について」(昭和52年4月1日、平成8年2月16日改正)1(3)。2026年9月30日確認 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/100121premiums_22.pdf

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