TikTokの炎上事例を、報道で確かめた9件で整理|企業アカウントで起きた型と、撮影のどこで起きやすいか・起きたときの初動

TikTokの炎上事例 報道で確かめた9件の型と対策

最終更新日:2026年10月21日
執筆:BeeMedia編集部(株式会社BEEM)/監修:豊田優人(株式会社BEEM 代表取締役)

他社の炎上事例を、自社の注意点に落とし込みたい方へ
  • 社長や上長から「TikTokで炎上したらどうするの?」と聞かれ、他社の事例をまとめる役が回ってきた方
  • 炎上事例の記事を何本読んでも、自社の動画のどこが危ないのかが見えてこなかった方
  • 会社のTikTokを始める・続けることを承認する立場で、止め方と線引きを先に知っておきたい方
9件は、どこで起き、何が問われ、どう動いたか
  • 会社・団体の公式アカウントでの炎上として報道で確かめられたのは4件。残りは、従業員の私的な投稿が2件、広告が2件、TikTokの運営会社自身の宣伝手法が1件です
  • 問題視された中身は、従業員の晒し、外見・年齢・性別や職業への配慮を欠いた表現、安全や衛生を扱う仕事での悪ふざけ、利用者の写り込み、広告表記のない宣伝、確認していないAI生成の広告
  • 公式アカウントの4件のうち2件は、動画の制作を外部に委託していました
  • 謝罪した公式アカウントの3件では、「非公開・削除」「公式の場での経緯の説明と謝罪」「事前確認の見直し」の3つがそろって出てきます(順番は件によって違います)。投稿の翌日に非公開にしたのに、約10日後に別のSNSで広まった例もあります

撮り終えた動画を、担当者がスマホごと差し出して「これ、出して大丈夫ですよね?」と聞いてくる。会社のTikTokを承認する側に回ると、たとえばこんな場面で手が止まることがあります。何を見れば「いいよ」と言えるのか、まだ決めていないからです。

担当する側も、実は同じところで止まっています。社長から「TikTokで炎上したらどうするの?他社の炎上事例を調べて、うちが気をつけることをまとめて」と言われて検索しても、出てくるのは新入社員のダンス、受水槽、ゲームの広告、店員の悪ふざけと、どの記事にもある話ばかり。いつ、どんな会社で起きたのかが書かれていないので、目の前の1本のどこを見ればいいのかまではつながりません。

BeeMedia編集部でそうした話の出どころを報道でたどってみると、時期と会社まで確かめられたのは受水槽の1件だけでした。それも会社の公式アカウントの動画ではなく、工事を請けた会社の従業員が撮ったものです。

そこでこの記事は、報道と当事者の謝罪文で確かめられた9件(ほかに参考1件)から出発し、それを動画ができるまでの工程に置き直しています。企画・撮影・編集・公開前の確認のどこに、同じ型が入り込みやすいのか。入り込んでしまったとき、各社は何から手をつけたのか。冒頭の「出して大丈夫ですよね?」に、何を見て答えればいいのかまで行き着けるように並べました。

TikTokの炎上事例:報道と謝罪文で確かめた9件の一覧

ここに並べたのは、2026年10月21日に、新聞・通信社・ネットメディアの署名記事か、当事者の謝罪文や判決を報じた記事でたどれたものです。まとめサイトや炎上の解説記事にしか出てこない話は外しました。会社や団体、アカウントの名前と所在地は伏せ、業種と時期、何が問題にされたか、その後どう動いたかだけを書いています。

No. 時期 業種と、誰のアカウントか 何が問題視されたか(型) その後の対応
1 2022年〜(提訴2022年9月、2024年3月に判決確定) 内装会社の公式アカウント。社長が出演・投稿 社員の謝罪の場面を笑いものにする動画と、出社しなくなった社員の顔写真を出して情報を求める動画(従業員の晒し) 裁判で名誉毀損と認められ、動画の削除と22万円の支払いを命じられた。会社も連帯して責任を負う形※1
2 2019年7月〜2021年12月(報道は2022年1月) TikTokの運営会社 Twitterのインフルエンサー延べ20人に対価を払って人気動画を転載してもらい、「#PR」などの表記がなかった(ステマ) 公式サイトで謝罪。管理体制・社内ルール・透明性の改善を表明※2※3
3 2022年10月〜2023年6月に25本(謝罪会見は2023年9月) 市の公式アカウント。首長が出演し、制作は外部に委託 女性蔑視・セクハラだという批判。のちに第三者委員会が、見た目を重んじる表現や年齢にからむハラスメント、回を追うごとのエスカレートを指摘(差別・ハラスメント) 首長の謝罪会見のあとアカウントを終了し、最後の動画でも謝罪。第三者委員会を設置※4※5
4 2023年7月 医療系専門学校(理学療法士の養成)の公式アカウント。制作は外部に委託 実習中の学生や看護師について、立場への配慮を欠いた発言(不適切発言) 公式サイトとTikTokで謝罪し、動画を削除。台本と公開前の確認のしかたを見直し※6
5 2026年6月 鉄道の電気設備を保守する電気工事会社の公式アカウント 電車の架線のような柱の上で作業員5人が踊る19秒の動画(安全軽視に見える悪ふざけ) 投稿の翌日に非公開。約10日後に別のSNSで広まり、公式サイトで経緯を説明して謝罪※7
6 2018年9月の撮影(報道は2019年6月) マンションの受水槽の工事を請けた水道設備会社の従業員(会社の公式アカウントではない) 点検・清掃中に、下着姿で飲み水の受水槽に入って泳ぐ動画(衛生・悪ふざけ) マンションの管理会社が住民に飲み水を配り、水を抜いて清掃※8
7 2026年10月 病院の看護師ら3人の個人のSNS(TikTokかどうかは不明) 勤務中に入院患者を無断で撮り、身体の特徴などをからかう字幕を付けた(利用者の写り込みと揶揄) 病院が公式サイトで謝罪。3人を出勤停止にし、動画を削除させた※9※10
8 2026年9月 海外のゲーム開発会社の、公式名義のTikTok広告 会社が確認していないAI生成の画像広告が、公式の名前で配信された(AIの自動生成広告) その広告を止めて謝罪※11
9 2026年2月 海外のゲームパブリッシャーのTikTok広告 無断で配信されたAI広告で主人公の公式アートが大きく変えられ、黒人女性へのステレオタイプを助長すると批判された(AIの自動生成広告・差別的な表現) 報道には、TikTok側の説明は載っていない※11
参考 2024年2月 外食チェーンのアルバイト従業員(TikTokではなくXで拡散) 閉店後の厨房で、廃棄予定のホイップクリームを直接口に入れる動画(衛生) 運営会社が謝罪。マニュアルと誓約書で投稿を禁じていたと説明し、事実確認のうえで厳正に対処するとした※12

出典は記事末の※1〜※12(いずれも報道機関の記事)。参考の1件はTikTokではなくXで広がったものですが、同じ型なので並べました。

型で読む:何が問題視されたのか

9件を、何が問題視されたかで分けると次のようになります。1件に型が2つ重なるものもあります。

  • 外見・年齢・性別や職業への配慮を欠いた表現:3件(No.3・4・9)
  • 安全軽視に見える悪ふざけ:2件(No.5・6)
  • 確認していないAI生成の広告:2件(No.8・9)
  • 従業員の晒し:1件(No.1)
  • 衛生:1件(No.6。参考の1件も同じ型)
  • 利用者の写り込み:1件(No.7)
  • 広告表記のない宣伝(ステマ):1件(No.2)

見てほしいのは件数より中身のほうです。自社の動画に置き換えやすいように、近い型をまとめて読んでいきます。

社員や利用者が「笑いの的」になった(No.1・7)

No.1は、内装会社の社長が会社のアカウントで、社員の謝罪の場面を笑いものにした動画です。その社員が出社しなくなったあとには、顔写真を出して情報を求める動画まで投稿されています。一部は80万回以上の再生。裁判では名誉毀損と認められ、判決は2024年3月に確定しました。

No.7は会社のアカウントではなく、病院の看護師らが個人で投稿したものです。勤務中に入院患者を無断で撮り、からかう字幕を付けていました。

どちらも、映っている人が笑いのネタにされることを望んでいなかった、という点で重なります。社員いじりや、お客さまが映る職場の風景を撮っている会社なら、いちばん身近な型です。

見た目・年齢・性別や職業への配慮を欠いた(No.3・4・9)

No.3は、市の公式アカウントで首長が出演した動画のシリーズです。女性蔑視・セクハラだと批判され、のちに第三者委員会は、職員の見た目を重んじるような表現、年齢にからむハラスメント、からかう意図、そして回を追うごとに表現がエスカレートしていったことを指摘しました。

No.4は医療系専門学校の公式アカウントで、実習中の学生を人権がないかのように表した発言や、看護師への一方的な恋愛感情を思わせる発言が問題視されました。No.9は海外の広告の件ですが、AIが作り変えた画像が、特定の人種と性別へのステレオタイプを助長すると批判されています。

台本を書くときは、誰かの属性や仕事を、からかいや決めつけの材料にしていないかを見直す価値があります。No.3が「回を追うごとに」と指摘されている点も、シリーズで撮っている会社には気になるところです。

安全や衛生を扱う仕事で、ふざけて見えた(No.5・6・参考)

No.5の電気工事会社は、作業風景をふだんから投稿していました。批判が集まったのは、電車の架線のような柱の上で作業員5人が踊る19秒の1本です。安全を扱う会社の発信として不適切だ、AIで作った動画ではないか、という声が出た一方で、擁護する声もありました。

会社は公式サイトで、撮影したのは敷地内の訓練設備で電気は流しておらず、墜落を防ぐ器具を着け、管理者が立ち会った社内の企画だったと説明しています。それでも、見る人への配慮が足りなかったとして謝罪しました。現場で安全を守っていても、画面の上では危なく見えることがある、という例です。

No.6の受水槽や参考の1件は、飲み水や食べ物という、衛生がそのまま信用につながるものを粗末に扱う動画でした。電気工事や水道設備、飲食のように、安全や衛生が仕事の中身そのものになっている会社では、悪ふざけの1本が仕事への信頼に響きやすいと考えておくと判断しやすくなります。

広告だと分からなかった、確認していない広告が出た(No.2・8・9)

No.2は、TikTokの運営会社自身の宣伝手法です。Twitterのインフルエンサーに対価を払って人気動画を転載してもらい、広告の表記を付けていませんでした。運営会社は、宣伝ではなくコンテンツを知ってもらう活動だと考えて表記は要らないと判断していたものの、誤解と不信を招いたと認めて謝罪しています。

No.8とNo.9は2026年に報じられた、新しい型です。No.8では、会社はトレイラーを素材として指定しただけで、AIが作った画像広告が会社の確認なしに公式の名前で配信されました。会社はTikTok側の仕組みの変更で自動生成されたと説明し、広告を止めて謝罪しています。No.9の会社も、そうしたAI機能をオンにした覚えはないとしていました。

インフルエンサーや社員にお金を払って投稿してもらうことがある会社、TikTok広告を出している会社は、動画の中身とは別に、この型も確認の対象に入ります。

公式アカウントか、社員の私的な投稿か、広告か:持ち場が違う

検索上位の炎上記事は、公式アカウントの炎上も、従業員が個人で撮った動画も、同じ「企業の炎上事例」として並べています。けれど、誰のアカウントで起きたかによって、会社が先に手を打てる場所は変わります。9件を分けると、公式アカウントが4件(No.1・3・4・5)、従業員の私的な投稿が2件(No.6・7)、広告が2件(No.8・9)、運営会社の宣伝手法が1件(No.2)です。

公式アカウント:社長が投稿した動画でも、会社の責任が問われた

No.1で動画に出て投稿していたのは社長でしたが、会社のアカウントで投稿されていたことから、判決は会社にも連帯して責任を認めたと報じられています(会社法の規定にもとづく判断とされています)。社長個人の言動であっても、会社のアカウントから出た時点で、会社の発信として見られる。少なくともそう考えて準備しておくほうが安全です。

外部に委託していても、確認の持ち場は自社に残る

制作会社に頼んでいるのだから中身はプロが見てくれている、という安心は、公式アカウントの4件には通じませんでした。4件のうちNo.3とNo.4は、動画の制作を外部に委託していたからです。No.3の制作費は240万円で、2022年10月から2023年6月までに25本が投稿されています。

No.3の第三者委員会は、委託契約に市のSNSの運用方針に沿った内容が入っていなかったこと、動画の内容を決めるときに文書での決裁がなかったことを指摘しました。No.4の学校は、外部委託によって医療職への理解と配慮が足りなかったと説明し、再発防止として、台本の段階で医療従事者が目を通し、公開前に複数の人で確認するとしています。

外に頼む場合でも、台本と完成した動画を、その仕事をよく知る自社の人が見て、出してよいと決めた記録を残す。No.4の学校が再発防止に挙げた中身も、No.3の第三者委員会が足りなかったと指摘した点も、この確認の手順にかかわるものでした。

従業員の私的な投稿:公式アカウントを持っていなくても起きる

No.6とNo.7は、会社のアカウントとは関係のない、従業員個人の投稿です。それでもNo.7では病院が公式サイトで謝罪し、No.6では受水槽のあるマンションの管理会社が、住民に飲み水を配り、水を抜いて清掃しています。参考の外食チェーンも、マニュアルと誓約書で投稿を禁じていたと説明していました。決まりを作っていた会社でも、起きるときは起きています。

会社のTikTokを始めるかどうかとは別に、勤務中の撮影や、職場・お客さま・患者さんが映る投稿についての決まりが社内にあるかは、この機会に見直しておきたいところです。

広告:素材を渡しただけでも、名義は自社になる

No.8では、配信前の確認や承認の手順がないまま、AIの作った広告が会社の名前で出ていました。TikTok広告を出している、またはこれから出す会社なら、広告の管理画面にある、素材から自動で広告を作る機能の設定が、見ておくべき場所になります。広告の仕組みそのものはTikTok広告とはの記事で扱っています。

自社の撮影と投稿のどこで起きやすいか:工程ごとの確認表

ここまでの事例を、動画ができるまでの工程に置き直したのが下の表です。「確かめること」を自社の言葉に直し、行ごとに見る人の名前を書き足しておくと、そのまま社内の決まりの下書きになります。

工程 確かめること 関わる事例
企画・台本 社員・お客さま・特定の職業や属性(見た目・年齢・性別)を、からかいや決めつけの対象にしていないか。シリーズの回を重ねるうちに、表現が強くなっていないか No.1・3・4
企画・台本(外部に委託するとき) 委託契約に自社のSNSの決まりが入っているか。台本を、その仕事をよく知る自社の人が読んでいるか No.3・4
撮影現場 安全装備や手順を守っていても、画面の上で危なく見えないか。飲み水や食品など、衛生が信用に直結するものの近くでふざけていないか No.5・6・参考
撮影現場 撮ってよいと了承を取っていないお客さま・患者さん・利用者が映っていないか No.7
編集・字幕 字幕や効果音で、映っている人をからかう意味が足されていないか No.7
公開前の確認 内容を決めた人と、出してよいと決めた人が記録に残っているか。1人ではなく複数の人が見ているか No.3・4・5
人に投稿を頼むとき インフルエンサーや社員にお金を払って投稿してもらう場合、広告である表記を自社の判断だけで省いていないか No.2
広告の設定 渡した素材から自動で作られた広告が、確認なしに配信される設定になっていないか No.8・9
公開後・従業員の私的な投稿 勤務中の撮影や、職場・お客さまが映る個人の投稿について、社内の決まりがあるか No.6・7・参考

BeeMedia編集部が、1章の事例(※1〜※12)を工程ごとに並べ直したものです。この表の項目を守れば炎上しない、という意味ではありません。

9行すべてを一度に整えるのは大変なので、自社が実際に通る工程から順に見ていけば十分です。広告を出していなければ広告の行は後回しでかまいませんし、制作を外に頼んでいなければ2行目は飛ばせます。逆に、公開前の確認の行は、どの会社でも通る工程です。

出演する社員の同意や、退職後の動画の扱いといった細かな決めごとは、この表には入れていません。投稿前に決めておく4つ(条件の照合・出演の同意・コメントへの対応・非公開を決める人)はTikTok採用のデメリットの記事に、同意の取り方はTikTokの採用動画の記事にまとめています。

炎上が起きたときの初動:各社が動いた順番

公式アカウントの4件は、対応の順番がほぼそろっていました(No.1は、裁判で削除が命じられた形です)。

  1. 動画を非公開にする、または削除する
  2. 公式サイトで、何があったのかの経緯を説明して謝罪する
  3. 事前の確認のしかたや社内の決まりを見直し、再発防止を示す

「とりあえず消してしまえば、終わりでしょう?」

No.5の電気工事会社は、投稿の翌日に動画を非公開にしていました。批判が集まったのは、その10日ほどあとです。

2026年6月13日
作業員が設備の上で踊る19秒の動画を、公式アカウントに投稿

作業風景をふだんから投稿していたアカウントの1本です。

6月14日
投稿の翌日に、動画を非公開にする

この時点で、動画はアカウント上からは見えなくなりました。

6月24日ごろ
別のSNS(X)で動画が広まり、批判が集まる

非公開にしてから約10日後のことです。

6月25日
公式サイトで経緯を説明し、謝罪する

撮影の条件(訓練設備・電気は流していない・器具の着用・管理者の立ち会い)を説明し、事前確認の体制の見直しと社内ルールの整備を表明しました。使った楽曲は、TikTokで使えるものから選んでいたとも説明しています。

非公開にしても、それまでに誰かが画面を録画していれば、別の場所で広がることがあります。消したあとに説明を求められる日が来るかもしれないと考えて、非公開にした時点で、撮影の条件や経緯をメモに残しておくと、公式サイトでの説明がぶれにくくなります。

各社の説明文を並べてみると、書かれていた中身には共通点があります。何を、どこで、どんな条件で撮ったのかという事実。どこに配慮が足りなかったのかという判断。そして、次から何を変えるのか。No.2の運営会社は、表記が要らないと考えていた当時の判断まで書いたうえで、それが誤解を招いたと認めています。

再発防止として挙げられた中身は、次の3つでした。

  • 台本の段階で、その分野の専門職が目を通し、公開前に複数の人で確認する(No.4)
  • 事前に確認する体制を見直し、社内ルールを整える(No.5)
  • 委託契約にSNSの運用方針を入れ、内容を決めるときは文書で決裁する(No.3の第三者委員会の指摘)

TikTokのアプリで動画を非公開・削除にする操作やコメントを制限する操作、広告を自動で作る機能の設定、会社のアカウントで使える楽曲の範囲は、画面や説明の変更が多いため、この記事では載せていません。広告の表示や会社の責任についての法律の解釈も同じです。実際に判断するときは、TikTokの公式ヘルプの最新の説明や、弁護士などの専門家に確かめてください。誰が非公開を決めるのか、休日に連絡がつくのかといった、操作の前に決めておくことはTikTok採用のデメリットの記事で扱っています。

炎上がこわくて何も出せない、にならないための線引き

9件を続けて読んだあとで、担当者が持ってきた作業風景の動画を前にすると、いっそ現場も社員の顔も出さないほうが安全なのでは、と考えるのは無理もないことです。けれどNo.5のアカウントは、作業風景をふだんから投稿していました。批判の的になったのは、柱の上で踊った1本です。作業風景を出すことそのものが問題視されたわけではありません。

ここで分けておきたいのが、「批判が集まった型」と、「好みが分かれるだけの中身」です。たとえばマイナビが2026年3月卒業予定の学生1,131人に聞いた調査(2024年12月)では、TikTokのダンス動画のように仕事との関わりが薄く、ふざけた印象の動画は、マイナスイメージにつながるという意見が多かったと報じられています※13。ただ、これは見る人の印象の話で、1章の9件のように中身そのものが問題視されたものとは、重さが違います。

9件を編集部で整理すると、批判が集まった動画や広告には、次のどれかが当てはまっていました。撮影の前と公開の前に、この4つを問いとして当ててみてください。

公開前に当てる4つの問い
  1. この動画や広告で、映っている社員・お客さま・特定の職業や属性の人が、からかいや決めつけの対象になっていないか(No.1・3・4・7・9)
  2. 安全や衛生を扱う自社の仕事の信頼を、自分たちで崩して見えないか(No.5・6)
  3. 見る人にとって、広告かどうかが隠れていないか(No.2)
  4. 出す前に、自社の誰かが見て、出してよいと決めたか(No.3・4・8・9)

4つとも当てはまらないのに「ちょっと恥ずかしい」「会社っぽくない」と感じる回は、炎上の心配というより、好みや見せ方の問題であることが多いはずです。そうした回まで止めてしまうと、何も出せなくなります。どのくらいのペースで何を出していくかは、TikTok企業アカウントの始め方と、他社の「ふつう」の数字の記事が参考になります。

承認する立場の方にとっては、「炎上しない動画か」を毎回見極めるより、「4つの問いを誰が当てたか」を見るほうが、続けやすい仕組みになります。

TikTokの炎上と企業の対策について、よくある質問

まずは、公開前の確認を「誰が、何を見て、出してよいと決めたか」が残る形にすることです。9件の中で挙がった再発防止の中身も、台本の段階のレビュー、公開前の複数人での確認、文書での決裁と、どれも公開前の工程の話でした。そのうえで、4章の確認表のうち、自社が通る工程の行から整えていくと進めやすくなります。

削除や非公開は、各社がとった初動の1つ目にすぎません。電気工事会社の件(No.5)は、投稿の翌日に非公開にしたあと、約10日後に別のSNSで動画が広まり、公式サイトでの説明と謝罪に進んでいます。消した時点で、撮影の条件や経緯を記録しておくことをおすすめします。

委託していた2件(No.3・4)で謝罪したのは、どちらも発信した側でした。学校(No.4)は動画を削除して謝罪し、再発防止として、台本の段階で医療従事者が目を通すことと、公開前に複数の人で確認することを挙げています。自治体(No.3)は首長の謝罪会見のあとアカウントを終了し、第三者委員会を置きました。その委員会が、委託契約に市のSNSの運用方針に沿った内容が無かったことと、内容を決めるときに文書での決裁が無かったことを指摘しています。契約上の責任の分け方は、契約の中身と専門家の判断によります。

法的な責任は個別の事情によるので、弁護士などの専門家に確かめてください。そのうえで9件の中では、従業員の個人の投稿でも、病院が公式サイトで謝罪して当事者を出勤停止にしたり(No.7)、マンションの管理会社が飲み水の配布と清掃をしたり(No.6)と、勤め先や関係する会社が対応に追われています。勤務中の撮影や職場が映る投稿の決まりが社内にあるかどうかが、先に手を打てる場所です。

あります。No.8とNo.9は、どちらもTikTok広告で起きたものです。No.8では、会社がトレイラーを素材に指定しただけで、AIが作った画像広告が確認なしに公式の名前で配信されました。広告の管理画面で、素材から自動で広告を作る機能がどう設定されているかを見ておくと、同じ型は防ぎやすくなります。

まとめ:次に出す1本を、確認表の工程に沿って見直す

9件から、自社の確認へ持ち帰る5点
  • 報道と謝罪文で確かめたTikTokまわりの炎上は9件(2019〜2026年の報道)。公式アカウント4件、従業員の私的な投稿2件、広告2件、運営会社の宣伝手法1件
  • 型は、従業員の晒し、外見・年齢・性別や職業への配慮を欠いた表現、安全や衛生を扱う仕事での悪ふざけ、利用者の写り込み、ステマ、確認していないAI生成の広告
  • 公式アカウントの4件のうち2件は外部に委託していた。外に頼んでも、台本と完成した動画を自社で見て、出してよいと決めた記録を残す
  • 謝罪した公式アカウントの3件では、非公開・削除、経緯の説明と謝罪、事前確認の見直しがそろって出てくる(順番は件によって違う)。非公開の約10日後に別のSNSで広まった例がある
  • 批判が集まった型と、好みが分かれるだけの中身を分け、公開前に4つの問いを当てる

次に公開する予定の1本があれば、4章の表のうち、自社が通る行だけを上から当ててみてください。行ごとに見た人の名前が書き込まれた1本なら、冒頭の「出して大丈夫ですよね?」に、誰が何を見たかを挙げて答えられます。

撮影や編集を外に頼むかどうかを考えている段階なら、BEEMのTikTok運用代行で、企画から公開前の確認までの進め方を相談できます。

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この記事の監修者

株式会社BEEM代表取締役 豊田優人

豊田優人(とよだ・ゆうと)|株式会社BEEM 代表取締役

フォロワー約47万人の会社アカウント(@beem_official)を運用。公開中の607本で累計4.61億回再生、100万再生を超えた動画は137本(2026年10月13日時点)。株式会社BEEMは、企業のTikTok運用代行・広告運用・採用支援を提供している。

出典

いずれも2026年10月21日に確認。会社・団体の名前が特定されないよう、記事の題名は載せていません。

  1. 日本経済新聞(2024年8月9日)。No.1の訴訟と判決についての報道 https://www.nikkei.com/telling/DGXZTS00011650R30C24A7000000/
  2. ITmedia NEWS(2022年1月26日)。No.2の謝罪についての報道 https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2201/26/news075.html
  3. iPhone Mania(2022年1月28日)。読売新聞などの報道を引用したNo.2の記事 https://iphone-mania.jp/news-434908
  4. 琉球新報(2023年11月1日)。No.3のアカウント終了についての報道 https://ryukyushimpo.jp/news/entry-2432334.html
  5. 琉球新報(2024年2月20日)。No.3の第三者委員会の検証についての報道 https://ryukyushimpo.jp/national/entry-2821504.html
  6. ねとらぼ(ITmedia)(2023年7月26日)。No.4の謝罪と再発防止策についての報道 https://nlab.itmedia.co.jp/cont/articles/3360938/
  7. J-CASTニュース(2026年6月25日)。No.5の経過と会社の説明についての報道 https://www.j-cast.com/2026/06/25515899.html?p=all
  8. 弁護士ドットコムニュース(2019年6月16日)。朝日新聞・毎日新聞の報道を引用したNo.6の記事 https://www.bengo4.com/c_1009/n_9768/
  9. 共同通信(熊本日日新聞に掲載)(2026年10月9日)。No.7についての報道 https://kumanichi.com/articles/2044836
  10. 週刊女性PRIME(2026年10月9日)。No.7についての報道 https://www.jprime.jp/articles/-/44072
  11. AUTOMATON(2026年9月16日)。No.8と、その中で紹介されたNo.9についての報道 https://automaton-media.com/articles/newsjp/20260916-467752/
  12. J-CASTニュース(2024年2月6日)。参考の1件についての報道 https://www.j-cast.com/2024/02/06477613.html
  13. ITmedia ビジネスオンライン(2025年1月23日)。マイナビの学生調査(2026年3月卒業予定の大学3年生・大学院1年生1,131人、2024年12月20〜31日)についての報道 https://www.itmedia.co.jp/business/spv/2501/23/news077.html
この記事の事例について
事例はすべて、上の出典にある報道機関の記事で確かめたものです。会社・団体の名前、アカウント名、所在地、報道の見出しは載せず、時期・業種・問題視された中身・その後の対応だけを書いています。事例の型の分け方と、4章の確認表・6章の4つの問いは、BeeMedia編集部が事例を並べ直して作ったもので、これを守れば炎上しないことを示すものではありません。BEEMの公式アカウント(@beem_official)の数字は、監修者の紹介にのみ使っています。

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