TikTok運用代行とは?中身の7工程と見積書の読み替え方、解約しても手元に残すべきもの

TikTok運用代行とは?中身の7工程と見積書の読み替え方、解約しても手元に残すべきもの

最終更新日:2026年10月13日
執筆・監修:豊田優人(株式会社BEEM 代表取締役)

TikTok運用代行は、企業のTikTokアカウントについて、企画・撮影・編集・投稿・分析までの作業を外部の会社が引き受けるサービスです。ただし、見積書に同じ「運用一式」と書いてあっても、その一式に入っている作業は会社ごとに違います。

たとえば、運用代行会社2社から見積書が届いたとします。表紙に書いてあるのは、だいたい次のような内容です(説明のために作った架空の2通で、実在の会社・実在の見積書ではありません)。

表紙の記載 A社 B社
月額(税別) 25万円 40万円
動画の本数 月8本 月4本
初期費用 0円 20万円
最低契約期間 12ヶ月 6ヶ月
サービス内容 TikTok運用一式 TikTok運用一式

月額はA社が15万円安く、本数はA社が2倍。1本あたりにすると、A社は約3.1万円、B社は10万円です。表紙だけなら、迷う理由がありません。

ただ、この2通は最低契約期間が違います。先に出しておきたいのは、解約できるまでに必ず払う額(拘束額)です。A社は25万円×12ヶ月で300万円、B社は20万円+40万円×6ヶ月で260万円。期間がそろっていないので、この2つは比べるための数字ではありません。

比べるなら、期間を12ヶ月にそろえます。B社は20万円+40万円×12ヶ月で500万円。A社は300万円のままですが、中身を工程ごとに書き出してもらったところ、「運用一式」に企画と撮影が入っていなかったとします。撮影の行を、代行会社が料金表に載せている撮影オプション相当の額(月5万〜20万円)で足すと、A社は12ヶ月で360万〜540万円です。月額だけ見るとA社がずっと安く見えますが、同じ12ヶ月にそろえ、A社に足りない撮影の行だけを足すと、2通の総額は重なる帯に入ります。そのうえでA社には、企画を社内で持つ手間と、市場調査・定例を誰も持たない形が残ります。この読み替えは、3章で一段ずつやります。

2通を同じ土俵に乗せる4つの手順
  1. 「運用一式」を7つの工程に分ける(1章)
  2. 13行の工程表のうち、自社が持つ行を決める(2章)
  3. 月額→工程→本数→総額の順で読み替え、期間をそろえた総額で各社を横に並べる(3章・5章)
  4. 解約したときに何が自社に残るかを、契約書の書き方で確かめる(6章)

書いているのは、TikTokの運用代行を仕事にしている会社です。売り手が相場を書くと数字が自社寄りに歪むので、弊社の料金はこの記事に載せていません。同じ理由で「おすすめの運用代行会社◯選」の一覧も置いていません。どの会社が合うかは見積書を同じ工程表に揃えてみないと決まらず、弊社自身がその候補の1社でもあるからです。そのかわり、弊社の契約条件は公式サイトの記載どおりに6章・7章へ並べました。

業界全体の金額の桁を知りたい方は、79社の公式サイトを開いて月額を分解した記事が先です。この記事は、手元の見積書をどう読むかに絞っています。

TikTok運用代行とは|7つの工程の束です

TikTok運用代行とは、企業のTikTokアカウントの運用を、外部の会社が代わりに行うサービスのことです。

ただ「運用」が指す範囲は、会社によってまったく違います。たとえば弊社のサービスページは、分析を「アルゴリズム解析・トレンド調査・市場調査」の3つに分けて説明し、全体は「全てワンストップで対応」と書いています※6。この「全て」に何が入るのかは、ページを読んだだけでは分かりません。冒頭の見積書の「運用一式」も同じです。そこで、他社の見積書と見比べられる形に分け直したのが次の7工程です(この分け方は本記事の整理で、業界の統一規格ではありません)。

# 工程 具体的に何をするか 成果物
1 市場調査 同業・競合アカウントの調査、トレンドの先読み、アルゴリズムの傾向把握 調査レポート、アカウントの方針書
2 企画 何を・誰に向けて・どの時期に出すかを決め、台本に落とす 企画書、台本
3 撮影 現場での撮影。出張撮影、演者の手配を含む会社もある 素材データ
4 編集 カット、テロップ、音源の設定、サムネイル 完成動画
5 投稿 投稿作業、キャプション・ハッシュタグ、コメント対応 投稿済みの動画
6 分析 再生数・視聴維持率・保存などの集計と、次の企画への反映 月次レポート
7 定例 月1回程度の打ち合わせ。方針の修正、翌月の企画確認 議事録、翌月の計画

この7工程のうち、どこからどこまでを請け負うかで、サービスの呼び名が変わります。

呼び名 請け負う工程 向いている会社
コンサルティング 1・2・6・7(考える工程)。撮影・編集・投稿は自社 撮れる人・出られる人が社内にいて、何を作るかで詰まっている会社
制作代行 3・4(作る工程)。企画と投稿は自社のことが多い 企画と投稿は回せるが、撮影・編集の手が足りない会社
運用代行 1〜7の全部、または2〜7 社内に動画の担当を置けない会社。この記事の対象

運用代行とコンサルの違いは、撮影・編集・投稿(3・4・5)まで請け負うかどうかです。コンサルを入れるべきか、そもそも外に出すべきかは「TikTokコンサルは必要か」で扱うので、この記事は「頼むと決めたあと、見積書と契約書をどう読むか」に絞ります。

目的が集客でも採用でも、7工程そのものは変わりません。変わるのは「6 分析」で見る数字と、見た人を送る先です。集客なら問い合わせ・予約・購入、採用なら応募・面談。販促の目的別に、TikTokの中のどの手段を使うかはTikTok販促のやり方で整理しています。

媒体の大きさも置いておきます。TikTokの日本国内の月間アクティブユーザーは2025年11月時点で4,200万人を超え※1、総務省の調査では利用率が全年代で33.2%、10代65.7%、20代58.7%、30代39.7%、40代39.9%です※2。30代・40代でも、利用率は4割近くあります。

工程表は13行。自社が持つ行と、書き方を指定する行

見積書を読み替えるための道具を先に置きます。1章の7工程に、発注側が決める4行と、広告運用・解約時の引き渡しの2行を足した13行の表です。上の4行は自社で埋め、残りの9行を候補各社に埋めてもらいます。

工程表ワークシート(候補各社に同じものを渡す)

行 誰が持つ 月の量 月額に含む/別料金 成果物・引き渡し
A 誰に来てほしいか 自社(発注前に記入) — — 1行の定義
B どこで知ってもらい、どこへ送るか 自社(発注前に記入) — — 導線の図
C 画面に出る人 自社が決める(演者の手配は各社に記入してもらう) 月◯回・◯時間 演者費の扱い —
D 会社の信頼を担保する材料 自社 — — HP・実績・社内の様子
1 市場調査 調査レポート
2 企画・台本 月◯本 企画書・台本(何をもとに企画するか)
3 撮影 月◯回・誰が来る・何時間 交通費の扱い 素材データ
4 編集 月◯本 完成動画(作り込みの水準)
5 投稿・コメント対応 週◯本 アカウントの名義・管理権限の所在
6 分析 月◯回 レポートに載せる指標の一覧
7 定例 月◯回・◯分 議事録
広告運用 広告費◯円 手数料の率・最低額 広告アカウントの所有者
解約時の引き渡し — 引き渡しの費用 何を・いつまでに・どの形で渡すか(6章)

※空欄の9行を各社に埋めてもらい、埋まった表を横に並べてから金額を見ます。読み方は3章と5章です。

上の4行を自社が持つ理由

弊社がご相談を受けたとき、最初に確認していることが3つあります。どんな人材が欲しいのか。どこで自社を知ってもらうのか(ホームページなのか、求人媒体なのか、SNSなのか)。リーチをオーガニックで取るのか、広告で取るのか。採用の相談での言い方なので、集客なら1つ目は「どんなお客様か」に読み替えてください。1つ目がA行、2つ目がB行、3つ目は表の「広告運用」の行を空けておくか埋めるかの判断に当たります。

D行の材料(実績、社内の様子、人の顔、ホームページの中身)を持っているのは、会社の側です。この行がなぜ要るのかは、4章の型2で代表の言葉を置きます。

C行だけは少し事情が違い、演者の手配そのものは弊社も含めて請け負う会社があります※6。ただ代表は、ここ1年で「運用代行が入っているんだろうな」とステマ的に見る目線のユーザーが増えたと見ていて、今ならやらないことの一つに「キャスティングして可愛い子を出す」だけの差別化を挙げています。今はステマチックに見られるから、という理由です。手配を頼むにしても、画面に誰を立てて、会社のどこを映すかは自社で決めてから渡してください。決まっていないと、手配された演者に何をしてもらうかが決まりません。

B行の書き方の例
  • 店舗集客:TikTokで知る → プロフィールのリンクか地図検索 → 予約ページ・店舗 → 来店
  • EC・サービス:TikTokで知る → 商品名・会社名で検索 → 商品ページ・LP → 購入・問い合わせ
  • 採用:TikTokで知る → 会社名で検索 → ホームページの採用ページ、または求人媒体の自社ページ → 応募

※TikTok単体で完結させず、ホームページ・求人媒体へ送るクロスチャネルの形は、代表が採用で成果につながった導線として挙げているものです。集客の2行は、この記事で読み替えた例です。

「2 企画」「4 編集」「6 分析」は、書き方まで指定する

残りの9行は各社に埋めてもらいますが、この3行は「月◯本」「月◯回」だけで返ってくると、中身を比べられません。成果物の欄に何を書いてもらうかを、渡す前に指定しておきます。

2 企画:何をもとに企画するか

代表は、既存の動画をもとに焼き直す運用を、もう通用しなくなった手法に入れています。原因として挙げているのはコンテンツ力の低下ではなく、アカウントとクリエイターが増え続け、ユーザー数は成熟したという構造の変化です。ここ1年の変化としても、ユーザーが育ったぶん、少しでも見たことのあるスタイルだと先を無意識に読まれ、スクロールされてしまう、と見ています。

企画の行には本数に加えて、何をもとに企画するか(自社の過去動画か、同業の伸びている動画か、それ以外か)を書いてもらってください。企画の組み立て方そのものはTikTok企画の立て方で開示しています。

4 編集:どこまで作り込むか

編集の行は、本数のほかに仕上がりの水準を各社の言葉で書いてもらう行です。比べる目安として、弊社の代表が自社の編集で決めている水準を置きます。

豊田優人

作り込まないようにしています。NGカットも使い切ります。程よく形になっていて、撮影時間も少なくて、人間味が出る、ちょっと崩れた感じも出る。そのくらいに留めます。作られた感が出すぎる動画はダメです。

代表は、TikTokの完成動画とInstagramのストーリーズの間くらいの、作り込みすぎない空気感の動画が伸びるようになった時期を、2025年3月頃と見ています。各社の書く水準がこれと違っても構いません。水準が言葉で書いてあれば、納品された動画がその水準どおりかを、発注側も判断できます。

6 分析:レポートに載る指標の名前

分析の行には「月次レポート」とだけでなく、載せる指標の名前を書いてもらいます。指標の例として、弊社の代表が投稿後にいちばん見ている数字を置きます。

豊田優人

いちばん見ているのは総再生時間です。とにかく時間を食べさせること。冒頭2秒でどれだけ離脱したか、平均視聴率がどうかは、そのための手段として見ています。

どの指標を選ぶかは会社ごとに違って構いません。指標の名前が行に書いてあれば、届いたレポートに約束どおりの数字が載っているかを照らし合わせられます。そこにB行の送り先の数字を1つ足してもらう理由は、4章の型2で書きます。

費用相場と見積書の読み替え|月額→工程→本数→総額

ここから金額の話です。外部メディアの相場、各社の公式サイトに載っていた実額、そして冒頭の2通の読み替えの順に置きます。

外部メディアの相場(参考値)

出典 区切り方 月額の帯 初期費用
pamxy※3 企業規模 小規模 10万〜20万円/中規模 30万〜60万円/大企業 60万〜100万円 10万〜30万円
TORIHADA※4 支援範囲 限定的な支援 10万円前後/制作・投稿代行+簡易分析 20万〜30万円/広告運用・本格コンサル 50万円以上 10万〜30万円(0円もあり)
StockSun※5 プランの厚さ スモール 20万〜30万円/スタンダード 30万〜50万円/フルサポート 50万〜80万円 0〜30万円

※3件とも、何社をどう集計した数字かは記事内に書かれていません。桁の目安として載せています。

3件は区切り方が違いますが、見積書を読むときに使えるのは「支援範囲」で区切ったものだけです。規模やプラン名では、手元の見積書のどの工程にお金を払っているのかが分からないからです。

各社の公式サイトに載っていた実額

弊社は2026年8月に、SNS・TikTokの運用代行を提供する79社の公式サイトを1社ずつ開いて料金の記載を見ています。料金を載せていたのは、ページを開けた68社のうち34社でした。載っていた範囲では、採用特化の月額は10万〜49万円、撮影を足すと月5万〜20万円の上乗せ、最低契約期間は3・6・12ヶ月に分かれています。会社ごとの表と出典はSNS採用の費用と運用代行の相場にまとめてあります。

冒頭の2通を、4つの段階で読み替える

では、冒頭の架空の2通を読み替えます。2章の工程表を2社に埋めてもらい、こう返ってきたとします。

STEP.1
月額を見る

A社25万円、B社40万円。ここではまだ判断しません。

STEP.2
工程に分ける

工程表の「誰が持つ」と「月額に含む/別料金」を見ます。A社は企画(テーマは自社から月8本提出)と撮影(自社で撮った素材を送る)が自社の行で、月額に入っているのは編集・投稿・月次レポート。市場調査と定例の行は、誰も持っていません。B社は市場調査・企画・撮影(月2回・半日)・編集・投稿・分析・定例(月1回)まで月額に入っていて、広告運用だけが別見積でした。

STEP.3
本数を、工程込みで数え直す

A社の「月8本」は編集8本、B社の「月4本」は企画から投稿まで込みの4本です。1本あたり約3.1万円と10万円は、同じものの値段ではありません。A社の撮影を外に出すなら、79社調査で見つかった撮影の上乗せ幅(月5万〜20万円)を当てはめて、月30万〜45万円が比べる相手になります。企画の行は社内の工数として残ります。

STEP.4
拘束額と、12ヶ月の総額を分けて出す

まず、解約できるまでに必ず払う額(拘束額)。A社は0円+25万円×12ヶ月で300万円、B社は20万円+40万円×6ヶ月で260万円です。期間が違うので、ここでは並べません。合わなかったときにいくら払えば抜けられるかの数字として、6章で使います。

次に、期間を12ヶ月にそろえた総額。B社は20万円+40万円×12ヶ月で500万円。A社は300万円に撮影の外注(月5万〜20万円×12ヶ月=60万〜240万円)を足して360万〜540万円です。企画の行は、社内の工数として別に残ります。

読み替えの段階 A社 B社
月額 25万円 40万円
自社に残る行 A〜D+企画+撮影(市場調査・定例は誰も持たない) A〜D(広告運用は別見積)
1本に入っている工程 編集・投稿 市場調査〜定例の7工程
解約できるまでに必ず払う額(拘束額) 300万円(12ヶ月) 260万円(6ヶ月)
12ヶ月にそろえた総額 撮影を自社で持てば300万円。外注すると360万〜540万円(企画は社内の工数) 500万円(広告を出すなら広告費と手数料が別)

※架空の見積書による説明です。撮影の上乗せ幅(月5万〜20万円)のみ上記の79社調査の数字で、代行会社の料金表にある撮影オプションの額を目安として当てたものです。外部の撮影会社に別に頼んだ場合の単価ではありません。

A社が安く見えたのは、買っている行が少ないからです。12ヶ月で見ると、撮影を外に頼んだA社とB社は総額の帯が重なり、違うのは企画を社内で持つかどうかと、市場調査・定例を誰も持たない形で回るかどうかです。だからといってB社が正しいわけでもありません。企画と撮影を社内で回せる会社なら、A社の形のほうが合います。表紙の月額ではなく、自社に残る行と、同じ期間の総額で比べる——4つの段階は、そのための順番です。

広告費は、もう1つ別の階にある

運用代行の月額には、広告費が入っていないことがあります。B社のように別見積になっている場合も同じです。そして代表は、今ならやらないことの一つに「TikTokのオーガニックだけで認知を取ろうとする戦略」を挙げています。2章の3点目(リーチをどう取るか)で広告を選ぶなら、広告費と運用手数料は運用代行の総額とは別に積んでください。広告で何を効果と呼ぶか、どんな商材で効果が出にくいかはTikTok広告の効果は?で書いています。

SNS採用の費用と運用代行の相場|79社の公式サイトを開いて、月額の中身を分解しました

発注の頼み方が原因になる失敗4つ

ここで挙げるのは、悪い会社の見分け方ではありません。発注側の頼み方に原因がある失敗です。腕の良い会社に頼んだ場合でも、頼み方の側で決まってしまうものだけを選んでいます。

型1:「同業の◯◯社と同じように」と頼む

代表が本気で反対していることの一つに、全員が同じ戦略・同じやり方を取っていることがあります。だから全員結果が出ない、という見方です。

これを発注に当てはめると、「同業の◯◯社が伸びているので、うちも同じように」と頼めば、支援会社はその型で作るでしょう。その場合、増えるのは市場に◯◯社と同じ動画がもう1社分、ということになります。原因は支援会社の腕ではなく、「同じように」という頼み方の側です。

対策:2章のA行・B行を自社の言葉で先に渡す。前提が御社固有なら、出てくる企画も御社固有になります。

型2:分析の行を、再生数とフォロワー数のまま契約する

再生数が伸びても、送り先では何も起きないアカウントがあります。代表が挙げているのは、次のようなアカウントです。

豊田優人

バズっても「何をしている会社か分からない」「会社の信頼性を担保できるものがない」。そういうアカウントは1円にもなりません。どこで知ってもらって、どこへ送るか。そのチャネル設計がないまま、TikTokのオーガニックだけで完結させようとしているアカウントも同じです。

2章の「6 分析」の行に再生数とフォロワー数しか書かれていないまま契約すると、アカウントがこの状態になっていても、月次レポートには出てきません。発注側は問い合わせの数で、支援会社は再生数で成果を見ていれば、同じレポートを前にして評価が分かれます。2章でD行を自社の行にしたのも、この「信頼性を担保できるもの」を持っているのが会社の側だからです。

対策:分析の行に、B行の送り先の数字を1つ指定して足してもらう。予約ページなら予約数、求人なら応募数。送り先が自社サイトの場合に会社名での検索数をどう測るかは、SNS採用の費用と運用代行の相場に手順があります。

型3:アカウント運用だけで閉じた提案を、そのまま受ける

代表が本気で反対している主張には、TikTokのオーガニック運用だけで採用も認知も完結する、という考え方もあります。今ならやらないこととしても「TikTokのみに予算を落とすこと」を挙げています。

提案書の範囲がアカウント運用で閉じていても、名前が知られている会社なら成り立つかもしれません。代表の考え方では、知名度のある会社は再生数を追わなくてよく(0でもよい)、会社の中身が伝わる動画を置いておけば足ります。一方で無名の会社がその提案をそのまま受けた場合、よくできた動画が積み上がっても、届く先が決まっていないことになります。代表の考え方では、無名ならリーチは広告で取り、そこからホームページや求人媒体へ送ります。

対策:知名度がないなら、広告費を別枠で確保したうえで、工程表の「広告運用」の行を各社に埋めてもらう。広告費の目安、手数料の率、広告アカウントの所有者まで書いてもらえば、オーガニックの行との組み合わせ方が提案の中で見えます。この行が最後まで空欄の提案は、2章の3点目を決めないまま組まれています。

型4:初回の企画の豪華さで選ぶ

代表が企画を出す前に必ず確認している項目の一つに、撮影の手間が小さいかがあります。

これを発注に当てはめると、初回提案の企画が撮影の手間の大きいものだった場合、社員の撮影協力が2ヶ月目以降も同じように続くとは限りません。撮影日が確保できなかった月は、そのまま本数が出ない月になります。

対策:C行の「月◯回・◯時間」を、発注前に上限として決めて渡す。「月1回、半日まで」のように伝え、その手間で回る企画を組んでもらう。初回提案では、2ヶ月目以降の撮影体制が書かれているかを見てください。

各社の工程表を横に並べて、総額の差を作っている行を探す

候補が3社以上になったら、3章の読み替えを全社でやります。手順は次の5つです。

  1. 13行を同じ順に並べる。各社の工程表を列に並べ、行ごとに「月額に含む」「別料金」「自社」「空欄」の4種類で印を付けます
  2. 空欄を書面で埋めてもらう。空欄は「含まない」なのか「決まっていない」なのかが分かりません。口頭で済ませず、工程表に書き足してもらいます
  3. 印がそろわない行に線を引く。全社が「月額に含む」の行は、比較から外して構いません。差は、印がばらばらの行にしかありません
  4. その行を、金額か社内の工数に換える。別料金なら見積額を、自社なら月の時間を書き込みます
  5. 総額の差を作っている行を特定し、その行だけを比べる。冒頭の2通なら、印がそろわなかったのは市場調査・企画・撮影・定例の4行でした。金額に換えられたのは撮影の行(月5万〜20万円)で、企画は社内の工数、市場調査と定例はA社の形では誰も持たない行として残ります

5まで進めると、「A社とB社のどちらが良いか」という問いが、「企画と撮影を社内で持てるか。市場調査と定例が無くても回るか」という、自社で答えられる問いに変わります。この形になれば、比較はほぼ終わっています。

広告運用の行を社内に残す場合は、出稿後に見る指標の順番と週次の回し方をTikTok広告の運用のやり方に書いています。

解約したときに自社に残すべき6つと、契約書での確かめ方

運用代行に出すべきかどうか、メリットとデメリットの比べ方は「TikTokコンサルは必要か」に任せます。この記事の範囲で言えるのは、工程表から見た、残るものと残らないものの分かれ方です。外に出した行で生まれる物(動画、撮影素材、企画書、レポートの数字)は、契約で引き渡しを決めておけば、運用代行に出しても自社に残せます。一方で、企画の考え方や撮影の段取りのような「やり方」は、書面の成果物になっていなければ支援会社の側に残ります。出しても残せるものを確実に残すための行が、工程表の最後の「解約時の引き渡し」です。

見積書全体で見る項目(広告費の扱い、撮影の定義、レポートの数字など)はSNS採用の費用と運用代行の相場の7項目にまとめてあるので、ここでは引き渡しの1点だけを、契約書の書き方まで降りて見ます。3章の拘束額は、合わなかったときにいくら払えば抜けられるかの数字でした。抜けたときに何が手元に残るかで、その額の意味が変わります。

なお、ここから書くのは、発注する側の立場で弊社が考えた確かめ方の提案です。法律上どう扱われるかを判断するものではないので、契約書の文言の解釈に迷ったら、専門家に確認してください。

残すべきもの 契約書・見積書で確かめる書き方 弊社の公式サイトの記載※6
1 アカウント本体(ログイン情報、登録メールアドレス・電話番号の名義、2段階認証のコードが届く端末) 開設の名義が自社か。登録メールアドレスと電話番号が自社の管理するものか。2段階認証の端末を誰が持つか。解約時に、誰が何をすれば自社だけでログインできる状態になるかの手順が書いてあるか 記載なし。契約時に書面で確認
2 制作した動画(完成データ) 解約後も使えるか、広告に転用できるか、動画のデータそのものを受け取れるか。この3つが別々の文で書いてあるか 「お客様のニーズに応じて他媒体での投稿、二次利用が可能」。解約後の利用・広告への転用・データの受け取りは記載なし。契約時に書面で確認
3 撮影素材(使わなかったカットを含む元データ) 成果物の定義に元データが入っているか。保存期間はいつまでか 記載なし。契約時に書面で確認
4 企画書・台本 成果物として渡るか。社内や次の会社で使い回してよいか 記載なし。契約時に書面で確認
5 レポートの元データ PDFの月次レポートだけでなく、元の数字を受け取れるか 記載なし。契約時に書面で確認
6 広告アカウントの管理権限(広告を出している場合) 広告アカウントの所有者と、支払いの名義。解約後に過去の配信データを見られるか 記載なし。契約時に書面で確認
(あわせて)解約できる時期 最低契約期間、途中解約の扱い、更新が自動か相談か 最低契約期間は半年。更新は契約期間の終了前に担当者と相談して決める。途中解約は記載なし

※右の列は2026年10月2日時点の弊社公式サイト(FAQを含む)の記載です。「記載なし」の行は、弊社に相談される場合も契約時に書面でご確認ください。

「二次利用が可能」で、まだ決まっていないこと

2番の動画は、「二次利用が可能」と書いてあれば足りる、とはなりません。この書き方は、誰が・いつまで・どの用途で使えるかを決めていないからです。

  • 誰が:自社だけか。グループ会社や、自社が別に頼んでいる広告代理店が使ってもよいか
  • いつまで:契約期間中だけか、解約したあとも使えるか
  • どの用途で:自社サイト・他のSNS・広告・店頭や説明会の画面など、どこまで含むか

もう1つ、使ってよいことと、動画のデータを受け取れることは別の話です。解約後の利用、広告への転用、素材データの引き渡しが、それぞれ別の文で書いてあるかを見てください。弊社の公式FAQも「二次利用が可能」という書き方で、この3つまでは書いていません。弊社に相談される場合も、ここは契約時に書面に残してください。

アカウントの名義は、契約前に書面にしておく

1番のアカウントを自社だけで動かせるかどうかは、開設の名義、登録メールアドレス、電話番号、2段階認証のコードが届く端末の4つで決まります。どれか1つでも支援会社の担当者のものなら、解約のときにその1つを移す手続きが要ります。工程表の「5 投稿」の行の成果物欄に4つそれぞれが誰のものかを書いてもらい、「解約時の引き渡し」の行には、解約時に誰が何をすれば移せるかの手順を書いてもらってください。

1つでも「支援会社の側に残る」ものがあれば、その分は契約期間中だけ借りているものです。「解約のときは全部お渡しします」と口頭で言われた場合も、契約書のどこに書いてあるかを確かめてください。

弊社の公式サイトに書いてあること、書いていないこと

引き渡しの項目は、6章の表の右列に並べました。それ以外の契約まわりの記載を、弊社のTikTok運用代行サービスページ(FAQを含む)から並べます※6。

項目 公式サイトに書いてあること 書いていないこと(契約前に直接ご確認ください)
成果の約束 成果を約束するものではない。ヒアリングで成果につながりにくいと判断した場合は、依頼を断ることがある —
撮影の費用 出張撮影に対応。出張の場合は交通費が別途。出演者がいない場合は演者の派遣が可能 演者費の扱い
出演の条件 必ずしも顔出しは不要。ただし求める成果や発信内容によっては必須になる場合がある 社員の拘束時間の目安
体制・レポート お客様専属のチームを構成する レポートに載る指標の内訳、定例の頻度

※2026年10月2日時点の公式サイトの記載です。6章の表と合わせて右の列が多いのは、この記事で他社に聞いてほしいとした項目を、弊社も公式には書き切れていないためです。

支援実績4件は、どこまで書いてあるか

公式サイトには、運用代行の支援実績を業種のみで4件載せています(社名は出していません)※6。

公式サイト掲載の支援実績(業種のみ・要約)
  • 美容系(運用8ヶ月・フォロワー6,035人):自社アプリへの流入のための認知獲得が目的。100万再生超えの動画7本、最高再生380万回
  • 人材派遣業(運用8ヶ月・フォロワー15,900人):自社運用で約1年かけて600フォロワーだったところから、支援開始1ヶ月で4,000フォロワー。求人エントリー数と会社説明会の参加人数が増加
  • 店舗サービス(運用5ヶ月・フォロワー6,000人):採用目的。3ヶ月目に効果が表れ、直接・間接を合わせて7名の採用。面接に来た方や来店客から「TikTokを見ている」という声
  • カメラマン(運用6ヶ月・フォロワー130,000人):新規立ち上げから5ヶ月でTikTokとInstagramの合計フォロワー30万人以上。100万再生超えの動画30本以上

※公式サイトの記載を要約しています。数字は原文どおりです。

B行の送り先の数字まで書いてあるかで読むと、送り先の数字まで載っているのは、店舗サービスの「7名の採用」1件です。人材派遣業は「エントリー数と説明会の参加人数が増加」までで、何件から何件になったかは書いていません。美容系は認知獲得が目的だったので再生数とフォロワー数が目的そのものに当たりますが、アプリへの流入の数字は載せていません。カメラマンは目的の記載がなく、フォロワー数と再生数までです。

弊社の自社アカウントでは、100万再生を超えた動画が137本、累計4.61億再生、会社アカウントのフォロワーは約47万人です(公開中の投稿607本から数え直した実績。2026年10月13日時点)。これは動画を作れることの裏付けにはなりますが、御社の送り先で何が起きるかの裏付けではありません。

送り先の数字まで出しているのは、自社の採用です。TikTok広告を約40日・20万円で回して応募リード95件、面談27件、採用7名。TikTokライブ60時間56分の配信で応募46件、面談32件、採用6名。詳細はTikTok採用の効果・費用・事例を実データで公開した記事にあります。

成果を約束していない理由

公式サイトのFAQには、その理由をこう書いています。「どんなに有名な方でもフォロワーが増えないことがあるのと同様に、設定させていただいた目標を達成できないこともございます」※6。

ご相談で最初に確認するのは、2章で書いた3点です。

TikTok運用代行のよくある質問

頼めます。弊社の公式FAQでも「必ずしも顔出しをする必要はない」としています。ただ同じFAQに「求められる成果や発信したい内容によって顔出しが必須となる場合がある」ともあります。2章のC行で書いたとおり、代表は、動画の向こうに代行の存在を感じ取ってステマ的に見るユーザーが増えたと見ています。顔は出さなくても、社内の手元・声・オフィス・実際の仕事の様子など、御社にしか撮れないものを素材に入れる設計を、C行とD行で相談してください。
冒頭に書いた理由で、この記事では会社名を並べた一覧を置いていません。次の一手は、候補を3社ほどに絞り、上の4行(A〜D)を自社で埋めた2章の工程表を、3社に同じ形で渡すことです。返ってきた表を3章・5章の順で横に並べれば、どこが合うかは御社の側で判断できます。
月額だけでは決まりません。79社の公式サイトを開いた調査(SNS採用の費用と運用代行の相場)では、同じ最下帯の中に、月額が高いほうが投稿本数は少ないという料金表の組み合わせも見つかっています。その10万円に13行のどれが入っているか、最低契約期間は何ヶ月かを3章の順で読み替え、拘束額と、他社と同じ期間にそろえた総額を出してから判断してください。
運用代行のオーガニック運用について、この記事で示せる一律の期間はありません。公式サイトに載せている支援実績では、店舗サービスの採用目的の運用で3ヶ月目に効果が表れ、人材派遣業では支援開始1ヶ月でフォロワーが600から4,000になっています(7章)。一方、広告とライブを組み合わせた自社の採用では、最短1週間で面談まで進んだ例があります。オーガニックだけで組むか広告を含めるかで、期間の桁が変わる、というのが正確なところです。
工程表の上の4行(誰に来てほしいか・どこへ送るか・出る人・信頼の材料)は任せられません。加えて、撮影の協力と定例は続きます。「何もしなくていい」という提案は、上の4行を支援会社が代わりに埋める前提になっていないか、提案した会社に聞いてみてください。
保証そのものより、保証の対象を見てください。4章の型2で引いたとおり、代表は、バズっても何をしている会社か分からないアカウントや、どこで知ってもらいどこへ送るかのチャネル設計がないままTikTokのオーガニックだけで完結させようとしているアカウントは、1円にもならないと言っています。フォロワー数の保証は、この部分を保証していません。保証を出す会社には「その保証が達成されたとき、うちの問い合わせ(応募)はどう変わりますか」と聞いてみてください。
はい。13行の工程表は同じで、変わるのはB行の送り先(求人媒体・採用ページ)と分析の行で見る数字(応募数・面談数)です。代表はここ1年の変化として、20代を中心に、転職を考えるときに企業のSNSまで見るのが普通になったことも挙げています。採用の全体像はSNS採用とはをご覧ください。
この記事では、その線を引いていません。判断の材料は「TikTokコンサルは必要か」に置く予定です。この記事の範囲で言えるのは2つです。2章の工程表で自社が持てる行が増えるほど、外に出す行と総額は小さくなること。そして外に出した行で生まれる物は、6章のとおり契約で引き渡しを決めておけば、自社に残せることです。

まとめ:見積書は「行」で読む

表紙の月額と本数だけで比べると、冒頭のA社のように、買っている工程が少ない見積書が安く見えます。

  1. 「運用一式」を7工程に分け、13行の工程表にする。上の4行(誰に・どこへ・誰が出る・信頼の材料)は自社で埋め、企画・編集・分析の行は書き方まで指定する
  2. 月額→工程→本数→総額の順で読み替える。拘束額と、期間をそろえた総額は分けて出し、各社の表を横に並べて、総額の差を作っている行だけを比べる
  3. 解約したときに何が残るかを、契約書の書き方で確かめる。アカウント、動画、撮影素材、企画書・台本、レポートの元データ、広告アカウント。「二次利用が可能」は、誰が・いつまで・どの用途でまで見る

この3つが済んでいれば、どの会社に頼んでも、少なくとも「何にお金を払っているのか分からない」状態にはなりません。

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この記事を書いた人

豊田優人(株式会社BEEM 代表取締役)

豊田優人(株式会社BEEM 代表取締役)
フォロワー約47万人の自社TikTokアカウント群を運用し、100万再生超えの動画137本・累計4.61億回再生を記録。SNS採用のみで採用したメンバーで構成される会社を経営しながら、企業のTikTok運用代行・広告運用・採用支援を行う。複数のメディアで紹介、大学での登壇歴あり。

出典

  1. TikTok Japan 公式ニュースルーム「TikTok、日本国内のMAUが4,200万を突破」2025年11月27日(自社調べ。TikTokおよびTikTok Liteの月間アクティブユーザー数、重複を除く)https://newsroom.tiktok.com/tiktok-mau-4200?lang=ja-JP
  2. 総務省情報通信政策研究所「令和6年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(第5章 5-1 主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率)。TikTok利用率:全年代33.2%/10代65.7%/20代58.7%/30代39.7%/40代39.9% https://www.soumu.go.jp/main_content/001017160.pdf
  3. pamxy「TikTok運用代行の費用相場はいくら?内訳・選び方・おすすめ26社を比較」(2026年10月2日閲覧)。※参考値 https://pamxy.co.jp/marke-driven/sns-marketing/tiktok/unyoudaikoucost/
  4. TORIHADA「TikTok運用代行の選び方2026──費用相場・契約前チェックリスト・失敗パターンを実務目線で」(2026年10月2日閲覧)。※参考値 https://torihada.co.jp/creatorspost/4548/
  5. StockSun「TikTok運用代行・コンサル会社おすすめ18選|費用相場・失敗しない選び方」(2026年10月2日閲覧)。※参考値 https://stock-sun.com/column/tiktok-operation-company/
  6. 株式会社BEEM「TikTok運用代行サービス」公式ページ(2026年10月2日閲覧)。サービス範囲・専属チーム・支援実績・FAQ(最低契約期間は半年、更新は期間終了前に担当者と相談、成果を約束するものではない、成果につながりにくい場合は依頼を断ることがある、出張撮影は交通費別途、演者の派遣が可能、顔出しは必須ではないが成果や内容により必須となる場合がある、制作動画は「お客様のニーズに応じて他媒体での投稿、二次利用が可能」)の記載 https://www.beem-inc.net/service/tiktok/

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