最終更新日:2026年10月21日
執筆:BeeMedia編集部(株式会社BEEM)/監修:豊田優人(株式会社BEEM 代表取締役)
- 仕込みと営業に追われて、撮影や編集に回す時間がとれないオーナー・店長の方
- 飲食店向けの運用代行があると知ったものの、月いくらで何をしてくれるのかが見えない方
- チェーンの販促担当として、店舗のTikTokを外に出すかどうかの材料を集めている方
- 飲食店・食品に特化したSNS運用代行や動画サービス6件を調べたところ、TikTok運用代行として月額を公式に出していたのは0件。料金を出している飲食店特化の運用代行は2社あったが、1社はInstagramが本体でTikTokは追加料金の併用、もう1社はTikTokの記載がなかった
- 飲食店でも、業種を問わない運用代行の公開料金から選ぶことになる。撮影込みは月14.2万〜50万円(中央値30万円)、店で撮って渡す形なら月12万円前後から。月額を分けるのは「撮影を誰がやるか」
- 頼む先を絞るときは、撮影の担い手に加えて、店まで撮りに来てもらえる地域か、交通費の扱い、事例の数字の出どころを確かめる
- 企業244社の動画では、食べ物の動画がとりわけ当たっていた様子はなかった。投稿文で来店を呼びかけた37本には、当たりが1本もなかった(本数が少なく、呼びかけたせいとは言えない)
- 来店が増えたかはTikTokの数字には出てこない。プロフィールの入口と来店の数え方は、頼む前に店の側で用意しておく
ランチの片付けが終わって、夜の仕込みに入るまでのすき間。スマホで「TikTok運用代行 飲食店」と調べてみたら、目立つのは「おすすめ◯選」の記事と、「まずはお問い合わせください」のサービスページ。料金が載っていると思って開いたらInstagramのプランだった、という空振りが続くと、調べる手も止まりますよね。
知りたいのは、もっと手前のことだと思います。月いくら払えば、誰が店に来て、何を撮ってくれるのか。営業中にカメラが入っても困らないのか。そして、それでお客さんは本当に増えるのか。
この記事のために、BeeMedia編集部は2026年10月21日、飲食店・食品向けをうたうSNS運用代行や動画サービス6件と、TikTok運用代行65社の料金を、各社の公式ページや自社のプレスリリースで1つずつ当たりました(中身を確かめきれなかったものは、本文でそう分かるように書いています)。食べ物の動画や来店の呼びかけがどう見られていたかは、日本の企業TikTokアカウント244社の動画6,943本で数えています。
結論から書くと、飲食店に特化してTikTok運用代行の月額を出している会社は、今回調べた範囲に1社もありません。だとすれば、一般の運用代行の料金をどう読み替えるか、頼む先をどう絞るか、店の側で何を用意しておくか。判断の手がかりは、この3つに集まります。業種を問わない運用代行の料金の全体は、65社の公式ページを開いて調べたTikTok運用代行の費用の記事にまとめています。
飲食店向けのTikTok運用代行で、料金を公式に出している会社はあるか
「飲食店向け」とうたうサービスなら、飲食店向けの料金表もあるだろう。そう思って探すと、これが意外なほど出てきません。下の表は、「飲食店向け」「食品向け」をうたうSNS運用代行や動画サービスを6件並べたものです。5件は公式ページか自社のプレスリリースで中身を確かめ、残る1件は公式ページを確認できませんでした。比較サイトで「飲食店におすすめ」と紹介されている会社も開いてみましたが、大半は業種を問わない一般の運用代行だったので、表には入れていません。
| サービス(会社) | 対象 | TikTokの扱い | 公式に出ている料金 | 中身 |
|---|---|---|---|---|
| buzzeats(株式会社Leading Communication) | 食品・飲料メーカー | TikTok運用に特化 | 非公開(無料相談のみ) | 「食」に特化した動画の戦略と運用の体制 |
| KUROFUNE(株式会社RINK) | 飲食店専門 | Instagramが本体。TikTokは併用のオプション | 月22万/33万/44万円(税別・月8/12/16回投稿)。TikTokの併用は月3万円または5万円の追加(税別・ページ内で記載が分かれる) | 撮影は月1回込み。TikTokはInstagram用のショート動画の流用が基本 |
| ココサポ(株式会社ココチナ) | 沖縄県内の中小・個人経営の飲食店 | 記載なし(リール対応) | 月3万〜5万円から(税別・資料内で表記が分かれる) | 投稿・撮影・分析。月8回以上の投稿と分析レポート |
| U Wave(株式会社USEN FB Innovation) | 飲食店 | 記載なし(ショート動画への言及あり) | 記載なし | AIによるアカウント解析、トレンド動画の構成分析、レポート |
| おいしい動画(株式会社USEN Media) | 飲食店 | TikTok・リール用の編集オプション(運用代行ではない) | スタンダード23万円/編集のみ13万円(税別)。30秒のSNS動画の編集は1本2万円、2本パック3万円(税別) | 撮影と編集。投稿・分析の記載なし |
| 飲食店専門のマーケティング会社(1社) | 飲食店 | 不明 | 公式ページで確認できず | 検索結果で、グループの開示資料に「SNS運営代行」の項目名があると分かっただけ |
2026年10月21日に確認。上の5行は各社の公式ページか自社のプレスリリースで確かめたもので、最後の1行は公式ページを確認できなかったため会社名を出していません。税は各社の表記のままです。ココサポは公式サイトの本文を取得できなかったため、沖縄県のサイトに掲載された自社のプレスリリース(2025年7月)で確かめました。
TikTokの運用代行を正面から掲げていたのは、食品・飲料メーカー向けの1件だけで、それも料金は非公開でした。料金まで出している飲食店特化の運用代行は2社ありますが、1社はInstagramの運用が本体で、TikTokは追加料金で付ける形。もう1社はTikTokに触れていません。飲食店に特化して「TikTok運用代行の月額」を出している会社は、6件の中に1つもなかった、というのが今回の答えです。
では、任せられる仕事が具体的に書かれていた4件は、頼むとどこまで手を離せるのか。投稿まで任せられるのはKUROFUNE(撮影は月1回込み、投稿は月8/12/16回)とココサポ(撮影と月8回以上の投稿)の2つで、分析レポートを明記しているのはココサポです。KUROFUNEのTikTokは、Instagram用の動画を流用するのが基本とされています。
残りの2件は、任せられる範囲がもっと狭くなります。U WaveはAIによるアカウントの解析とレポートが中心で、料金の記載はありません。おいしい動画は撮影と編集までで、投稿や分析についての記載は見当たりません。投稿や反応の確認まで手放したいなら運用代行、撮った動画は店のアカウントで自分たちで出すつもりなら制作。同じ「飲食店向け」でも、店に残る仕事がまるで違います。
6件の中で料金がいちばん細かく載っているのは、そのKUROFUNEです。月22万〜44万円のプランに撮影が月1回含まれ、2回目からの撮影は1回10万円から(繰り越しはできず、交通費は別)。TikTok専用の企画や撮影、大きな作り直しは別の見積もりで、契約は6か月の自動更新と書かれています。
同じページの中で、書き方が分かれている箇所もあります。初期費用(店舗の審査とセットアップ)は「1店舗22万円〜(税別)」とある一方で、「各プランの月額と同額」という書き方も見られました。TikTokの併用料金も、料金のページでは月3万円、運用内容のページでは月5万円。TikTokを主に考えている店なら、追加の金額と、TikTok用の作り直しがどこまで含まれるのかを、見積もりの段階で聞いておくと安心です。
検索で上に出てくる記事でも、飲食店向けの相場の数字は見かけます。ただ、どの会社の料金から出した数字なのか、出どころまで書いた記事は見つかっていません(2026年10月21日時点)。「飲食店だから安い」「飲食店だから高い」という公式の料金体系も、今回の調べでは出てきていません。
飲食店も一般の運用代行から選ぶ。月額を分けるのは「撮影を誰がやるか」
飲食店向けの料金表が無い以上、業種を問わないTikTok運用代行の公開料金から考えることになります。TikTok・ショート動画の運用代行をうたう65社の公式ページを当たると、料金が載っていたのは24社(37%)。28社(43%)は問い合わせや資料請求が必要で、13社(20%)はページが表示されないなどで、中身を読めない状態でした。
この24社と個人の出品を、飲食店で起きることに置き換えて並べたのが下の表です。店にとっていちばん重い仕事は、おそらく撮影でしょう。厨房もホールも動いている店に、誰がいつカメラを持ち込むのか。そこで月額が大きく分かれます。
| 撮影するのは | 頼む先 | 公開料金の目安 | 店に残る仕事 |
|---|---|---|---|
| 代行会社が店に来て撮る | 撮影込みの運用代行(公開12社) | 月14.2万〜50万円、中央値30万円。撮影は月1回の会社が多い | 撮影日の時間と場所、出る人、撮影に使う料理の用意 |
| 店で撮って、素材を会社に渡す | 編集込み・撮影なしの運用代行(公開4社) | 月12万円前後から(中央値12.25万円・最大50万円) | 営業の合間の撮影と、素材選び |
| 店で撮って、素材を個人に渡す | 個人(フリーランス)の出品(ココナラ・ランサーズの22件) | 表示価格の中央値5万円 | 撮影(撮影の扱いが分かった12件のうち、出品者が撮るのは3件) |
| 撮影も編集も投稿も店でやる | 企画・相談だけの会社(公開4社)/飲食店向けの個人の出品(設計のみ) | 会社は月10万円から(中央値10万円)。個人の設計はプランごとに2万/6万/12万円 | 撮影・編集・投稿のすべて(会社によっては投稿まで代行) |
| (追加)代行会社が撮りに来る日を増やす | 撮影の追加(会社のオプションや単価) | 1日7万〜15万円 | 追加の撮影日の時間と場所 |
2026年10月21日に、各社の公式ページとココナラ・ランサーズの出品ページで確認(BEEM調べ)。会社の月額は、それぞれの範囲でいちばん安いプラン(入口のプラン)の値です。税別・税込・記載なしが混在しています。個人の出品はココナラとランサーズで確かめ、クラウドワークスは一覧を取得できず、プロフィールを1件確かめただけです。
この表は相場の統計ではなく、料金を公開している会社を並べた見取り図です。公開しているのは中小や特化型の会社に偏っていて、大手の多くは非公開。載っている金額も「月◯万円〜」の最低価格が多く、本数や撮影の回数、出演する人によって、実際の見積もりは上がります。
そのうえで比べると、撮影込みの中央値30万円は、撮影なしの入口(12万円前後)の約2.5倍。1本あたりに直すと、撮影込みは中央値5.0万円(本数を出している11社)、撮影なしは3.0万円(3社)です。撮影を誰が持つかで、ここまで差が開きます。
月30万円。ランチを何食出せば届く金額なのか、つい頭の中で数えてしまいますよね。撮影を店で引き受けるなら、会社で月12万円前後から、個人の出品なら5万円前後が中心です。その代わり、撮影の手間は店に残ります。
個人の5万円と会社の30万円の開きには、中身の違いも含まれています。個人の出品で、基本料金に出品者の撮影まで入っていたのは、撮影の扱いが分かった12件のうち3件だけでした。
飲食店向けをうたうものに絞ると、個人のパッケージは2つ。「来店につなげる設計だけ(動画の制作や投稿は含まない)」と「グルメ動画の編集だけ(撮影なし)」です。このほかクラウドワークスに、播磨エリアの飲食店向けにSNS運用代行と撮影をうたうプロフィールが1件ありましたが、時給1,000〜2,000円の目安が出ているだけで、決まったプランや実績は載っていない状態でした。撮影から投稿まで一続きで請け負う個人の出品は、今回の範囲では見つかっていません。
撮る時間がとれないことが外に頼む理由なら、撮影なしのプランでは、いちばん重い仕事が店に残ったままです。反対に、スタッフの誰かがスマホで撮るのは苦にならない店なら、編集と投稿だけを外に出す形のほうが、月額は抑えられます。
頼む先を絞るときに、各社へ同じ形で聞くこと
撮影を任せるつもりなら、料金の次に気にしたいのが「店まで撮りに来てもらえるか」です。公開されている情報でも、ココサポは対象を沖縄県内の飲食店としていますし、業種を問わない会社の中にも、料金を大阪の価格として載せているところがあります。撮影も引き受けるとした個人の出品の中には、地域を大阪・関西と書いていたものが1件ありました。
交通費の扱いも会社ごとに違います。KUROFUNEは追加の撮影の交通費を別としていて、ほかにも撮影費・交通費を実費とする会社や、出張撮影の交通費を別とする成果報酬型の会社も見られました(いずれも2026年10月21日確認)。店の場所を伝えたうえで、撮影1回ごとに月額の外でかかる費用を聞いておくと、あとから足し算がずれません。
飲食店の実績を見せてもらったときは、その数字が代行会社自身の発表なのか、来店をどう数えたのかも尋ねてみてください。検索上位の記事に載っていた飲食店の事例も、運用代行会社自身の発表で、来店の数は店から聞いた話として書かれていました。比べる前に、次のことを各社に同じ形で聞いておけば、返ってきた見積書を横に並べて比べられます。
- 撮影は月に何回か。撮影の対応地域はどこまでか。追加の撮影はいくらで、交通費は別か
- 撮影に使う料理の材料は、どちらが用意するか
- TikTok用に企画・編集するのか、Instagram用の動画を流用するのか
- 月に何本投稿するのか(1本あたりに直すといくらか)
- 初期費用と最低契約期間(公開している会社では、初期費用の中央値が10万円(9社)、最低契約は6か月がいちばん多い(18社中9社))
- 料金は税別か税込か
- 飲食店の事例の数字は誰が数えたものか。月次のレポートで来店や予約の数をどう扱うか
見積書を工程ごとに分けて読み比べる方法と、解約したときに手元に残しておきたいものは、TikTok運用代行とは?中身の7工程と見積書の読み替え方で詳しく扱っています。
頼んだあとにつまずきやすい、飲食店ならではの4つの場面
代行会社に頼める仕事は、大きく分けて企画・撮影・編集・投稿・分析の5つです。ただ、飲食店では、どの仕事も店の営業と同じ時間、同じ場所で起きます。頼んだあとにつまずきやすいのは、次の4つの場面です。
撮影日は、営業を止めずに済む時間から組む
撮影が月1回なら、その1日で1か月分の素材を撮りきらなければなりません。ランチのピーク中に厨房へカメラが入れば、提供が遅れる心配もあります。仕込みの時間なのか、アイドルタイムなのか、定休日なのか。撮れる時間を店のほうから先に伝えておくと、代行会社も段取りを組みやすくなります。
撮影用に作る料理を誰が用意して、撮り終えたあとにどうするかも、当日になって慌てがちなところです。追加の撮影は、公開料金で見ると1日7万〜15万円。月1回の枠に収まりそうにないときは、最初の打ち合わせの議題に入れておきましょう。
メニューが入れ替わる店は、素材の「使える期間」を渡す
季節のメニューや限定の一品は、撮った翌月にはもう出していないこともあります。まとめて撮った素材に終わった料理が混ざっていると、投稿を見て来てくれたお客さんをがっかりさせかねません。
撮影の前に「この料理はいつまで出す」「品切れになりやすい」と一覧にして紙で渡しておけば、投稿の順番を組むときに避けてもらえます。動画の中で値段を見せるなら、値上げのときにどの動画が古くなるかを控えておくと、差し替えが楽です。
スタッフに出てもらうなら、撮る前に本人と話しておく
「ホールの子に、TikTokに出てって頼めるかな……」
店長としては、いちばん切り出しにくい話かもしれません。アルバイトのスタッフは入れ替わりもあります。出てもらうなら、本人の了承を取ること、辞めたあとにその動画を残すのか消すのかを、撮る前に話し合っておいてください。肖像の扱いには法律の解釈も絡むので、契約書の書き方に迷ったら専門家に相談するのが確かです。
同意を取るときに確認する項目は、TikTokの採用動画の記事のよくある質問に並んでいます。採用向けの記事ですが、店のスタッフに出てもらう場面にも置き換えて使えます。誰も顔を出せない店でも、仕込みや調理の手元なら、顔を映さずに撮れます。
来店の数え方を、代行会社と最初にすり合わせる
TikTokの画面で分かるのは、再生回数やフォロワーといった、TikTokの中で起きたことの数字です。来店や予約の増減は、店の会計や予約の記録にしか残りません。自分の店で確かめるには、店の側で数える仕組みが要ります。
たとえば、会計のときに「何を見て来てくださいましたか」と聞いて記録する。予約フォームに「この店を知ったきっかけ」の欄を足す。TikTokを見た人だけの特典を付けるなら、景品や表示のルールにも気を配る必要があります。そのあらましはTikTokの販促のやり方の記事にあるので、特典の中身を考える前に目を通しておいてください。
どの数え方にするかを契約の前に代行会社とすり合わせておけば、月次のレポートを読むときに話が食い違いません。始める前の1か月の数も控えておくと、あとで比べる相手ができます。
食べ物の動画は、企業アカウントの中で特に当たりやすいわけではなかった
「料理の動画なら、放っておいても見てもらえるはず」
そう期待して代行を考えているなら、この章は少し落ち着いて読んでみてください。BEEMが集めた日本の企業TikTokアカウント244社の動画6,943本で、食べ物の動画がどのくらいバズに入っていたかを数えました。
最初に、このデータで言えることの範囲を書いておきます。244社は飲食店のリストではなく、フォロワー1,000人を超える会社公式215社と社長や社員の名前で発信する会社関連29社で、建設や物流など採用を目的にした会社が中心です(個人のクリエイターと海外の会社は対象外です)。業種の項目もデータに無いため、食べ物の動画は、TikTokが動画に付けている分類のラベル(料理を作る、食べる、お店の紹介など)と、投稿文に「飲食」「ラーメン」「カフェ」「メニュー」などの語が入っているかの2通りで拾いました。来店や予約の数は入っておらず、区分によっては本数も少ないので、この章の数字は「どんな動画が多く当たっていたか」の並びです。「こうすれば来店が増える」という因果の話ではありません。
当たり(バズ)の数え方は、その会社の直近約30本を再生の多い順に並べた真ん中の回(ふだんの再生)の5倍以上で、しかも3万回以上に届いた動画。244社全体では560本、100本に8本ほど(8.1%)です。再生は10月8日時点の累計なので、出たばかりの動画は、いまはもっと見られている可能性があります。
分類のラベルで拾った食べ物の動画は369本(81社)で、バズは4.9%。食べ物以外の動画の8.2%より低めです。ラベルごとに見ても、いちばん高い「お店や料理の紹介」(83本)で7.2%と、全体の8.1%に届きません。投稿文の語で拾った189本(52社)だと9.0%で、全体とほぼ同じでした。拾い方を変えても、食べ物の動画だけが目立ってバズっていたという結果にはならなかったわけです。
「飲食の会社じゃないから、当たらないだけでは?」
そこが気になる方のために、同じ会社の中でも比べています。食べ物の回とそれ以外の回の両方がある80社で、それぞれの回がその会社のふだんの何倍だったかを見ると、真ん中の値はどちらも1.00倍。食べ物の回だから伸びた、伸びなかった、という差は出ていません。料理を撮れば有利という前提はいったん外し、企画と出る人、プロフィールからの導線で見積もりを読むほうが現実的です。
飲食系とみなせる7社は、大当たりより「ふだんの見られ方」が高め
244社の中で、食べ物の動画が投稿の半分以上を占める会社は7社(210本)ありました。飲食系とみなせる会社です(7社だけなので参考の値です)。この7社のバズ率は3.3%と低めですが、会社ごとのふだんの再生の真ん中は11,350回で、244社全体の5,744回を上回っています。大当たりは出にくくても、1本1本がいつもそれなりに見られている形です。
保存された割合も中央値0.13%と、全体の0.10%より少し高め。動画の長さは中央値60秒で、全体の41秒より長めに作られています。保存は「今度行ってみよう」の印とも読めますが、そこから来店したかまでは、このデータでは追えません。
食べ物の動画の中身も見ておきます。AIで中身を分類した39本(うち当たり18本)では、Vlogや密着が12本、検証・ドッキリが10本、作業をしながら語る形が7本。料理そのものを映すより、作る人や店の裏側、「試してみた」の形が並びました。
食べ物に限らない244社全体では、問いかけやクイズで始まる回は、当たった動画の中で占める割合が、ふつうの動画の中での割合の1.43倍ありました。映像や動きから始まる回は0.65倍と少なめで、料理のアップから入る動画は後者に入ります。企画の型ごとの数字はTikTokでバズる方法の記事に並んでいるので、代行会社と企画を話し合うときの手元の資料に使えます。
来店を呼びかけた37本には、当たりが1本もなかった
動画の最後に「ぜひお店に来てください」と入れるべきか。飲食店の方なら、いちばん迷う点ではないでしょうか。業種を問わず、投稿文に来店や集客の語が入っていた動画だけを抜き出して数えました(BEEM調べ。日本の企業TikTokアカウント244社の直近約30本・計6,943本・2026年10月8日取得。244社全体のバズ率は8.1%)。
「ご来店お待ちしています」のような呼びかけを入れた37本には、当たりが1本もありませんでした。その会社のふだんと比べても、真ん中の値は0.88倍。「店舗」「お店」の語が入った17本も当たりは0本で、限定やキャンペーンの語が入った19本は、ふだん比の真ん中が1.72倍と高めでした。ただし当たりの割合は5.3%で、全体の8.1%より低めです。「公式LINE」の語が入った32本(6社)も当たりは0本、「プロフィール・リンク」へ誘う120本(26社)は2.5%でした。
呼びかけたせいで伸びなかった、とまでは言えません。それでも、来店のお願いは動画の中身よりプロフィールや固定の情報に置く、という考え方とは食い違わない結果です。BEEMの公式アカウントでは、直近365日に動画が再生された経路(流入元)のうち21.7%がプロフィールのページからでした。1つのアカウントの数字なので、店でも同じ割合になるとは限りません。
代行会社に連絡する前に、店でやっておく5つのこと
4章までの話を頼む前の準備に落とすと、次の5つです。どれも代行会社が決まる前から手をつけられることで、書き出してあるほど見積もりの話が早く進みます。
- プロフィールに、店名・エリア・営業時間・予約の入口を書く
- 来店や予約の入口を1つに絞る(予約ページ、地図、公式LINEなど)
- 来店の数え方を選び、始める前の1か月の数を控える
- 撮れる時間帯、撮ってよい場所(厨房に入れるか)、出られる人を書き出す
- 月にかけられる上限と、撮影を店で持つかどうかを考えておく
1と2は、4章の表とも関わります。投稿文に公式LINEの案内を入れた32本も当たりは0本でしたが、この32本は6社の動画に偏っていて、会社ごとのくせが出ているだけの可能性もあります。ここは数字より、店の都合で決めて構いません。入口を1つに絞っておけば、どこから来たお客さんかを店の側で数えやすくなります。プロフィールの設定やビジネスアカウントでできることは、TikTokビジネスアカウントの記事で扱っています。
3は、来店の数え方の節で触れたとおりです。始める前の数がないと、半年たっても増えたのかどうかを誰も言えません。4と5は、2章の表のどの行を選ぶかに直結します。公開料金の中央値で見ると、撮影を店で持つかどうかで月額に2倍以上の開きがありました。
「そこまで店で準備するなら、自分で投稿したほうが早いのでは」。そう感じた方もいると思います。実際、スマホで撮れる人がいて、週に1本でも出せるなら、まず自分の店で始めてみる道もあります。始め方と、ほかの会社がどのくらいのペースで出しているかは、TikTok企業アカウントの始め方と、他社の「ふつう」の数字にまとめています。
飲食店のTikTok運用代行について、よくある質問
頼める会社はあります。業種を問わない運用代行の中には、FAQで「個人経営にも対応」と書いている会社もありました(マジカル株式会社。料金は一般と同じで月35万円〜・税込)。沖縄県内の中小・個人経営の飲食店向けに、月3万〜5万円からのSNS運用代行を出している会社もありますが、TikTokの名前は出てきません(いずれも2026年10月21日確認)。
予算から考えるなら、2章の表の「店で撮って、素材を渡す」形が入り口になります。撮影は店に残るので、撮れる時間と人がいるかを先に見ておきたいところです。
KUROFUNEでは、TikTokはInstagram用のショート動画の流用が基本で、TikTok専用の企画や撮影、大きな作り直しは別の見積もりでした。流用で足りるかどうかを判断できるデータは、今回の調べの外です。
確かめておきたいのは、TikTok向けに冒頭や長さを作り直す作業が入っているか、入っていないならいくらかかるかです。4章で触れたように、企業244社では問いかけやクイズで始まる回が、当たった動画の中に多く入っていました。
公式ページで単価や上限を出している成果報酬型(再生課金)は2社で、どちらも月の上限がありました。上限まで再生されると月30万〜50万円で、撮影込みの運用代行と同じくらいの水準です。うち1社は、FAQで食品などの消費者向け商材の実績を挙げていました。
払う基準は再生数なので、来店が増えたかどうかとは別の物差しです。成果報酬型を選ぶ場合も、来店の数え方は店の側で別に持っておく必要があります。
できます。飲食店に特化した動画制作では、スタンダード23万円、編集のみ13万円、TikTok・リール用の30秒の編集は1本2万円という公式の料金が出ています(税別)。業種を問わない制作会社の公式単価では、撮影と編集で1本2.5万〜3万円、編集だけで1本1.3万〜3万円、撮影は1日10万〜15万円です。
この形では、投稿の時間を決めることや、反応を見て次の企画を考えることが店に残ります。見るべき数字の場所は、TikTokインサイトの見方で画面ごとに説明しています。
最低契約期間を書いていた18社では、6か月が9社でいちばん多く、3か月が6社、12か月が2社、期間なしが1社でした。KUROFUNEも、6か月の自動更新です。
途中でやめたくなったときに何が手元に残るかは、契約書に判を押す前に尋ねておけば、あとで慌てずに済みます。聞いておく項目は、TikTok運用代行とはの記事の後半に載っています。
公式ページで店舗単位の書き方を確認できたのは、初期費用を「1店舗22万円〜(税別)」とする飲食店専門の運用代行でした。月額が店舗の数でどう変わるかまでは、この記事の調査では追えていません。
見積もりを頼むときは、店舗の数、アカウントを店ごとに分けるか本部で1つにするか、撮影に回る店の数を先に伝えると、比べやすい見積もりが返ってきます。
まとめ:料金表を比べる前に、撮る人と来店の数え方を固める
- 飲食店に特化してTikTok運用代行の月額を公式に出している会社は、調べた6件で0件。料金を出す飲食店特化の運用代行2社も、TikTokは追加の併用か記載なしだった
- 業種を問わない運用代行の公開料金では、撮影込みが中央値30万円、店で撮って渡す形なら会社で月12万円前後から、個人の出品で中央値5万円。月額を大きく分けるのは、撮影を誰がやるか
- 頼む先は、撮影の担い手、撮影の対応地域と交通費、事例の数字の出どころで絞る
- 撮影日、メニューの入れ替わり、スタッフの出演、来店の数え方は、契約の前に整理しておく
- 企業244社では、食べ物の動画のバズ率は全体と同じか低めで、来店を呼びかけた37本は当たりが0本。本数は少なく因果とは言えないが、来店の案内をプロフィールに置く考え方の手がかりにはなる
仕込みと営業の合間に「どこに頼めばいいんだろう」と調べ始めたときは、会社選びが最初の一歩に見えたかもしれません。けれど、料金表を見比べる前に、店で整えられることがいくつもあります。撮影を誰がやるか、来店をどう数えるか。そこが固まっていれば、見積書を並べたときに、どの金額が自分の店の事情に合っているかを選べます。
撮影をどこまで店で持てるか、来店の記録をどう取るかの整理から相談したいときは、BEEMのTikTok運用代行に問い合わせできます。問い合わせの際に、お店の営業時間や撮れる時間帯、出られる人を書き添えていただくと、最初のやりとりが早く進みます。
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- TikTok動画制作の費用
- TikTok運用代行とは?中身の7工程と見積書の読み替え方
- TikTokの販促のやり方
- TikTok企業アカウントの始め方と、他社の「ふつう」の数字
- TikTokビジネスアカウント
- TikTokでバズる方法
- 企業のTikTokが痛いと言われる理由
- TikTokインサイトの見方
- TikTokの再生回数の平均
この記事の監修者

豊田優人(とよだ・ゆうと)|株式会社BEEM 代表取締役
フォロワー約47万人の会社アカウント(@beem_official)を運用。公開中の607本で累計4.61億回再生、100万再生を超えた動画は137本(2026年10月13日時点)。株式会社BEEMは、企業のTikTok運用代行・広告運用・採用支援を提供している。
1・2章とFAQの料金は、2026年10月21日に各社の公式ページ・自社のプレスリリースと、ココナラ・ランサーズ・クラウドワークスの出品やプロフィールのページを開いて確かめたものです(BEEM調べ。TikTok・ショート動画の運用代行65社のうち料金を確認できた24社、飲食店・食品に特化したサービス6件(うち1件は公式ページを確認できず)、個人の出品22件と、飲食店向けの個人の出品2件・プロフィール1件)。会社の月額は入口のプランの値で、税の表記は各社のままです。比較サイトやまとめ記事に載っている数字は使っていません。BEEMの料金はこの記事には載せていません。
4章の数字は、BEEM調べ(日本の企業TikTokアカウント244社の直近約30本・計6,943本・2026年10月8日取得)です。食べ物の動画は、TikTokの分類ラベル(Cooking/Mukbangs & Tasting/Food Tour & Recommendations/Food Display/Drinks)と、投稿文の語(飲食・居酒屋・ラーメン・焼肉・寿司・定食・カフェ・レストラン・メニュー・料理・グルメ)の2通りで拾いました。企画の型と冒頭の形は、AIで中身を分類した860本から出したもので、倍率は「当たった動画の中で占める割合」を「ふつうの動画の中での割合」で割ったものです。プロフィールからの再生の割合は、BEEMの公式アカウント(@beem_official)の直近365日の流入元です。会社が特定できるアカウント名や投稿文は、この記事には出していません。
確認した公式ページ(2026年10月21日)