TikTok動画の作り方|100万再生超え137本・累計4.61億再生の会社が、企画・撮影・編集・投稿の全工程を実データで公開します

TikTok動画の作り方

最終更新日:2026年10月13日
執筆・監修:豊田優人(株式会社BEEM 代表取締役)

この記事はこんな方に向けて書いています
  • 会社としてTikTokを始めることになり、1本目を何から作ればいいかで止まっている中小企業のマーケ・販促担当者の方
  • 撮影や編集の操作は調べれば出てくるのに、「そもそも何を撮るのか」が決まらない方
  • 過去に社内でSNSを始めて更新が止まった経験があり、続く作り方を探している方
先に、この記事の結論をお伝えします

TikTok動画の作り方でつまずくのは、撮影や編集の操作ではありません。操作は30分で覚えられます(実際の手順は5章・6章に順番どおり書きました)。止まるのはいつも「何を企画するか」と「誰がいつ撮るか」の2つです。

弊社(株式会社BEEM)の公式TikTokで、記録シートに記載のある136本を集計したところ、再生数トップ15のうち12本が「社内のあるあるを笑いにした動画」(シート上のComedy系=Comedy+Scripted Comedy)で、同じく12本が15秒以下でした。自社の“あるある”を、9〜15秒で撮る。これが最も再現しやすい1本目です。

「TikTok動画 作り方」で検索して出てくる記事は、ほとんどがアプリの操作解説です。撮影ボタンの位置、テキストの入れ方、BGMの付け方。もちろん必要な情報ですが、会社としてTikTokを始める人が本当に詰まるのはそこではありません。

操作を覚えたあと、カメラの前で「……で、何を撮ればいいんだ?」と全員が黙る。あの瞬間です。

この記事では、弊社が自社アカウントで実際に出した数字(100万再生超え137本・累計4.61億再生、2026年10月13日時点。分析には記録シートに残る136本を使います)をそのまま公開しながら、企画・撮影・編集・投稿・検証の全工程を書きます。編集と投稿は「どの順番で何をするか」を操作の粒度で書きました(5章・6章)。ただそれ以上に「何を企画するか」と「社内でどう続けるか」に紙面を割きます。そこがいちばん差が出るところだからです。

スマートフォンで撮影する手元
イメージ(写真:photoAC)

TikTok動画の作り方は、5工程しかない【全体像と所要時間】

まず全体像を1枚で押さえます。TikTok動画の制作は、次の5工程に分解できます。それ以上でも、それ以下でもありません。

工程1
企画(30分/週1回まとめて)
何を撮るかを決める。ここが全工程で最も重要で、しかも最も飛ばされます。週1回まとめて4〜8本ぶんのネタを出しておくのが現実的です。詳しくは3章。
工程2
台本(1本5分/箇条書きで足ります)
セリフを一字一句書く必要はありません。「冒頭の1言・展開・オチ」の3行だけ決めます。書きすぎるとかえって不自然になります(これは失敗して学びました)。
工程3
撮影(1本5〜15分/複数本まとめ撮り)
スマホで縦向きに撮るだけです。1本ずつ日を分けるのではなく、撮影日を決めて4〜8本まとめて撮るのが続けるコツです。詳しくは4章。
工程4
編集(1本15〜30分)
カット・テロップ・BGM。この3つだけで完成します。凝った演出は不要です。詳しくは5章。
工程5
投稿と検証(投稿3分/確認は週1回)
キャプションとハッシュタグを付けて投稿し、1週間後に数字を見て次の企画に反映する。詳しくは6章と7章。

1本あたり、実際にどれくらい時間がかかるのか

「動画制作」と聞くと丸1日かかるイメージがあると思いますが、TikTokの短尺動画はそうではありません。うちの実際の配分を出します。

工程 1本あたりの時間 まとめてやる単位
企画 約4分(30分で8本ぶん) 週1回・30分の会議
台本 約5分 企画会議の中で同時に
撮影 約10分 撮影日にまとめて(2時間で8本)
編集 約20分 1本ずつ
投稿 約3分 1本ずつ
合計 約40分/本 —

※弊社の運用実績にもとづく実務上の目安です。ジャンル・出演人数・編集の凝り具合で変わります。

1本40分。月8本なら、月に5時間ちょっとです。ここを「専任者が必要な仕事」と見積もってしまうと、稟議の段階で止まります。実際に必要なのは専任者ではなく、週1回30分の会議と、月1回2時間の撮影日です。

豊田優人

最初のころ、うちは1本に半日かけていました。照明を組んで、カット割りを考えて、テロップにアニメーションまで付けて。それで100万回いかない。逆に、撮影の合間に社員同士がふざけていたのをそのまま撮った10秒が、いきなり伸びたんです。あのとき初めて「かけた時間と再生数は比例しない」とわかりました。時間は、企画に使うべきだったんです。

広告として配信する予定がある場合の注意

ひとつだけ先に。作った動画を後々TikTok広告として配信する可能性があるなら、撮影の時点で出演者から「広告利用も含めた同意」を取っておいてください。オーガニック投稿の同意しか取っていないと、あとから広告に使えず撮り直しになります。費用や始め方は「TikTok広告とは?費用・始め方・効果を実数で全部話します」にまとめます。

TikTok広告とは?100万再生超え137本・累計4.61億再生の会社が、費用・始め方・効果を実数で全部話します TikTok広告とは?100万再生超え137本・累計4.61億再生の会社が、費用・始め方・効果を実数で全部話します

【一次データ】136本が示す、伸びる動画の「ジャンル×尺」

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいセクションです。

弊社はフォロワー約47万人の会社アカウントを含む自社のTikTokアカウント群を、2020年から運用してきました。そのうち記録シートに記載のある136本について、再生数・秒数・いいね・コメント・エンゲージメント率・ジャンルをすべて突き合わせて集計しました。

シートに記録のある136本の実測値(2020年9月〜2025年5月投稿分)
  • 合計再生数:2億7,353万回(273,534,500回)
  • 平均再生数:約201万回/本
  • 100万回再生を超えた本数:124本(136本中/9割超)
  • 最高再生数:830万回(2021年3月投稿・11秒・ER5.41%)
  • 平均エンゲージメント率(ER):3.88%

※上記はいずれも「シートに記録のある136本」に限った集計値です。会社アカウント全体(公開中の607本)では100万再生超えが137本・累計4.61億再生です(2026年10月13日時点)。集計の範囲が違うので数字も違います。
※この136本の選び方も書いておきます。提案資料やメディアで引用するために、社内で反響の大きかった投稿を優先して記録シートへ転記したものが、この136本です。無作為抽出ではありません。だから「136本中124本が100万回超」という比率は、うちの全投稿の打率ではなく、あらかじめ反響順に選ばれた集合の中での比率として読んでください。

まず、伸びた動画のジャンル内訳

「何を撮ればいいか」に直接答える数字から出します。再生数トップ15と、エンゲージメント率(ER)トップ10のジャンル内訳です。

ジャンル(シート上の分類) どういう動画か 再生数
トップ15
ER
トップ10
Comedy 社内のやりとりを、その場の会話のまま笑いにする 9本 3本
Scripted Comedy オチまで台本を作り込んだコメディ 3本 3本
Diary & VLOG 社内で実際に起きた出来事に密着する 1本 2本
Work & Jobs 仕事の中身・制度を解説する 1本 0本
Scripted Drama 台本ありの、笑い以外の物語 1本 0本
Pranks 社員へのドッキリ 0本 1本
Random Shoot 撮って出し・偶然撮れたもの 0本 1本

コメディ系(Comedy+Scripted Comedy)を合わせると、再生数トップ15のうち12本(8割)、ER上位10本のうち6本。うちが伸ばしてきた動画は、ほぼこの1ジャンルに集中しています。

この内訳の読み方には、大きな注意点があります(先に書きます)
上の表は「トップ15」と「ER上位10」という、上位25枠だけのジャンル内訳です。136本全体のジャンル構成比ではありません。ここが重要で、そもそも136本の大半がコメディ系だった可能性があります(うちは実際、コメディ路線を主軸に投稿してきました)。だとすれば「上位にコメディが多い」のは当たり前で、この表だけでは「コメディの打率が高い」とは言えません。
つまりこの内訳から言えるのは、「コメディ系はこの規模まで伸ばせる型である」という上限の実証までです。「コメディを選べば伸びる」という因果ではありません。他ジャンルが伸びないことの証明にもなっていません。自社で選ぶときは、この表を根拠にするのではなく、自社が継続して作れるジャンルを選び、7章の方法で自社の数字を取って判断してください。

次に、尺別の平均再生数:0〜15秒が、他の約1.4倍

ジャンルと並ぶもう1つの軸が「尺(動画の長さ)」です。こちらは136本全体で集計できているので、分母を持つという点で上の表より根拠が強い数字です。ただし公平のために書いておくと、136本そのものが反響順に転記された非無作為の集合なので、その選び方に由来するバイアスは尺別平均にも同じくかかります。ジャンルの表にだけ注意書きを付けて尺は無傷、という話ではありません。

動画の長さ 本数 平均再生数 0〜15秒との差
0〜15秒 61本 240万回(2,405,087) —
16〜30秒 32本 167万回(1,669,566) 約0.69倍
31〜60秒 33本 171万回(1,710,806) 約0.71倍
61秒以上 10本 169万回(1,694,150) 約0.70倍

注目してほしいのは、16秒を超えると平均再生数がガクッと落ち、そのあとは60秒でも61秒以上でもほぼ横並びだという点です。つまり「長いほど不利」という単純な話ではなく、15秒という壁がひとつだけある。実際、再生数トップ15本の秒数を見ると12本(8割)が15秒以下で、9秒・10秒・11秒がずらりと並びます。

ところが、ERで見ると尺の結論は逆になります

ここが今回の集計でいちばん意外だった発見です。ERが高かった上位10本のうち6本が21秒以上(37秒が2本、45秒、34秒、28秒、21秒)でした。再生数では不利だった中尺が、ERでは上位を占めていたのです。

しかもこの6本のジャンルを見ると、Comedy・Diary & VLOG・Random Shoot・Scripted Comedy・Pranksとバラけています。共通しているのは「展開がある」ことでした。

ジャンル×尺を、2つの役目に整理すると
  • 広く届ける役目 = 会話コメディ × 9〜15秒
    短いので完走されやすく、繰り返し再生もされる。オチを1回で言い切る型。例:ホワイトデーの動画(11秒・830万回)
  • 濃く刺す役目 = 密着・ドッキリ・展開もの × 21〜45秒
    リーチは伸びづらいが、話に展開を作れるのでコメント・いいねの率が上がる。例:元消防士の社員が救助の話をする動画(37秒・300万回・ER7.27%)

実際に伸びたタイトルを、企画の型として全部並べます

「あるあるを撮れ」と言われても抽象的すぎると思うので、実際に伸びた動画のタイトルと数字をそのまま出します。ここから自社版を作るのが、いちばん早い企画の作り方です。

企画の型 実際のタイトル(弊社投稿) 再生数 尺 ER
上司・社長との関係 社長に怒られた日、こんな上司がいてくれると嬉しいです 670万 10秒 6.01%
社内恋愛の優しい上司たち! 650万 9秒 6.80%
我が社の上司はみんな優しい…2人を除いては… 350万 10秒 5.78%
会社の制度 会社で有給休暇を上手に活用する方法 580万 10秒 5.37%
初めてのボーナス嬉しいですよね!! 350万 9秒 5.15%
退職・転職 寿退社のお祝いと伝え方ガイド 690万 10秒 3.43%
退職代行の全てをここに残します 370万 19秒 1.26%
働き方のあるある 朝が苦手な社員だらけだとこうなります 460万 25秒 5.23%
期限厳守の重要性とその方法 450万 11秒 4.91%
ブラック/ホワイト ブラック企業の末路を探るベンチャー企業 650万 13秒 2.90%
季節のイベント ホワイトデーのお返しを考える男性向けガイド
(136本中の最高再生)
830万 11秒 5.41%
社員の経歴 元消防士が伝える救助の重要性
(136本中のER最高)
300万 37秒 7.27%
ドッキリ 営業部長にイタズラ 120万 28秒 6.07%
撮って出し 体育会系は、信号に間に合わなくても決して諦めません! 140万 45秒 6.41%

この表を眺めていて気づくことがあると思います。ダンスも、流行りの音源も、凝った編集も、1本もありません。全部「会社で実際に起きていること」です。そして上司・社長が出てくる企画が最も多い。これは偶然ではなく、「立場の差」がいちばん伝わりやすい笑いの構造だからだと考えています。

豊田優人

上の表で「営業部長にイタズラ」(120万回・ER6.07%)という動画があります。あれ、最初は本人に断られているんです。「役職者がふざけている動画を出すのはどうなのか」と。1ヶ月くらい社内で揉めました。最後に部長のほうから「1本だけならいい」と折れてくれて、撮ったらER6%を超えた。いまでは役職者が出る企画がいちばん通りやすくなっています。最初の1本を通すのがいちばん大変で、そこを越えると企画の幅が一気に広がります。

このデータの限界を、2つ書いておきます

ここは指摘される前に、自分から出しておきます。

限界1:このデータは2021年に偏っています
  • 再生数トップ15のうち12本が2021年の投稿(残りは2022年2本・2025年1本)
  • ER上位10本は10本すべてが2021年の投稿。つまり上のジャンル内訳のER列は、n=10・全件2021年という条件で読む必要があります
  • トップ15に入った唯一の2025年投稿(19秒・370万回)は、ER1.26%。136本平均の3.88%を大きく下回っています

「0〜15秒の平均240万回」という数字は、2021年前後のTikTok——投稿の供給量がまだ少なく、1本あたりに配られる表示機会が今よりずっと多かった時期の環境で出たものです。ここを隠して「短尺なら240万回いきます」と言うのは、さすがに誠実ではないと思っています。

それでも「短尺優位」と「あるある企画」は今も成り立つと考えています。ただし根拠を入れ替えます

使えるのは再生数の絶対値ではなく、尺の“相対差”のほうです。2021年に同じ企画チーム・同じ配信環境で撮られた動画群のなかで、15秒を境に平均再生数が3割落ちた。この差を生んでいるのは「冒頭で離脱されるかどうか」という、プラットフォームの構造そのものです。そしてこの構造は、競争が激しくなった現在ではむしろ強まる方向にあります。同じ時間内に流れてくる候補動画が増えれば、1本あたりに与えられる猶予は短くなるからです。

逆に言えば、2021年の再生数の水準は再現しません。「15秒にすれば240万回」ではなく、「15秒にすれば、同じ企画・同じ手間で16秒以上より広く届く可能性が高い」と読んでください。

限界2:ジャンルの内訳は「上位25枠」しか見ていません

前述のとおり、ジャンル内訳の分母は136本全体ではなく上位25枠です。各ジャンルを何本投稿したか(分母)がこの集計に含まれていないため、打率は計算できていません。「コメディが強い」と読むのではなく、「コメディでここまで伸ばせた実例がある」と読んでください。自社のジャンル選びは、この表ではなく自社で3本×2ジャンルを試した結果で決めるのが正しい手順です(7章)。

企画の作り方|自社の「あるある」を動画にする4ステップ

ここが本記事の中心です。2章のデータを、自社の企画に変換する手順を書きます。

先に結論を言うと、企画をひとりで考えてはいけません。ネタは考えて出るものではなく、社内から拾ってくるものです。だから必要なのはアイデア力ではなく、拾う仕組みです。

STEP.1
社内の「不満」と「笑い話」を30個書き出す
まず素材集めです。会議室にホワイトボードを出して、社員3〜4人で「うちの会社の変なところ」「入社して驚いたこと」「上司のクセ」「毎月イラッとする瞬間」を思いつくまま出します。30分で30個は普通に出ます。
コツは「面白いことを言おうとしない」こと。面白くしようとすると誰も何も出せません。不満と違和感で十分です。2章の表を見返してください。「有給」「ボーナス」「朝が苦手」「期限」——全部ただの不満です。
STEP.2
出したネタを「共感の輪」で仕分ける
出た30個を、「自社だけの話」か「どの会社でもある話」かで仕分けます。残すのは後者だけです。
ここが最重要の判断です。「うちの独自の企業文化」を紹介したくなるのですが、それは伸びません。伸びるのは視聴者が「うちもそれ!」と言える話だけ。記録シートの136本で最も伸びた11秒(830万回)も、ホワイトデーのお返しに悩む——という誰にでもある話でした。
STEP.3
「冒頭1言・展開・オチ」の3行に落とす
残ったネタを、3行の台本にします。セリフを全部書く必要はありません。
1行目=冒頭の1言(ここで全部決まります。状況が一瞬でわかる一言)
2行目=展開(1回だけ話を動かす)
3行目=オチ(言い切って終わる。まとめない)
9〜15秒に収めるなら、入る情報は1つだけです。2つ入れたくなったら2本に分けてください。
STEP.4
季節イベントを先にカレンダーに置く
これがうちの最大のノウハウです。トレンドは偶然ではなく予測できます。新年度・GW・ボーナス・お盆・年末調整・忘年会・バレンタイン・ホワイトデー——日付が決まっているイベントを年間カレンダーに先に置き、話題化する2週間前に撮って寝かせておく。波が来た瞬間に出せば、類似動画がまだ少ない「波の先頭」に立てます。
記録シートの136本の最高再生(830万回)がホワイトデーの動画だったのは、偶然ではありません。

企画会議は「30分・週1回・4人」で固定する

企画は思い立ったときにやると続きません。うちが辿り着いた形はこれです。

週1回30分の企画会議のやり方
  • 参加者は3〜4人。多いと出なくなります。ひとりは必ず若手(入社1〜2年目)を入れてください。違和感を持っている量がいちばん多いのは若手です
  • その場で撮る本数まで決める:出したネタから次の撮影日に撮る4〜8本を選び、3行台本まで書いて終わります。「今度考える」で終わらせない
  • ボツにした理由を残す:「自社だけの話だった」「情報が2つ入っていた」とメモしておくと、次から精度が上がります
  • ネタのストックは常に8本以上持つ。ストックが切れた瞬間に更新が止まります(8章)

豊田優人

昔、私が企画会議で「もっと面白いのを出して」としか言っていなかった時期があります。当然、誰も何も出せなくなりました。会議が沈黙で終わって、その週は投稿ゼロ。やり方を変えたのは「面白いネタを出す会議」をやめて「不満を出す会議」にしてからです。不満なら全員いくらでも出てくる。そこから笑いに変換するのは、あとの工程でできるんです。順番を間違えていました。

企画で避けるべき3つ

この3つは、うちが実際に失敗して外した企画です
  • 商品・サービスの紹介そのもの:「弊社の○○をご紹介します」は、ほぼ確実に見られません。商品はあるあるの背景に映っているくらいがちょうどいいです
  • 流行りの音源やダンスに乗る:似た動画が大量に並ぶので埋もれます。弊社も早い段階でこの路線をやめました。社員に踊らせる必要はまったくありません
  • 特定の誰かをいじる笑い:社内では笑えても、外から見ると強い言葉に見えます。笑いの対象は「状況」に置くのが安全です。役職者が自分をいじられる形にするなら本人の合意を必ず取ってください
屋外でスマートフォンを使って撮影する3人の女性
イメージ(写真:photoAC)

撮影のやり方|スマホだけで撮る手順と、必要な機材3つ

ここから操作の話に入ります。結論から言うと、スマホだけで足ります。ただし1つだけ、絶対に妥協してはいけないものがあります。

必要な機材は3つだけ(合計1万円前後)

機材 必要度 理由
スマホ 必須 近年の機種なら画質は十分です。専用カメラは不要
ピンマイク(有線でOK) 必須 ここだけは妥協しないでください。画質が悪いのは我慢されますが、音が聞き取れない動画は一瞬でスワイプされます
三脚(またはスマホスタンド) ほぼ必須 手持ちだと画角がぶれて、撮影者ひとりが拘束されます。固定できれば出演者だけで撮れます
照明(リングライト等) あれば 窓際で撮れば日光で足ります。夜に撮るなら欲しい
ジンバル・一眼カメラ 不要 短尺のあるある動画では、投資対効果が見合いません

豊田優人

これは本当に痛かった失敗なので書きます。運用を始めて2週目、オフィスで7本まとめて撮った日があるんです。スマホのマイクだけで。編集の段階で気づきました——エアコンの音と隣の席の電話の声で、セリフが半分聞き取れない。7本全部が使えませんでした。撮り直しで丸2時間です。その日にピンマイクを買いました。3,000円くらいでした。2時間と3,000円、どちらが安いかという話です。

撮影の手順(6つ)

撮影当日の手順
  • 1. 縦向き(9:16)で撮る:TikTokは縦型フルスクリーンが基本です。横で撮ると上下に黒帯が出て、それだけでスワイプされます。横型の既存素材の流用はやめてください
  • 2. 背景を1回だけ片付ける:机の書類、ホワイトボードの内容、モニターの画面。社外秘と第三者の顔が映っていないかを撮影前に確認します。ここは毎回やってください
  • 3. 明るいほうに顔を向ける:窓を背にすると顔が暗くなります。窓に向かって立つのが正解です
  • 4. 上下は空けて撮る:画面の上下端はアカウント名・ボタン・キャプションのUIと重なります。顔と重要な動きは中央に入れてください
  • 5. 1本につき2〜3テイクまで:それ以上撮ると、だいたい悪くなります(理由は後述。これはデータではなく運用実感です)
  • 6. まとめて撮る(1回2時間で4〜8本):服を変えれば別の日に見えます。撮影日を固定するのが、続けるための最大の工夫です

テイクを重ねるほど悪くなる、という話(これは実感の話です)

ここは先に断っておきます。テイク数はシートに記録していないので、これはデータではなく運用実感です。数字として言えるのは1つだけで、2章の表のうち最もERが高かったのは元消防士の社員が救助の話をする37秒(ER7.27%)で、これはシート上のジャンル分類でも「Comedy(その場のやりとりをそのまま笑いにする型)」に入っている——つまり作り込みの度合いがいちばん低い側の1本がER1位だった、というところまでです。

逆に、台本を作り込んだScripted Comedyも上位にはきちんと入っています(再生数トップ15に3本、ER上位10に3本)。だから「台本ものは伸びない」という話ではまったくありません。言いたいのは「作り込みの量と伸びは比例しない」ということだけです。7テイク撮った日と1テイクで撮った日を比べた印象として、テイクを重ねるとセリフは正確になるのに表情から「その場らしさ」が消えていく、という感覚がうちには残っています。

だから、こう撮ってください
3行台本だけ渡して、セリフは本人の言葉に任せる。そして2〜3テイクで切り上げる。噛んでも、言い間違えても、そのほうが伸びます。完璧に撮ろうとした瞬間に、TikTokで効く要素が抜け落ちます。

誰が出演するか問題

「社員が出たがらない」は、ほぼすべての会社で起きます。うちで機能したのは、頼む順番を変えることでした。

まず言い出した人(担当者)自身が出る。これが最短です。自分が出ないまま人に頼むと、まず通りません。次に「出てもいい」と言った人だけに頼む。嫌がる人を説得してはいけません。嫌そうな表情は、そのまま画面に出ます。そして1本伸びた実績ができてから、役職者に1本だけ頼む。実績のない状態で上に頼むと、ほぼ断られます(うちの営業部長の例が2章にあります)。どうしても顔出しが無理なら、手元・後ろ姿・声だけでも成立します。全員の顔出しは前提ではありません。

撮影前に必ず取っておくもの
出演者から撮影・公開の同意を、できれば書面で取ってください。あわせて「将来的にTikTok広告として配信する可能性がある」ことへの同意も同時に取るのが実務上おすすめです。あとから広告に使いたくなったときに、同意を取り直せず使えないケースが実際にあります。退職者が映っている動画の扱いも、あらかじめ社内ルールを決めておくと後で困りません。

編集のやり方|TikTokアプリとCapCut、どちらで編集するか

編集で必要な作業は3つだけです。カット・テロップ・BGM。これ以上は要りません。

まず、どちらで編集するか

TikTokアプリ内で編集 CapCut等の編集アプリ
向いている人 まず1本目を出したい人 月4本以上を続ける段階に入った人
手間 アプリ内で完結。最速 書き出し→アップロードの1手間が増える
テロップ 自動字幕あり。基本的な装飾は可能 装飾・タイミング調整が細かくできる
楽曲 アプリ内のライブラリから選べる。ただし会社アカウントは「商用音楽ライブラリ」の楽曲を使う必要があります※3 外部で付けた音源は、商用利用の可否を自分で確認する必要あり
結論 1〜3本目はこれで十分 テロップに凝りたくなったら移行

1本目はTikTokアプリ内で完結させてください。編集アプリの操作を覚えることに1日使うくらいなら、その時間で2本撮ったほうが学べます。

編集の手順|この順番でやれば、1本20分で終わります

方針の話の前に、実際の作業順を書きます。順番を守ることが時短のほぼすべてで、特に「字幕はカットの後」を逆にすると作業量が倍になります。

STEP.1
素材を取り込む
撮影した縦向きの動画を編集画面に読み込みます。まとめ撮りをした場合はこの時点で使う1本だけを選ぶ。「あとで選ぶ」にすると、編集の途中で必ず迷って止まります。
STEP.2
いらない部分をカットする(前後の切り落としが先)
最初にやるのは頭とお尻の切り落としです。「はい、じゃあ行きます」「……以上です」のような、撮影の合図が入っている部分を削ります。ここで冒頭が1〜2秒短くなるだけで、離脱ははっきり減ります。そのあと中の間(沈黙・言い直し)を詰めます。
STEP.3
自動字幕を生成する
テロップは手打ちしません。音声から字幕を自動生成する機能を使います。TikTokアプリにもCapCutにも入っています。これで文字入れの9割が終わります。
STEP.4
固有名詞だけ手で直す
自動字幕がいちばん間違えるのは社名・人名・サービス名・業界用語です。逆に言えば、直すのはそこだけで十分です。全部読み直して整えたくなりますが、話し言葉の「てにをは」は直さなくていい。むしろ直すと硬くなります。
STEP.5
テロップの位置とサイズを揃える
文字は画面の中央〜やや上へ。下部はキャプションとボタンのUIに隠れます。白文字+黒フチ、1画面1〜2行。ここは次の見出しで詳しく書きます。
STEP.6
BGMを足して、音量バランスを取る
セリフのある動画はBGMを小さくします。目安は「声がはっきり主役に聞こえる」まで下げる。音量の確認はイヤホンではなくスマホのスピーカーでやってください。視聴者の多くはその環境で聞いています。
STEP.7
書き出して、投稿画面に持っていく
比率は9:16(縦)、解像度は1080×1920で書き出せば十分です。それ以上の画質にしても、配信時に圧縮されるので体感は変わりません。TikTokアプリ内で編集した場合は書き出し不要で、そのまま次の6章の投稿画面に進みます。

豊田優人

恥ずかしい話をすると、うちは最初の10本くらいテロップを全部手打ちしていました。1本の編集に1時間かかっていて、担当していた社員が「これは続けられない」と言い出したんです。自動字幕に切り替えて、直すのを社名と人名だけに決めたら、同じ動画が20分で終わるようになりました。もう1つやった失敗がテロップを画面の下に置くことです。プレビューではきれいに見えるのに、投稿したらキャプションとボタンに隠れて読めない。3本出してから気づきました。編集の失敗は、だいたい「投稿後の画面で確認していない」ことから起きます。

テロップは「全編に入れる」が原則

ここは操作の話ではなく前提の話なので、強めに書きます。

多くの人は音を消してTikTokを見ています。電車の中、職場、寝る前。だからテロップがない動画は、内容がまったく伝わらないまま流されます。

テロップの実務ルール(うちの社内基準)
  • 全編に入れる。「大事なところだけ」ではなく全部です
  • 1画面1〜2行まで。読み切れない量を出すと、それ自体が離脱の原因になります
  • 画面の中央〜やや上に置く。下部はキャプションやボタンのUIと重なります
  • 自動字幕を使って、固有名詞だけ手で直す。全部手打ちすると編集時間が倍になります。ここが編集の時短で一番効きます
  • 白文字+黒フチが、どんな背景でもいちばん読めます。凝った書体は可読性が落ちます

冒頭2秒に、すべてを賭ける

2章のデータで「15秒の壁」の話をしましたが、その壁の実体は冒頭で離脱されるかどうかです。編集で最も時間をかけるべきは、最後のオチではなく最初の2秒です。

冒頭2秒でやること/やってはいけないこと
  • やること:いきなり本題のセリフから始める/状況が一瞬でわかるテロップを出す(例「有給を申請したら」)/動きのあるカットから入る
  • やってはいけないこと:ロゴやタイトルカットから始める/「こんにちは、株式会社○○です」という挨拶から始める/状況説明のナレーションを入れる

この「挨拶から始めてしまう」が、会社アカウントで最も多い失敗です。視聴者はあなたの会社をまだ知らないので、挨拶される理由がありません。

BGMの選び方と、権利の注意

音そのものの扱いは単純です。セリフのある動画はBGMを小さく——声が聞こえないなら、BGMは無いほうがマシです。流行りの音源に乗る必要もありません(3章のとおり)。ただし音があるかないかは差が出るので、無音だけは避けてください。

問題は権利のほうです。ここは会社アカウントで運用する場合、知らずにやると一番まずい部分なので、公式の記載どおりに書きます。

会社として投稿するなら、使える楽曲の範囲が変わります
TikTokは、企業の商用利用向けに「商用音楽ライブラリ(Commercial Music Library)」という別のライブラリを用意しており、公式ヘルプは「企業は一般の楽曲ライブラリを商用目的で使用することはできない」と明記しています※3。対象になるのは広告だけではなく、通常のオーガニック投稿も含みます。
つまり、個人アカウントで流行っている曲をそのまま会社の動画に付ける、という運用はできません。ビジネスアカウントに切り替えると、選べる楽曲がこの商用ライブラリに寄るので、実務上は「ビジネスアカウントで、アプリ内の候補から選ぶ」のがいちばん安全です。
また、他ユーザーのオリジナル音源や、ユーザー投稿に付いている楽曲を流用する場合は、自社でライセンスを確保できているかを法務に確認するよう公式が求めています※3。外部のフリー素材も同様で、「商用利用は要クレジット」等の条件が付いていることがあります。迷ったら、アプリ内の商用ライブラリから選んでください。それがいちばん速くて安全です。

動画の長さは、書き出す前に決める

2章のデータどおり、まず9〜15秒で作ってください。編集していると「この部分も入れたい」となって20秒、30秒と伸びていきます。そこで一度立ち止まって、「これは1本に2つの話が入っていないか」を確認してください。入っていたら2本に分けたほうが、両方伸びます。

上限についても一言だけ触れておきます。TikTokはアプリで撮影する場合とアップロードする場合で投稿できる長さの上限が異なり、この上限値は過去に何度も引き上げられてきました。そのため本記事では数値を断定しません。最新の上限はTikTokヘルプセンター「動画の作成」※4で確認してください(弊社の確認日:2026年7月25日)。
実務上は、上限を気にする場面はほとんど来ません。9〜15秒を狙っている限り、上限に当たることはないからです。長さで悩むより、2章の「15秒の壁」だけ覚えておいてください。

投稿のやり方|カバー画像・キャプション・ハッシュタグ・投稿時間

編集が終わったら投稿です。ここは3分で終わりますが、押さえる点が4つあります。最初に投稿画面の作業順を書きます。

投稿画面でやること(この順番)

  1. いったん下書きに保存する:編集直後に投稿しないでください。うちは必ず一度下書きに入れて、翌日か数時間後に見直すルールにしています。撮った直後は面白さの判断が狂いますし、社外秘の映り込みも見落とします
  2. カバー画像(サムネイル)を選ぶ:動画の中から1フレームを選び、短いカバーテキストを載せます。ここを飛ばすと自動で先頭フレームが使われます(詳しくは次の見出し)
  3. キャプションを1行だけ書く:説明ではなく問いかけを書きます(後述)
  4. ハッシュタグを3〜5個付ける:内容と関係あるものだけ(後述)
  5. 公開範囲を「全員」にする:ここが「自分のみ」や「友達」のままだと、いくら良い動画でも誰にも届きません。会社アカウントで最も多い投稿事故がこれです
  6. コメント・デュエット・保存の許可を決める:会社アカウントならコメントは原則オンにしてください。ERの大半はコメントで動きます。荒れるのが不安な場合は、コメントをオンにしたまま不適切コメントのフィルタとNGワード設定を使うほうが、コメント自体を閉じるより結果が良いです。保存(ダウンロード)はオンでかまいません
  7. 投稿する:投稿したら、自分のスマホで自分の投稿を1回見てください。テロップがUIに隠れていないか、音量が小さすぎないかは、実際の画面でしか分かりません

カバー画像(サムネイル)は、1フレーム+短い一言で決める

ここは意外に効くのに、いちばん飛ばされる工程です。カバー画像が効くのは「おすすめ」に流れてきたときではなく、プロフィールに並んだときです。1本気に入った人がアカウントを見に来て、グリッドに並んだカバーを見て2本目を再生するかどうかを決めます。ここが弱いと、せっかく伸びた1本が次につながりません。

選び方は2つだけです。ひとつは人の顔と表情が入っているフレームを選ぶこと。無地の壁や、動きの止まった瞬間は選ばないでください。もうひとつはカバーテキストを短く入れること。目安は10文字前後までで、動画のタイトルではなく状況の一言にします。「有給を申請したら」「新人が社長と間違えた話」——この粒度です。長い説明を入れると、縮小表示されるプロフィール画面で読めなくなります。

キャプションは「1行の問いかけ」で書く

キャプションで説明を書く必要はありません。動画の中身はもう動画で見せています。キャプションの役目はコメントを引き出すことです。

2章の表のタイトルを見返してください。「初めてのボーナス嬉しいですよね!!」「こんな上司がいてくれると嬉しいです」——全部、同意を求める形になっています。ERが高い動画は、コメントが伸びた動画です。そしてコメントは「わかる」と言いたくなったときに付きます。

型は3つで足ります。同意型(「〜ですよね?」「〜な人、いませんか」)、問いかけ型(「みなさんの会社ではどうですか?」)、言い切り型(「これがうちの現実です」)。迷ったら同意型にしてください。いちばんコメントが動きます。

ハッシュタグは「多すぎない」だけ守る

ハッシュタグの最適な個数について確定的な公式基準は見つけられていないので、以下はうちの運用方針として読んでください。個数は3〜5個程度に留めています。大量に付けると内容と関係ないタグが混ざり、かえって届く相手がぼやける印象があるからです。付けるのは内容と関係あるタグだけで、関係ないトレンドタグへの便乗はしません。そのうえで社名タグを1つ固定で入れます(弊社は #beem 系)。これは指名検索とアカウント内の回遊のためです。あとは、数十億回規模の大きすぎるタグだけを狙わず、中規模のタグと組み合わせること。この4つだけです。

投稿時間は、正直そこまで重要ではありません

ここは期待と違う答えになるかもしれません。投稿時間の最適化に労力を使うより、本数を増やすほうが効きます。

理由は構造です。TikTokは投稿直後のフォロワーへの表示だけで決まる媒体ではなく、反応を見ながら段階的に配信範囲を広げていく仕組みです。だから投稿から数日かけて伸びることも普通にあります。うちの動画も、投稿翌日より3日目に伸びたものがいくつもあります。

それでも決めるなら
朝の通勤時間帯(7〜9時)/昼休み(12〜13時)/夜(20〜23時)のどこかに固定してください。大事なのは最適な時刻を探すことではなく、時間を固定して比較できる状態を作ることです。時間を毎回変えると、伸びた理由が企画なのか時間なのか永久にわかりません。

投稿前チェックリスト

  • 出演者本人から撮影・公開(+広告利用)の同意を得ている
  • 楽曲を商用音楽ライブラリから選んでいる(外部音源の場合は商用利用可否を確認した)
  • 第三者の顔・個人情報・社外秘(モニター画面・ホワイトボード・書類)が映っていない
  • テロップが全編に入っていて、音を消しても内容が伝わる。下部のUIに隠れていない
  • 冒頭2秒が挨拶やロゴになっていない
  • カバー画像を自分で選び、カバーテキストが縮小表示でも読める
  • 公開範囲が「全員」になっている(ここが最も多い投稿事故です)
  • 誇大表現がない(景品表示法/薬機法など、業界特有の規制に触れていないか)
  • 投稿前に最低2人でダブルチェックしている

投稿後の見方|どこで離脱しているかを1つの数字で見る

投稿して終わりにすると、次の企画が良くなりません。ただし、見る数字は最小限でいいです。

見るのは「平均視聴時間 ÷ 尺」だけで足ります

アナリティクスにはたくさんの数字が並びますが、作り方を改善するために見るべきは1つです。

視聴継続率(ざっくり計算)

平均視聴時間 ÷ 動画の尺 = 視聴継続率

15秒の動画で平均視聴時間が6秒なら、継続率は40%。つまり過半数が途中で離脱しているということです。この数字が低いなら、直すのはオチではなく冒頭2秒です。

数字の組み合わせで、直す場所が決まります

状態 読み取れること 直す場所
再生数が伸びない/継続率も低い 冒頭で離脱されている 冒頭2秒を作り直す。尺を短くする(5章)
継続率は高いのに再生数が伸びない 見た人には刺さっているが、母数が出ていない 企画の共感の輪が狭い。「自社だけの話」になっていないか(3章 STEP.2)
再生数は出るのにERが低い 届いているが刺さっていない キャプションを問いかけ型に。展開のある中尺(21〜45秒)も試す(2章)
ERは高いが本数が足りない 型は当たっている その動画の派生を作る。当たった企画は繰り返してください

ERの目安については、弊社の記録シートに記載のある136本の平均が3.88%でした。これを大きく下回るなら、届いていないのではなく「刺さっていない」ということです。ただし前述のとおりこの136本は反響順に選んで記録した集合なので、3.88%を自社の到達目標に置かないでください。使い方は「自社の動画同士を比べるときの、桁の感覚」までです。

2ジャンル×3本で試す、というやり方

2章で「ジャンルの打率は自社で確かめてください」と書いた、その具体的な手順です。

自社の勝ちジャンルを見つける最小の実験
  • ジャンルを2つ選ぶ(例:会話コメディ×9〜15秒/密着もの×25〜35秒)
  • それぞれ3本ずつ、計6本を同じ条件で投稿する。投稿時間・ハッシュタグの方針は揃えます
  • 2週間待ってから、ジャンル単位で平均を比べる。1本ずつで判断しないこと。当たり外れは必ず出ます
  • 勝ったジャンルの派生を増やし、負けたほうは企画を1回だけ作り直して再挑戦する。それでも負けたら畳む
最初の数本で判断しないでください
記録シートの136本では124本が100万回を超えていますが、これは型が固まったあとの話です。型が決まるまで打率は上がりません。最低10本は、判断せずに出し続けてください。いちばん多い失敗は成果が出ないことではなく、3本で判断してやめてしまうことです。

社内で続ける体制の作り方|止まる原因は3つだけ

ここが、操作解説の記事には書かれていない部分です。そして実際にいちばん多い相談でもあります。「始めたけど3ヶ月で止まりました」。

うちも1回止めています。だから原因は分かっています。3つだけです。

原因1
ネタのストックが切れる
これが最多です。投稿の直前に企画を考える運用にしていると、忙しい週が1回来た時点で止まります。
対策:ネタは常に8本以上ストックしておく。3章の週1回30分の会議で、必ず貯め続けてください。ストックが4本を切ったら黄信号です。
原因2
担当者がひとりになる
企画・撮影・編集・投稿を1人が全部やる形にすると、その人が忙しくなった週に完全停止します。しかも本人が疲弊して、社内で「TikTokは大変な仕事」という空気になります。
対策:工程で分ける。企画は会議(複数人)、撮影は撮影日(複数人)、編集と投稿だけ担当者。1人1工程にしてください。
原因3
数字が出ない期間に、社内の応援がなくなる
最初の10本はだいたい伸びません。そこで「意味あるの?」という声が社内から出ると、担当者は続けられなくなります。
対策:始める前に「最初の3ヶ月は本数だけを評価する」と決めて共有しておく。再生数を初期のKPIにしないこと。これは経営側の仕事です。

豊田優人

うちが止まったのは、まさに原因1と2の合わせ技でした。「週3本」と決めて始めて、最初の1ヶ月は勢いで回るんです。2ヶ月目に企画のストックが切れて、当時ひとりで担当していた社員が本業の繁忙期に入った。そこで2ヶ月まったく投稿できませんでした。再開のときに変えたのは、本数の目標を週3本から月8本に下げて、代わりに撮影日を月1回・固定でカレンダーに入れたことです。目標を下げたのに、年間の投稿数は増えました。

最初に決めておく4つ

運用を始める前に、紙に書いて共有しておくこと
  • 本数の目標:月4〜8本から。週3本は、ほぼ続きません(実体験です)
  • 撮影日:月1回、カレンダーに固定で入れる。「空いた時間に撮る」は永久に来ません。ここが体制づくりの核です
  • 最初の3ヶ月の評価軸:再生数ではなく投稿本数。10本出すまでは成果を問わないと合意しておく
  • NGラインと承認フロー:誰が最終確認するか、何は撮らないか(3章の「避けるべき3つ」)。ただし承認は1人まで。承認者が増えると、スピードという中小企業最大の武器が消えます

社内で撮るか、外注するか

正直に書きます。撮影を全部外注すると、たいてい続きません。外注の撮影日に合わせて企画を用意する形になり、社内の「あるある」を拾う流れが止まるからです。2章のデータが示すとおり、伸びるのは社内の日常そのものです。

体制 向いているケース 注意点
全部社内 いちばんおすすめ。企画が回り続ける 編集の工数が担当者に集中しやすい
撮影は社内/編集だけ外注 現実的な折衷案。いちばん重い編集だけ外に出す テロップの基準を最初に共有すること
企画から全部外注 社内に出せる人が本当にいない場合 社内の日常が入らず、他社と似た動画になりやすい

もし「社内でやりたいが、企画と体制の立ち上げだけ伴走してほしい」という段階なら、そこはご相談ください。うちが自社で回している型をそのまま渡す形の支援をしています。詳しくはTikTok運用代行とは?中身の7工程と見積書の読み替え方にまとめています。

TikTok動画の作り方によくある質問

まず9〜15秒です。弊社の記録シートに記載のある136本では、0〜15秒の平均再生数が240万回で、16秒以上(167万〜171万回)の約1.4倍でした。トップ15本のうち12本が15秒以下です。

一方、エンゲージメント率の上位10本は6本が21秒以上だったので、コメントや保存を貯めたい場合は25〜45秒も選択肢になります。ただしER側の根拠はn=10・全件2021年の投稿で弱いため、中尺を試すなら15秒版と並べて同時に出し、自社の数字で確かめてください(2章)。

スマホだけで作れます。1〜3本目はTikTokアプリ内の編集で完結させてください。それ以上に必要なものがあるとすればピンマイク(3,000円程度)と三脚だけです。画質が粗いのは我慢されますが、音が聞き取れない動画は一瞬でスワイプされます。CapCut等の編集アプリは、テロップの装飾に凝りたくなってから移行すれば十分です(4章・5章)。

ネタは「考える」のではなく「社内から拾う」ものです。社員3〜4人で30分、「うちの会社の変なところ」「入社して驚いたこと」「上司のクセ」「毎月イラッとする瞬間」を書き出してください。30個は普通に出ます。面白いことを言おうとしないのがコツです。

そのあと「自社だけの話」を捨てて「どの会社でもある話」だけ残す。記録シートの136本で最も伸びた動画(830万回)も、ホワイトデーのお返しに悩むという誰にでもある話でした(3章)。

できます。ただし順番があります。まず言い出した担当者本人が出る、次に「出てもいい」と言った人だけに頼む、1本伸びた実績ができてから役職者に頼む。嫌がる人を説得しないでください。嫌そうな表情は画面に出ます。

顔出しがどうしても無理なら、手元・後ろ姿・声だけでも成立します。弊社も、役職者が出る企画は最初は断られていました(4章)。

まったく必要ありません。弊社の記録シートの再生数トップ15に、ダンス動画は1本もありません。その中の最高再生の830万回も11秒の会話劇です。むしろ流行りの音源に乗った動画は似たものが大量に並ぶので埋もれやすく、弊社は早い段階でその路線をやめました。社員に踊らせる必要はありません。

加えて権利の面でも注意が必要です。TikTokの公式ヘルプは「企業は一般の楽曲ライブラリを商用目的で使用することはできない」と明記しており、会社アカウントは商用音楽ライブラリの楽曲を使うことになります※3。つまり「個人で流行っている曲をそのまま会社の動画に付ける」という使い方は、そもそもできません(5章)。

あります。TikTokの日本国内MAUは4,200万を突破しており※1、総務省の令和6年度の調査でも利用率は全年代で33.2%(10代65.7%・20代58.7%)です※2。日本の10代・20代は人口の約2割なので、仮にその層の約6割が使っていても全年代利用率への寄与は約12ポイント。実際の33.2%との差、つまり3分の2近くは30代以上が積み上げている計算になります(※人口構成比を用いた弊社の概算です)。

そして弊社が伸ばしてきたのは「会社あるある」「上司ネタ」という働く人の共感コンテンツで、これは10代向けの内容ではありません。刺さるかどうかを決めるのは商材の若さではなく、企画が誰の日常に触れているかです。

月4〜8本から始めてください。週3本は、ほぼ続きません(弊社は週3本で始めて2ヶ月で止めました)。本数目標を下げる代わりに撮影日を月1回カレンダーに固定し、まとめ撮りにするほうが年間の投稿数は増えます。1本あたりの作業時間は企画から投稿まで約40分なので、月8本でも月5時間程度です(8章)。

最低10本、期間で言えば3ヶ月は判断せずに出し続けてください。弊社の記録シートの136本では124本が100万回を超えていますが、これは型が固まったあとの数字です。型が決まるまで打率は上がりません。

判断のやり方としては、ジャンルを2つ選んで3本ずつ計6本を同条件で投稿し、2週間後にジャンル単位の平均で比べるのが最小の実験になります(7章)。1本ずつで判断しないことが重要です。

使えます。既存の投稿をそのまま広告配信できるSpark Adsという形式があり、いいね・コメントを引き継いだまま配信できます。ただし撮影時点で出演者から「広告利用も含めた同意」を取っておく必要があります。また、オーガニック投稿で使えた楽曲が広告では使えないことがあるので、広告化する前提の動画は音源の選び方から変えてください。費用や手順は「TikTok広告とは?費用・始め方・効果を実数で全部話します」にまとめます。

まとめ:今日、9〜15秒を1本撮ってください

最後に、この記事の要点をまとめます。

この記事の要点
  • TikTok動画の作り方は企画・台本・撮影・編集・投稿の5工程。1本あたり約40分で、月8本でも月5時間程度です
  • 止まるのは操作ではなく「何を企画するか」と「誰がいつ撮るか」の2つ。操作は30分で覚えられます
  • 弊社の記録シートに記載のある136本(平均ER3.88%)では、0〜15秒の平均再生数240万回が最高で16秒以上の約1.4倍。トップ15の12本が15秒以下でした
  • 同じトップ15の12本がコメディ系(社内のあるあるを笑いにする型。うち3本は台本を作り込んだScripted Comedyです)。ダンスも流行り音源も1本もありません
  • ただしこのジャンル内訳は上位25枠だけの内訳で、各ジャンルの投稿本数(分母)を含みません。「コメディなら伸びる」ではなく「コメディでここまで伸ばせた実例がある」と読んでください
  • 加えてこの136本は2021年の投稿に偏っており、反響順に選んで記録したもので無作為抽出でもありません。使うべきは再生数の絶対値ではなく、尺による相対差のほうです
  • 企画は考えるのではなく社内から拾う。「不満」を30個出し、「自社だけの話」を捨てて「どの会社でもある話」だけ残す
  • 機材はスマホ・ピンマイク・三脚の3つ(合計1万円前後)。音だけは妥協しない
  • テイクは2〜3回まで。作り込みの量と伸びは比例しません(※テイク数はシートに記録がないので、これは運用実感です)
  • 編集は取り込み→前後のカット→自動字幕→固有名詞だけ手直し→テロップ位置→BGMと音量→書き出し(9:16/1080×1920)の順。テロップは全編に入れる(多くの人は音を消して見ています)。時間をかけるのはオチではなく冒頭2秒
  • 投稿前にカバー画像(1フレーム+10文字前後のカバーテキスト)を自分で選び、公開範囲が「全員」か確認する。会社アカウントで楽曲を使うときは商用音楽ライブラリから選ぶ※3
  • 続けるための核は「ネタを8本ストック」「1人1工程」「撮影日を月1回カレンダーに固定」「最初の3ヶ月は本数だけを評価」の4つ
  • 改善は平均視聴時間 ÷ 尺を見るだけで足ります。低ければ直すのは冒頭2秒

今日からやることは、これだけです。

  1. 社員3〜4人で30分、「うちの会社の変なところ」を30個書き出す
  2. そのうち「どの会社でもある話」を4本選び、3行の台本にする
  3. ピンマイクを注文する(3,000円程度。これだけは今日)
  4. 撮影日をカレンダーに固定で入れる(月1回・2時間)
  5. 1本目は9〜15秒・縦向き・テロップ全編で、TikTokアプリ内の編集だけで出す

この順でやれば、少なくとも「自社の何が刺さって何が刺さらなかったか」がわかる状態になります。TikTokでいちばん多い失敗は、伸びないことではなく企画が決まらないまま1本も出ないことなので。

豊田優人

うちも、最初の1本はオフィスの会議室で、三脚もマイクもないまま撮りました。あとから見ると音も画角もひどいです。でもあれを出したから2本目があって、136本のデータが残りました。1本目のクオリティは、本当にどうでもいいです。それより今週撮ってください。データは、出した人にしか溜まりません。

「うちの会社なら何を企画して、誰が出て、どう続けるか」を具体的に詰めたい方は、お気軽にご相談ください。この記事で公開したデータをもとに、貴社の状況に合わせた設計をご提案します。

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この記事を書いた人

株式会社BEEM代表取締役 豊田優人

豊田優人(とよだ・ゆうと)|株式会社BEEM 代表取締役

フォロワー約47万人の会社アカウントを含む自社TikTokアカウント群を運用し、100万再生を超えた動画は137本、累計4.61億再生。会社アカウントの企画を自ら担当。複数の記事で取り上げられたほか、大学での登壇歴がある。株式会社BEEMは「SNS採用のみで採用したメンバーで構成される会社」として、TikTokの運用支援・広告運用を提供している。

出典

  1. TikTok社発表「TikTok、日本国内のMAUが4,200万を突破」2025年11月27日(自社調べ。TikTokおよびTikTok Liteの月間アクティブユーザー数、重複を除く) https://newsroom.tiktok.com/tiktok-mau-4200?lang=ja-JP
  2. 総務省情報通信政策研究所「令和6年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(令和7年6月公表)。TikTok利用率:全年代33.2%/10代65.7%/20代58.7% https://www.soumu.go.jp/main_content/001017160.pdf
  3. TikTok for Business ヘルプセンター「About the Commercial Music Library(商用音楽ライブラリについて)」。企業が商用目的で一般の楽曲ライブラリを使用できないこと、商用音楽ライブラリの対象がオーガニック投稿・動画広告・ブランドコラボを含むこと、他ユーザーのオリジナル音源等を使う場合はライセンスの確保を法務に確認すべきことの記載を参照(ページ上の最終更新:2025年7月/弊社確認日:2026年7月25日) https://ads.tiktok.com/help/article/commercial-music-library
  4. TikTokヘルプセンター「動画の作成」(撮影・編集・投稿の各機能と、投稿できる動画の長さに関する案内。上限値は改定されるため本文では数値を断定していません/弊社確認日:2026年7月25日) https://support.tiktok.com/ja/using-tiktok/creating-videos
本文中のデータについて
本文中の再生数・エンゲージメント率・尺別の集計値・ジャンル内訳は、特記なき限り弊社(株式会社BEEM)の実測データ(自社調べ)に基づきます。TikTokの集計値は「記録シートに記載のある136本」(2020年9月〜2025年5月投稿分)に限った数字で、会社アカウント全体の数字(公開中の607本で100万再生超え137本・累計4.61億再生、2026年10月13日時点)とは範囲が違います。この136本は社内で反響の大きかった投稿を優先して転記したもので無作為抽出ではなく、また2021年の投稿に偏っています。ジャンルの内訳は再生数トップ15とER上位10という上位25枠に限った内訳であり、ジャンルごとの投稿本数(分母)を含まないため打率を示すものではありません。自社TikTokアカウント(@beem_official)は公開されているので、いつでも見に行って確かめていただいて大丈夫です。
制作工程の所要時間・機材・運用体制・テイク数に関する記載は弊社の運用経験に基づく実務知見であり、公式が示す基準ではありません(テイク数はシートに記録していないため、データではなく実感です)。ハッシュタグの個数と投稿時間帯も、確定した一次基準が見つけられていないため弊社の運用方針として書いています。
楽曲の商用利用に関する記載はTikTok for Business公式ヘルプ(出典※3・2026年7月25日確認)、動画の長さの上限に関する案内はTikTokヘルプセンター(出典※4・同日確認)に基づきます。アプリの画面名称・動画の長さの上限・楽曲の利用条件はいずれも改定されるため、実作業の直前に公式ヘルプで最新の内容をご確認ください。

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