最終更新日:2026年10月16日
執筆:BeeMedia編集部(株式会社BEEM)/監修:豊田優人(株式会社BEEM 代表取締役)
- 上司や社長に「参考になる会社の成功事例をまとめておいて」と頼まれ、材料を探している方
- 検索で出てくる大手や有名アカウントの事例が、自社の規模とかけ離れていると感じた方
- 「成功」を何で測ればいいのか、自分なりの物差しを持っておきたい方
- この記事の「成功」の物差しは、直近約30本の中に、その会社のふだんの再生の5倍以上で、しかも3万回以上の動画(バズ)が何本あるか。244社のうち5本以上は39社、1本も無い会社は68社
- バズの多い会社は、フォロワーの多い会社ではありませんでした。5本以上の39社のフォロワーの中央値は3,829人で、244社全体の3,692人とほとんど変わりません
- 業種ごとにバズのいちばん多かった6社(建設・物流・美容・飲食・介護・不動産)も、フォロワーは1万人前後か、それより少ない会社。投稿は月1〜2本から週4本ほどまで、ばらばらです
- 当たっている会社の多くは、得意な型が当たった動画の6〜7割で、残りは別の型で当てていました(AIの判定で数えた目安。数え方と限界は8章)
上司に頼まれた「参考になる会社の成功事例のまとめ」。どの会社を載せるか、もう決まりましたか。
「TikTok 企業アカウント 成功事例」で調べると、上位には「◯選」の事例集が並びます。載っているのは、誰もが名前を知っている大手や、フォロワーが何十万人もいる有名なアカウント。記事を何本開いても、似た顔ぶれが続きます。社員の顔がだいたい分かるくらいの会社で、本業の合間にTikTokを回している立場からすると、規模も予算も人手も違いすぎる。これをそのまま出しても、「うちとは違うでしょ」で終わってしまいそうです。
本当に知りたいのは、たぶん次の2つではないでしょうか。うちと同じくらいの会社で、うまくいっているところはあるのか。そもそも、あの「成功」は何を見て言っているのか。
この記事では、順番を逆にしています。先に「成功」を測る物差しを決め、それを日本の企業アカウント244社に当てて、当たっている会社を業種ごとに探しました。会社の名前は出てきません。その代わり、業種と規模、当たった動画の中身、投稿のペースが分かるように書いています。
TikTok企業アカウントの「成功」は何で測るか
検索上位の事例集を一通り読んでみると(2026年10月15日時点)、どの会社を、何社の中から、どんな基準で選んだのかを書いた記事は見当たりませんでした。「成功」が何を指すのかも、書かれていません。数年前の数字が、新しい日付のタイトルの下にそのまま残っている記事があり、広告だけの事例がアカウント運用の事例と同じ並びに混じっている記事もありました。
「フォロワーが多い会社が、成功している会社じゃないの?」
まず浮かぶのは、この考え方でしょう。ただ、フォロワー数は、アカウントを開いてから積み上がった合計です。何年も前の1本で増えたフォロワーも、先週増えたフォロワーも、同じ1人として数えられます。知りたいのは、「今のやり方で、動画が見られているかどうか」のほうではないでしょうか。
そこでこの記事では、各社の最近の投稿だけを見ることにしました。物差しはこうです。
直近約30本の中に、その会社のふだんの再生の5倍以上で、しかも3万回以上になった動画(この記事でいう「バズ」)が何本あるか。
「ふだんの再生」は、その会社の動画がいつもどのくらい見られているかの目安です。30本を再生数の順に並べ、ちょうど真ん中に来た1本の数を使いました。平均を取ると、桁違いに伸びた1本で数字が跳ね上がってしまいますが、真ん中の1本ならほぼ動きません。
ここは少しややこしいので、数字を入れてみます。ふだんの再生が5,744回(244社の中央値)の会社なら、5倍は約2.9万回。3万回のほうが高いので、3万回が線になります。ふだんが1万回ほどの会社なら、線は5万回ほど。会社ごとに線の高さを変えているのは、ふだん数千回の会社と数万回の会社を、同じ回数で比べないためです。3万回の下限は、ふだんの数字が小さい会社の、ちょっとした伸びまでバズに数えないために置いています。
この物差しを244社に当てると、バズの本数はこう分かれました。
- バズ0本:68社
- 1本:47社
- 2本:41社
- 3本:30社
- 4本:19社
- 5本以上:39社(うち7本以上が18社。最も多い会社で13本)
244社の3割近い68社には、バズが1本もありません。反対に、5本以上ある会社は39社で、6社に1社ほど。244社の動画をまとめてならすと、6,943本のうちバズは560本(8.1%)、12本に1本ほどの割合です。
この記事では、5本以上の39社を「当たっている会社」として扱います。30本のうち6本に1本以上がバズになっている会社です。成功事例を探すなら、まずこの39社の中から。どんな会社だったのかを、フォロワーの数から確かめていきます。
当たっている会社は、フォロワーの多い会社ではなかった
244社をバズの本数で3つのグループに分けて比べると、こうなります。
| バズの本数 | 社数 | フォロワー中央値 | ふだんの再生の中央値 | 投稿ペースの中央値 | 動画の長さの中央値 |
|---|---|---|---|---|---|
| 5本以上 | 39社 | 3,829人 | 1.03万回 | 週1.12本 | 47秒 |
| 1〜4本 | 137社 | 4,177人 | 6,767回 | 週1.24本 | 42秒 |
| 0本 | 68社 | 2,831人 | 1,488回 | 週1.00本 | 40秒 |
BEEM調べ(日本の企業TikTokアカウント244社の直近約30本・計6,943本・2026年10月8日取得)。中央値は、そのグループの会社を並べたときの真ん中の値です。
フォロワーの列を上から読むと、3,829人、4,177人、2,831人。バズが5本以上ある会社は、1〜4本の会社よりもむしろ少なく、244社全体(3,692人)とほぼ同じ位置にいます。
もっと当たっている会社に絞っても、姿は似ていました。バズ7本以上の18社でも、フォロワーは4,468人で、全体よりやや多い程度。しかも18社のうち14社はフォロワー1万人未満です。
5本以上の39社に広げると、1万人未満は31社。ただ、244社のほうも178社(73%)が1万人未満なので(6章)、当たっている会社にだけ小さい会社が多い、というわけでもありません。バズ0本の68社(2,831人)と5本以上の会社の差も千人ほど。フォロワーにも差はあるものの、ふだんの再生ほど大きくは開いていませんでした。
差がはっきり出ていたのは、ふだんの再生の列です。バズ0本の会社が1,488回、5本以上の会社は1.03万回で、7倍ほどの開きがあります。投稿ペース(週1.00〜1.24本)や動画の長さ(40〜47秒)は、3つのグループでそれほど変わりません。

「ふだんから見られている会社ほど当たる。それ、当たり前では?」と引っかかった方もいるでしょう。
実はこの差には、物差しの作り方も関わっています。1章の線の引き方だと、ふだんの再生が6,000回に届かない会社(244社のうち124社)は、3万回のほうが線になります。ふだんが1,500回ほどの会社なら、20倍ほど伸びないとバズに数えられません。バズ0本のグループにふだんの再生が少ない会社が集まったのは、この数え方のせいでもあります。
それでも、フォロワーではなく、ふだんの再生のほうで分かれていたことは、事例を自社と比べるときに役立ちます。比べる相手を選ぶなら、フォロワー数より、1本あたりのふだんの再生が近い会社を。
業種別のTikTok企業アカウント成功事例6つ
では、自社と同じくらいのフォロワー規模で当てている会社は、実際にどんな動画を出していたのか。業種の目安ごとに、バズがいちばん多かった会社を1社ずつ選びました。建設・職人、物流・運送、美容、飲食、介護・医療、不動産の6社です。
会社名とアカウント名は伏せ、数字は丸めています。どのカードも業種の代表ではなく、「同じ業種に、こういう当て方をしている会社が1社あった」と読んでください。
- 規模:フォロワー約2,500人。ふだんの再生は約4,600回
- 当たった動画:9本のうち7本がクイズ・参加型。問いかけで始まり、業務の知識を出題して、複数人で掛け合う作り
- 投稿ペース:週0.3本ほど(月1〜2本)。動画の長さは真ん中で46秒
ふだん約4,600回の会社なので、線は3万回。月に1〜2本しか出していないのに、9本がそこを越えていました。
- 規模:フォロワー約3,200人。ふだんの再生は約1.7万回
- 当たった動画:7本は密着と現場の紹介が中心。テーマは7本のうち6本が業務の知識・裏側
- 投稿ペース:週3.6本ほど。動画は半分以上が1分超え(中央値83秒)
次の美容の会社もクイズで当てていますが、出題の題材は建設の会社とまるで違いました。
- 規模:フォロワー約3,100人。ふだんの再生は約4,400回
- 当たった動画:8本すべてがクイズ・参加型。題材は仕事と関係のない娯楽で、問いかけで始まり、掛け合いで進む
- 投稿ペース:週2.6本ほど
- 規模:フォロワー約4,200人。ふだんの再生は約1.7万回
- 当たった動画:6本のうち4本がVlog・密着。社員1人が出る回が4本
- 投稿ペース:週0.9本ほど。動画の長さの中央値は50秒
出てくれる社員が1人しか見つからない会社には、いちばん近い形かもしれません。
- 規模:フォロワー約1.3万人。ふだんの再生は約1万回
- 当たった動画:6本のうち4本があるある寸劇で、その4本はどれも複数人の掛け合い
- 投稿ペース:週4本ほど
フォロワーが1万人を超えていたのは、6社の中でこの会社だけ。投稿も週4本ほどと、6社でいちばん多く出していました。
- 規模:フォロワー約1,400人。ふだんの再生は約4,600回
- 当たった動画:型はクイズ、インタビュー、説明、密着とばらけている。テーマは業務の知識・裏側が3本、待遇・求人が2本
- 投稿ペース:週1.5本ほど
6社を並べると、どれもフォロワーは1万人前後か、それより少ない会社でした。いちばん少ないのは不動産の約1,400人です。投稿ペースは月1〜2本から週4本ほどまでばらばら。当てていた型も、クイズが建設と美容、密着が物流と飲食、あるある寸劇が介護・医療、いくつもの型が不動産と、そろってはいません。検索上位の「◯選」には出てこない規模の会社が、それぞれ違うやり方で当てていました。
当たっている会社の多くは、得意な型にほかの型を混ぜていた
6つの事例は、1業種につき1社ずつです。もう少し広く、バズが5本以上あった39社の当たった動画265本を、AIの判定で中身ごとに分けてみると、型でいちばん多いのはクイズ・参加型で、4本に1本ほど(69本)。説明・告知がそれに続き、残りは密着やドッキリ、現場の紹介などに分かれます。
会社ごとに見ても、並びは大きく変わりません。39社それぞれで、当たった動画にいちばん多い型を1つ選ぶと、クイズ・参加型の会社が12社と、3社に1社ほどを占めました。テーマで同じように選ぶと、いちばん多いのは業務の知識・裏側の13社。ふだんの仕事で扱っている知識や、外からは見えない段取りを題材にした会社が、テーマではいちばん厚い層です。

じゃあ、うちもクイズに寄せればいいのか。そう考えたくなるところですが、ここでは2つの理由で、そこまでは言えません。
1つめは、この数が当たった動画の中だけの内訳だという点です。再生がいつもどおりだった動画にどの型が多かったかとは比べていないので、クイズが当たりやすい型かどうかは、ここからは分かりません。型の判定もAIによるもので、判定への自信が低い動画も含まれています。ふつうの動画と比べた結果は、TikTok企画の一覧にまとめています。
2つめのほうが、事例をまとめるうえでは役に立つかもしれません。当たっている会社は、1つの型だけで当てていたわけではありませんでした。
会社ごとに、いちばん多い型が当たった動画に占める割合を出すと、中央値は60%。当たった動画が5本あれば、3本は得意な型、残りの2本は別の型、という当て方が真ん中です。得意な型は6〜7割で、多くの会社は2つ以上の型で当てていました。バズが2本以上あった129社に広げても、型の種類数の中央値は2です。
型が1種類だけだった会社の数は、数え方で動きます。そのまま数えると39社中4社。判定への自信が低い動画を外し、当たった動画が3本以上残る会社で数え直すと32社中8社で、いちばん多い型の割合の中央値は67%になりました。少数派であることはどちらでも変わりませんが、「何社」とまでは言い切れない数です。
3章の事例で言えば、美容の会社は8本すべてがクイズで、1種類だけの側に入ります。建設の会社は9本のうち7本がクイズで、残りの2本は別の型。不動産の会社は、型がばらけていました。
誰が出ているかも見ておくと、社内で出演をお願いする相手を考えるときの材料になります。265本の6割近く(154本)は複数人の掛け合いで、社員1人の動画がそれに続きます。3章の飲食の会社のように、1人で当てている例もありました。
クイズの組み立て方はTikTokのクイズ動画で、業務の知識や裏側を社内で掘る方法はTikTokのネタ探しで扱っています。
TikTok企業アカウントの一覧は、人気の名前より同業の「ふつうの数字」で
「TikTok 企業アカウント 一覧」や「人気」で調べると、フォロワー数のランキングや、有名なアカウントの名前を並べたページが出てきます。資料に名前を並べたくなる気持ちも、よく分かります。
先に244社のデータで答えると、業種が分かった会社の中でいちばん多いのは建設・職人の79社で、物流・運送の31社が続きます。ランキングに並ぶ何十万人のアカウントより、ずっと手の届く規模の会社が、244社の大半を占めています。
まとめを見せれば、会社の名前を聞かれることもあるはずです。この記事で名前を出していないのには、2つ理由があります。1つは、ほかの会社のアカウントを名指しで評価する形になってしまうこと。もう1つは、フォロワーや再生の数字が、時間がたつとすぐに古くなることです。検索上位の事例集に数年前の数字がそのまま残っていたのも、その表れと言えます。名前を自分で探したいときの手順は、よくある質問のQ2に書いています。
代わりにこの記事で一覧にしたのは、業種ごとの「ふつうの数字」です。同じ業種の会社が、ふだんどれくらい見られていて、何割の会社にバズがあったのか。まずは自社の業種の行と、いちばん下の244社全体の行を見比べてみてください。
| 業種の目安 | 社数 | フォロワー中央値 | ふだんの再生の中央値 | バズが1本以上あった会社 | バズ率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 建設・職人 | 79社 | 2,769人 | 5,504回 | 70% | 7.8% |
| 物流・運送 | 31社 | 3,478人 | 6,467回 | 81% | 7.3% |
| 製造・工場 | 7社 | 4,670人 | 1.18万回 | 71%(5社) | 5.2% |
| 不動産 | 7社 | 2,129人 | 1.18万回 | 86%(6社) | 11.0% |
| 飲食 | 6社 | 4,970人 | 8,007回 | 67%(4社) | 9.6% |
| 介護・医療 | 5社 | 8,747人 | 4,560回 | 60%(3社) | 8.3% |
| 判定できない | 104社 | 4,437人 | 6,525回 | 71% | 8.3% |
| 244社全体 | 244社 | 3,692人 | 5,744回 | 72% | 8.1% |
BEEM調べ(244社・2026年10月8日取得)。業種は投稿文の言葉から推し量った目安です。バズ率は、その業種の会社の動画のうち、バズの線を越えた動画の割合。廃棄物・清掃(3社)と美容(2社)は社数が少ないので表に入れていません。
表の1行目、建設・職人の79社は、フォロワーが2,769人と全体より少なめです。それでも、10社に7社にはバズがありました。物流・運送の31社では、5社に4社ほどにバズがあります。
社数の多いこの2業種は、当たった動画の中身まで業種ごとに見ておきます。
建設・職人でバズのあった55社の当たった動画176本では、型のいちばん多いのが現場・作業紹介(31本)でした。テーマは業務の知識・裏側が3本に1本を超えます。3章のカードの建設の会社はクイズで当てていましたが、業種全体の当たった動画を数えると、現場や作業そのものを見せる動画のほうが多く入っていました。
物流・運送の25社・67本でも、型の1位は現場・作業紹介(22本)で、テーマは業務の知識・裏側が6割を超えます。3章の物流の会社が密着と現場の紹介で当てていたのも、この並びの中にあります。
フォロワー数千人の小さいアカウントの当たり方(中小企業のTikTok)
事例を上司に見せると、「その会社はうちより大きいんだろう」と返ってくるかもしれません。3章の6社はどれもフォロワー1万人前後までの会社でしたが、自社がまだ千人台なら、もう一段小さい会社の様子も手元に置いておくと話が早くなります。
244社の中でいちばん小さい区分、フォロワー1千〜3千人の会社は97社ありました。このうちバズがあったのは62社(64%)。244社全体の72%より少し低いものの、3社に2社ほどの会社が、1章の線を越えた動画を持っていました。再生が10万回を超えた動画まで出していたのは27社です。
各社でいちばん再生された1本を並べると、1千〜3千人の97社の真ん中は5.3万回で、244社全体の9.9万回のおよそ半分です。大当たりの大きさでは、小さい区分のほうが控えめなのは確かです。
244社のうち178社(73%)、4社に3社ほどはフォロワー1万人未満のアカウントです。社員数の情報が無いので「中小企業かどうか」までは分かりませんが、中小企業のTikTokと比べる相手としては、まずこの178社が近い位置にいます。
フォロワーの規模ごとの、ふだんの再生やバズ率の違いは、姉妹記事「TikTok企業アカウント」で表にしています。
上司に出す「成功事例のまとめ」は4つの段で組む
材料がそろったので、まとめの形にしてみます。次の4つの段を上から順に並べると、「うちとは違うでしょ」と返されにくい資料になります。
- 物差し:1章のバズの本数で、当たっている会社を選んだこと(244社のうち5本以上は39社)
- 同じ業種のふつう:5章の一覧から、自社の業種の行と244社全体の行
- 同じ業種・同じくらいの規模の事例:3章のカードから自社の業種の1社。あわせて、当たっている会社の多くは得意な型が当たった動画の6〜7割で、残りは別の型だったこと(4章)
- 自社の今の位置:自社の投稿に、同じ物差しを当てた結果
4つめの段だけは、自社のアカウントの数字から作ります。手順はこうです。
- 直近の投稿を約30本、再生数の多い順に並べる(30本なら15〜16番目あたりが真ん中)
- 真ん中の1本の再生数が、自社の「ふだんの再生」。その5倍と3万回の、高いほうが自社のバズの線
- 線を越えた動画を数える。0本なら244社の68社と、5本以上なら39社と同じ側
- 越えた動画が、どの型(クイズ、密着、あるある寸劇など)だったかを書き添える
再生数の一覧はTikTok Studioから拾えます。どの画面を見ればいいかは、TikTokインサイトの見方にまとめています。
「で、うちは成功してるの?」と聞かれたら、3つめで数えた本数が、そのまま答えになります。0本だったとしても、244社の3割近くが同じ位置にいます。そこから、ふだんの再生が近い同業の事例を横に置いて、次の1か月で何を試すかを話す。まとめの最後の1行は、それで十分です。
上司が大手の事例を持ってきたときも、この物差しが使えます。その会社の最近の投稿にも同じ線を引いて、何本越えているかを数えてみる。フォロワーが何十万人もいるアカウントは、ふだんの再生が大きいぶん線も高くなるので、自社と同じやり方で比べられます。
事例と並べて、「こう見られるのは避けたい」という例も添えておきたい場合は、姉妹記事「痛い・つまらないと言われる企業TikTok」が材料になるはずです。
244社の集め方と、事例を読むときの限界
数字の入ったまとめを出すと、出どころを聞き返されることがあります。聞き返されやすい点を、ここにまとめて置いておきます。
数えた会社と、数字を取った日
対象は244社。フォロワー1,000人を超える日本の企業TikTokアカウントを、BEEMが独自に集めたものです。内訳は、会社の名前を掲げた公式アカウントが215社。残る29社は、社長や社員が自分の名前で出ながら会社の話をしているアカウントです。個人のクリエイターや海外の会社は数に入れていません。再生数を取ったのは2026年10月8日で、1社につき直近約30本、244社で6,943本になります。数字はその日までの累計で、取得の数日前に出た動画は、その後も伸びている可能性があります。244社には社員数の情報が無いため、6章では会社の規模の代わりに、フォロワーの規模で区切りました。
数に入っていない会社
フォロワー1,000人に届く前に終わった会社は、入っていません。表やカードに出てくるのは、どれも1,000人の壁を越えたアカウントです。始めてまもなく投稿をやめた会社や、続けても1,000人に届かなかった会社は、はじめから数の外にいます。そのぶん、244社の数字は「TikTokを始めた会社全体」より明るめに出ている可能性があります。見ているのも最近の30本ほどだけなので、各社がそこまでにどんな道のりをたどったかは分かりません。
1社の当たりと、244社の傾向
3章のカードの会社は、どれも6〜9本が線を越えていて、1本だけの大当たりで選んだわけではありません。それでも、同じ業種のほかの会社が同じ撮り方をして、同じ本数を当てられる保証にはなりません。
この記事の比べ方は、どれも別々の会社を横に並べたものでもあります。ある会社が型だけを入れ替えて、当たりの本数がどう変わったかを確かめたわけではありません。型を入れ替えると、動画の長さや題材、出演する人まで一緒に動きます。数字から読めるのは「当たっている会社に、こういう動画が多かった」までで、「クイズにすれば当たる」「週◯本出せば当たる」とは言えません。物差しの側にも偏りがあり、ふだんの再生が少ない会社ほど3万回の条件に先に引っかかるので、同じくらい伸びた動画でも当たりに数えられにくくなっています(2章)。
動画の中身の判定と、業種の分け方
4章と5章の型・テーマ・出演者は、人が1本ずつ見て分けたのではなく、AIが文字起こしと映像から分類したものです。分類にかけたのは860本で、当たった動画560本(176社)に、再生がその会社のふだんの0.5〜1.5倍に収まった動画から無作為に選んだ300本(141社)を加えています。AIは1本ごとに判定の確信度も返していて、高が135本、中が387本、低が338本。4割近くは、AI自身が判定に迷った動画です。4章と5章では、この「低」も含めたまま、当たった動画の側だけを数えています。同じ作りの動画をAIが別々の型に振り分けていれば、そのぶん型はばらけて見えます。4章で、型が1種類だけの会社の数に自信の低い判定を外した数え直しを並べたのは、このためです。型の名前は大づかみの目安と考え、「この会社はこの型」と1つに決めつけない読み方をおすすめします。
業種のほうは、投稿文に出てくる言葉から推し量った目安です。言葉の上で判断しているため、本業とは違う業種に振り分けられた会社が残っていることもありえます。言葉から決めきれなかった会社は104社。製造・工場と不動産は7社、飲食は6社、介護・医療は5社、美容は2社と少なく、1社違うだけで割合が大きく動きます。5章で建設と物流のほかは当たった動画の内訳を出していないのも、このためです。当たった動画のある会社が2〜6社しかなく、数本の違いで並びが入れ替わります。たとえば美容は2社だけで、当たった動画13本のうちクイズ・参加型の8本は、3章のカードの1社の8本そのものでした。
TikTok企業アカウントの成功事例についてよくある質問
この記事では、フォロワーの人数で線を引いていません。2章で見たとおり、バズの多い会社のフォロワーは、244社全体とほとんど変わりませんでした。人数で区切るより、1章の物差しでバズの本数を見るほうが、今のやり方がうまくいっているかを確かめやすくなります。数え方は7章の手順のとおりです。
TikTokの検索で「建設」「運送」のように自社の業種の言葉を入れると、同じ業種の会社のアカウントが見つかります。見つけたら、7章の手順をその会社の投稿にも当てて、線を越えた本数を数えてみてください。この記事の事例と同じ物差しで並べられます。フォロワーの多さで選ぶと、ふだんの再生が自社とかけ離れた会社になりがちなので、ふだんの再生が近い会社を選ぶほうが比べやすくなります。
分けて考えたほうが安全です。検索上位の事例集には、アカウントの運用ではなく広告で話題になった事例も混じっていました。この記事の244社のデータは、各社のアカウントに投稿された動画の再生数で、広告の費用や配信の成果は入っていません。事例を集めるときも、広告の事例とアカウント運用の事例は分けて並べておくと、誤解が起きにくくなります。
244社のうち、建設・職人は79社、物流・運送は31社。業種が分かった会社の中では、この2つがいちばん多い業種です。バズが1本以上あった会社の割合は、建設・職人が70%、物流・運送が81%。3章のカードにも、建設と物流の会社が1社ずつ入っています。どちらの業種も、当たった動画には現場・作業紹介の型と、業務の知識・裏側のテーマが多く含まれていました(5章)。
このデータでは、そういう姿にはなっていませんでした。バズの本数で分けた3つのグループの投稿ペースは、どれも週1本前後(2章の表)。3章の6社も、月1〜2本の会社から週4本ほどの会社まで幅があります。当たっている会社ほど多く出している、という傾向は見えません。
応募や採用の数は、このデータには入っていないため、採用につながったかどうかは分かりません。分かるのは中身のほうです。当たっている39社の当たった動画265本のうち、求人を目的にした動画は31本ありました。会社ごとに見ると、待遇・求人のテーマがいちばん多い会社は4社。3章の不動産の会社も、当たった動画のうち2本が待遇・求人のテーマでした。求人をどう動画で伝えるかは、TikTokの採用動画の記事にまとめています。
まとめ:上司に出すのは、名前の一覧より「同じ物差しで測った事例」
- 成功の物差しはバズの本数。244社のうち5本以上は39社、0本は68社
- バズの多い会社は、フォロワーの多い会社ではなかった。分かれていたのは、ふだんの再生のほう
- 業種ごとにバズの多かった6社は、どれもフォロワー1万人前後まで。当てていた型も投稿ペースもばらばら
- 当たっている会社の多くは、得意な型(当たった動画の6〜7割)に別の型を混ぜていた
- 一覧は名前ではなく、業種ごとのふつうの数字で。フォロワー1千〜3千人の97社でも、62社にバズがあった
- 最後に、自社にも同じ物差しを当てて今の位置を書く(調べ方と限界は8章)
大手の「◯選」を並べたまとめと、同じ物差しで測った同業の事例を並べたまとめ。上司が「うちでもやれそうだ」と思えるのは、たぶん後者です。自社の投稿に線を引き、何本越えていたか、越えた動画がどの型だったかまで書けていれば、話は「うちとは違う」からではなく、「同じ物差しで見ると、うちはここ」から始められます。
線を引き終えたら、手元に残る作業は2つです。同じ業種でふだんの再生が近い会社を何社か選び、同じ物差しで数え直すこと。自社の本数を月が替わるたびに数え、横に並べていくこと。何か月分か並んでくれば、報告の中心を、他社の事例から自社の本数の動きへ少しずつ移していけるかもしれません。比べる相手をどう選ぶか、毎月の数え方をどう決めるかで迷ったら、BEEMのTikTok運用代行の窓口で相談を受け付けています。
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- 痛い・つまらないと言われる企業TikTok
この記事の監修者

豊田優人(とよだ・ゆうと)|株式会社BEEM 代表取締役
フォロワー約47万人の会社アカウント(@beem_official)を運用。公開中の607本で累計4.61億回再生、100万再生を超えた動画は137本(2026年10月13日時点)。株式会社BEEMは、企業のTikTok運用代行・広告運用・採用支援を提供している。